犬は人間の仕事を手伝うため、特徴を強化するように改良が加えられて、多種多様な犬種が存在するようになりました。

しかし、犬種ごとにかかりやすい病気があり、犬を飼うときにはその犬種のかかりやすい病気を知ることで、予防につなげることもできます。

椎間板ヘルニア

背骨はたくさんの小さい骨が列を作っており、その骨と骨の間でクッションの役割をしているのが椎間板と呼ばれるものです。

その椎間板が衝撃などで飛び出してしまい、脊髄神経を圧迫してしまうことを椎間板ヘルニアと言います。

椎間板ヘルニアは軽度であれば痛みがある程度ですが、圧迫が酷い場合は下半身麻痺や自力での排尿排泄が困難になってしまうほど深刻なものです。

特にダックスフンドやウェルシュコーギーなど、「胴長短足」の犬種に多く発症します。

もし愛犬がいきなり後ろ脚を引きずったり歩けなくなったりした場合は、すぐに病院で診てもらいましょう。

乳腺腫瘍

メス犬の全腫瘍のうち、約半数を占めると言われるほど多い腫瘍です。

乳腺腫瘍の約5割が良性の腫瘍、約5割が悪性の腫瘍と言われておりますが、場合によっては良性の腫瘍と悪性の腫瘍が混在することもあり、根本的には手術で取り除く治療になります。

乳腺は右側と左側で縦につながっているので、1か所にできると他の乳腺にもできてしまうことが多いです。

若い時に避妊手術をしなかったメス犬に多い腫瘍なので、避妊をしていない犬でおっぱいにしこりができた場合は乳腺腫瘍の可能性があるため、病院で診察を受けた方が良さそうです。

子宮蓄膿症

こちらも避妊手術を受けていない、高齢のメス犬に多い病気です。

子宮の中で細菌が異常繁殖してしまい、膿が溜まってしまうものです。

特に起こりやすいのは生理が終わって少し経った後で、陰部からドロッとした膿が出てきたり、異常に水を飲みたがったりという症状です。

子宮蓄膿症は早期に異常に発見できないと命に関わる病気になります。

もし避妊手術をしていない高齢の犬の陰部から膿のようなものが出てきたり、いつもと違う様子で多飲多尿や食欲不振が見られたらすぐ病院で診てもらってください。

前立腺肥大症

オス犬には前立腺という器官がありますが、年齢とともにこの前立腺は肥大するようになります。

加齢に伴い、仕方のない範囲での肥大もあれば、大きくなりすぎて周りの臓器を圧迫するようになってしまい、日常生活に支障が出てくることもあります。

前立腺は尿道をぐるりと囲むように存在しているので、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、おしっこが出辛くなってしまいます。

この前立腺は性ホルモンの影響を受けて肥大すると言われており、若いときに去勢手術をした犬は前立腺肥大になりにくいとされています。

治療にはホルモン剤を投与したり、去勢手術で性ホルモンの産生元をなくすといった方法がとられます。

膝蓋骨脱臼

膝関節には膝蓋骨という小さな骨があり、この膝蓋骨があるおかげで関節の動きがスムーズにできるのですが、膝蓋骨がはまっている溝から外れてしまうことがあります。

大きい衝撃で外れてしまったりするのですが、元々溝が浅いという先天的な問題で起こる場合も多いです。

犬が立ち上がった時や走っているときにキャンと鳴いたり、後ろ足を挙げて歩いている場合は膝蓋骨が外れている可能性があります。

特に小型犬は先天的に膝の溝が浅い場合が多く、犬種によってはほとんどの犬が持っていると言われています。

軽度であればサプリで補ったり日常生活を気を付けたりすることで対処できますが、常に外れてしまってる場合は手術が必要になってしまうことがあります。

股関節形成不全

大型犬に多い先天的な骨格形成不全です。

成長期に股関節がきちんと出来上がらず、骨と骨とが擦れて痛みを伴うため、歩くときに腰を左右に振るように歩いたり、座るときに足を横にずらさないと座れなかったりというような仕草が見られます。

日常生活に支障が出るほどひどい場合は、人工的な股関節を入れる手術を行います。

マラセチア症

マラセチアというのは酵母菌の一種ですが、健康な犬でも持っている常在菌です。

普段は悪さはしませんが、犬の体力が落ちたり免疫力が下がったりしているときに異常繁殖して悪さをし始めます。

特に足の指の間や、耳などで異常に繁殖して皮膚が赤くただれたり、痒がったりします。

マラセチアは独特の臭いがします。

犬が体をかゆがったり、赤くなったり、異常な匂いがしたりすると感じたら、一度診てもらった方が良いでしょう。

玉ネギ中毒

これは病気というより中毒なのですが、家庭内で起こりやすいものです。

その名の通り、玉ねぎを食べたことで起こります。

玉ねぎの中に含まれているアリルプロピルジスルファイドという成分が、人間には無害でも犬には有害になってしまいます。

この成分が犬の赤血球を破壊して、結果的に貧血を起こしてしまいます。

許容量は個体差があり、たくさん食べてもペロッとしている犬もいれば、少量でも中毒症状が現れることもあります。

また、症状は食べてすぐ出るものではなく、時間が経ってから出る場合もありますので、たくさん食べてしまったときは病院で診てもらった方が安心でしょう。

愛犬のかかりやすい病気を知って様子を見ておこう

もちろんのことですが、犬は人間よりも寿命が短いです。

そのため、気が付くと病気にかかってしまっていることもあります。

ですので、普段から愛犬の様子をしっかり見て、上記の病気の際に起こる症状がないかを確認しましょう。