「お手」や「お座り」を覚えた犬の次のステップとして、「伏せ」を覚えさせる時にはどんなことに注意すればいいのでしょうか。

なかなか伏せを覚えさせるのに苦労するという飼い主さんも多く聞きます。

正しい伏せの姿勢や、教え方についてご紹介します。

おやつを使って伏せを覚えさせる

「伏せ」を教える時にいちばん一般的なのは、おやつを使って覚えさせる方法です。

座っている状態から、おやつを徐々に下の方に下げていきます。

自然と犬がおやつを目線で追うと、頭が下がっていき伏せのポーズをとるようになります。

しっかりと犬の胸が床に付きそうになったら「伏せ」と声をかけて、その姿勢と指示を記憶させましょう。

しっかりと胸が床に付いたら、おやつでご褒美をあげつつ褒めてあげるようにしましょう。

ちゃんとできるようになったら、徐々におやつをあげる回数を減らしていくようにします。

おやつを与える以外にも、「よしよし」と声をかけたり、体を撫でてあげるようにして大げさに褒めるのが有効です。

おやつがなくてもしっかりと伏せをしてくれるのが理想で、その状態を目指します。

最初のうちはご褒美でおやつを使いますが、毎回与えていると「伏せをする」=「おやつがもらえる」と勘違いしてしまいます。

おやつがないということを聞いてくれないのでは、しつけとは言えませんよね。

伏せの姿勢とは

食事の時間などに、とにかくエサに飛びかかろうとする犬に「待て」をすることがあります。

犬を動かないように落ち着かせるという意味では似ていますが、「伏せ」と「待て」には違いがあります。

「伏せ」は前足と後ろ足を折って、胸が地面に着いた姿勢です。

この伏せの姿勢をしっかりと飼い主が覚えて、犬に求められるようにしましょう。

伏せは、犬にしばらくじっとしていて欲しい時に使います。

例えば来客や買い物に行って外で待たせる時には、家の中と同じようにうろうろされては困ります。

お散歩している時やドッグランで、他にも人や犬がいる時に犬が興奮してしまうこともあります。

こうした時に「伏せ」をさせて落ち着かせたりします。

「伏せ」の姿勢からは犬が急に動き出すことができないので、こうしたときにとても便利です。

犬もリラックスできる姿勢になりますし、不意の事故などから犬を守ることもできます。

伏せをうまくできない時はくぐらせる

おやつを使ってもなかなか伏せの姿勢を取ってくれないはどうしたらよいのでしょうか。

中にはおやつばかりに興味がいってしまって、なかなか思う通りに動いてくれない犬もいたりします。

そうした時に足を強くひっぱったり、背中を押してお腹をつけさせるのはよくありません。

犬も無理やり押さえつけられたりすると、余計に頑なに動こうとしなくなってしまう可能性があります。

こうした時は、飼い主が膝立ちの姿勢から両手をついたりして体の下をくぐらせるようにしましょう。

胸をつけて伏せの態勢にならないと通れないようにすることで、自然に伏せの姿勢をとらせるようにします。

この段階では、犬に抵抗なく胸を地面につけさせるようにするというのが目的です。

小型犬の場合なら、体育座りをして膝の下をくぐらせるようにしても良いでしょう。

伏せを指示する言葉を統一する

犬に「伏せ」をさせたい時の似たような指示に「ダウン」や「フラット」を使うことがあります。

しつけをする時には、この指示を必ずひとつに統一して混同しないようにしましょう。

特にご家族の中でこうした指示に違いがあると、指示された犬が混乱してしまう場合があります。

しつけをする前に、あらかじめ家族の中で決まりをつくっておいた方がよいでしょう。

また、ちゃんと「伏せ」ができない時に叩いたりするのは絶対によくありません。

できた時にはしっかりとご褒美をあげ喜ばせてあげますが、犬は嫌な記憶があることをしてくれません。

きちんと犬の行動を制御することや、自発的に伏せを促すためには、罰によるしつけは向いていません。

できなくても根気よく温かく見守ってあげて、叩いたりしないように心がけましょう。

一度のしつけは15分くらい

「伏せ」は非常に大切なしつけのひとつですが、なかなか簡単に覚えてくれないケースもあります。

しかし、だからといってあまり長時間のしつけやトレーニングを強いたりしないようにしましょう。

犬の集中力は短く、人間ように長くは持ちません。

せいぜい10〜15分と言われているので、飽きたり集中力が切れた時は、また次の機会に改めましょう。

しつけをする時に大切なのは、一日に何度かに分けて、何回も根気よく教えるようにすることです。

強引にしつけをすると、しつけ自体が犬のストレスになってしまいます。

また嫌な記憶としてインプットされてしまうと、しつけが逆効果になってしまいます。

何回もやるというのは、さまざまな異なる状況でも言うことを聞かせるためにも有効です。

犬への伏せの教え方を知ろう

「伏せ」はいろいろなシーンで犬に言うことを聞かせるために使える指示です。

また飼い主との信頼関係をつくるのにも大きく役に立ち、しっかりとした主従関係を築くステップのひとつです。

犬にとっては咄嗟の行動ができないような態勢になるので、なかなか抵抗感があることもあります。

最初は無理せずに、根気よくというのが本当に大切なしつけです。

しかし、ペットとして人間社会に関わる犬としては、大人しく言うことを聞いてくれないと困るシーンも多くあります。

ぜひ、しっかりとマスターできるように飼い主さんは根気よく付き合ってあげましょう。