塩土とは、赤土にボレー粉、塩などを混ぜ、与えやすいよう石膏を使って固めたミネラル補給用の飼料です。
メーカーによっては、炭など独自の成分を配合しているものもあります。
主にハトなどの飼い鳥用として長年利用されてきた、歴史のある飼料です。
インコのミネラル補給にも有用なものですが、ただやみくもにたくさん与えるのでは、かえって健康を害す可能性があります。
塩土を与える際にはいくつかの注意点がありますのでご紹介します。
インコが塩土を食べ過ぎないように注意する
メーカーや製品によって配合率の違いはありますが、基本的に塩土には塩分が多く含まれています。
塩分はインコにとってもある程度は必要なものですが、摂り過ぎると、腎臓病や高血圧など体に様々な悪影響を及ぼします。
さらに塩分を摂ると喉が渇きますので、水を多く飲むようになり、結果として多尿や下痢を招くこともあります。
また、塩土にはミネラルの摂取だけでなく、筋胃(砂肝)でエサをすり潰すためのグリットとしての役割もあります。
しかしグリットが体内に蓄積されすぎると、胃閉塞などの内臓障害を引き起こす場合があります。
これらの理由から、他の飼料のように毎日ケージに入れっぱなしにすることは避けるべきでしょう。
与える頻度は週に1、2回程度で十分です。
ケージに入れてみて、食べ過ぎるようなら適宜取り出すようにしましょう。
また、繁殖期や医師からの指示がある場合は別ですが、食べないようなら無理に与えなくても大丈夫です。
なお、ペレットが食事全体の8割以上を占めている場合は、塩土を与える必要はありません。
ミネラルの過剰症の危険があり、かえって害になります。
塩土は固すぎないものを選ぶ
塩土を固める石膏(硫酸カルシウム)は、漢方薬として人間用に使われることもある成分ですので、それ自体がインコの体に害になることはありません。
しかしあまりしっかり固められているものは、特に小型鳥の場合は上手にかじれず、効果的に摂取することができません。
土の粒子が荒く、力を入れれば簡単に割れたり、ボロボロ崩れたりするような製品の方が望ましいでしょう。
最初から土と塩分を固めずにボレー粉と混ぜて販売している製品もあります。
十姉妹などの小さなフィンチ類や、インコでもくちばしの力が弱い子の場合は、こうした製品が便利です。
しかし、固形でないと興味を示さず食べてくれない子も多くなります。
また、固い塩土は単なるミネラル源としてだけでなく、かじって遊んだり、ストレス解消のためのおもちゃとしての側面もあります。
その子が一番好む固さのものを見つけてあげてください。
電子レンジで塩土を殺菌してから与える
塩土の主な原材料は土ですので、何らかの菌が生息している可能性がないとは言い切れません。
今のところ、塩土についた細菌が原因で体調を崩した事例は報告されていませんので、過剰に心配する必要はありません。
それでも、小さく割って器に入れ、電子レンジで数分加熱してから与えるとより安心です。
もちろん、加熱したあとはしばらく放置してしっかり冷ますようにします。
ケージに入れていてフンが付着した場合も、その部分を削ってから、念の為加熱し消毒すると良いでしょう。
天日干しして消毒する方法もあります。
これらの方法は、塩土に限らず、グリットやフィンチの砂浴び用の川砂などを使う際にも応用できます。
塩土に発生する菌やカビに注意する
塩土をケージの中に入れたままずっと放置しておくと、その上にフンが落ちたり、水に濡れたりして菌やカビの温床になります。
水入れやバードバスの近くや、止まり木の真下などに置くのは避けましょう。
塩土は容易に腐敗するようなものではありませんが、濡れてぐしょぐしょになったものやあまり古いものは潔く捨ててしまった方が安心です。
また、常時ケージに入れっぱなしにするのは、菌やカビが繁殖するリスクだけでなく、食べ過ぎ防止の観点からも、インコにとってあまり好ましいことではありません。
時間を決めて与えるか、小さく割って少しだけ容器に入れるなど工夫してください。
ただし前述した通り、単なるストレス解消やくちばしの手入れのために塩土をかじる子もいますから、インコの様子を見て判断してください。
インコへの塩土の与え方を知ろう
塩土は、飼育下のインコに不足しがちなミネラルを確実に補うことができる、最も手軽で便利な飼料です。
しかし研究が進んだ近年においては、インコに塩土を与えることには賛否両論があり、中にはまったく必要ないとする獣医師もいます。
反対に、与えるべきだという声も根強く存在します。
塩土に限ったことではありませんが、インコの食エサに関してはまだまだ解明されていない事柄が多くあります。
家の子に必要なエサは何か、どれだけ与えるのが適切かは、普段からその子を一番身近で見ている飼い主自身が判断すべきことです。
与える際は上記の注意点を参考にして、食べた量や健康状態をきちんと確認しながら与えるようにしましょう。