犬の食事といえばドッグフードというのが、最近では一般的です。
とはいえ、イヌ科の動物のなかには生肉を食べて生活しているものもいます。
ならば飼い犬に生肉を与えても問題はないのでしょうか。
飼い犬に生肉を与えても良いのか、また、あげる時には注意点があるのかご紹介します。
犬は本来、肉食動物のため与えても良い
まず、犬の歯を見てみましょう。
肉を噛みちぎるための犬歯が発達していますし、奥歯も雑食動物である人間のように上部が平らでなく、犬歯のようにとがった形になっています。
これは犬が本質的に生肉を主食とする肉食動物であることの証明です。
また、犬の腸の長さは体長の6倍程度で、これも犬が本質的に肉食動物であることを証明しています。
例えば、草食動物である牛は体長の約20倍もの長さの腸を持っています。
雑食動物である人間も、腸の長さは体調の10倍程度です。
これは植物には繊維が多く含まれているため、消化に時間がかかってしまうためです。
肉食動物である犬は植物の繊維を摂取することが少ないため、短い腸ですむのです。
実際、犬以上に肉食に特化した猫の腸はさらに短く、体長の4倍程度にすぎません。
つまり、本質的に肉食動物である犬に生肉を与えることは「本来食べるべきものを与える」ことであり、基本的には好ましいことだといっていいでしょう。
犬に生肉を与えるメリット
犬に生肉を与える最大のメリットは、生肉には犬の体に必要な酵素が含まれていることです。
加熱した肉や、ドッグフードにはこの酵素が含まれていないのです。
なぜかというと、酵素は熱に弱いため、48度以上で分解してしまうからです。
生肉に酵素が含まれているのは、加工肉やドッグフードのように加熱されていないからです。
生肉は、犬が酵素を摂取できる数少ない手段のひとつだといっていいでしょう。
この酵素は、犬の体にどのようなメリットを与えるのでしょうか。
まず、犬の免疫力を高めてくれます。
体内への毒素の蓄積を抑え、抗癌細胞の生産を促進する働きもありますので、癌の発症を抑えてくれる働きもあります。
また、変形関節症などを抑え、肥満を防止する働きもあります。
近年、犬に癌や腎臓病などが増えてきているのは、ドッグフードに酵素が含まれていないことに起因しているといえるでしょう。
付け加えると、ドッグフードには犬にとってはあまり栄養にならない植物由来の成分が含まれているため、栄養不足になってしまっているケースもあります。
犬にとってはバランスの良い食事とはドッグフードに頼り切ることではなく、生肉を与えることだといっても過言ではないでしょう。
犬に生肉を与えるデメリット
とはいえ、何事にもデメリットはつきものです。
まず、生肉を与える場合に最初に心配すべきは、寄生虫です。
犬の消化力は人間などと比較して強力ですから、寄生虫がわく可能性は低いのですが、ゼロではありません。
特に、何らかの理由で体が弱っているときは、寄生虫がわく可能性が高くなってしまいます。
犬の体調を良くするために生肉を与えているのが、反対に悪くしてしまったのでは本末転倒です。
また、生肉はどうしても「腐りやすい」という問題を抱えています。
当たり前のことですが、ドッグフードのように長期間の保存はきかないのです。
保存状態が極めて悪いものを与えてしまうと、胃腸に問題が出てしまう可能性が高いです。
このほか、生肉はどうしてもドッグフードと比較するとコストが高くついてしまうというのも、デメリットの一つに数えてもいいかもしれません。
上にも書きましたが、保存がきかないという点がコストパフォーマンスの悪さに拍車をかけています。
生肉はどのようなものを与えたらよいか
上に書きましたように、生肉を与えるに当たっては寄生虫に気を付けなければなりません。
牛や豚は体温が比較的低く、寄生虫がわきやすいので避けるべきです。
特に人間が食べるためにスーパーで販売されているものは、加熱調理することが前提になっていますから、間違っても生で与えてはいけないものだということは留意しておきましょう。
では、どのような生肉を犬に与えるのが適切かといえば、比較的体温が高くて寄生虫のわきにくい鹿や馬の肉がオススメです。
脂肪分が少ないこともあり、栄養バランスに優れているため、肥満を招きにくいのもメリットです。
とはいえ、海外産のものは抗生物質やホルモン剤が含まれていることがほとんどなので、犬の体調面を考えると、必ずしもオススメできるものではありません。
国内の業者に絞り、抗生物質やホルモン剤の含まれていないものを探して与えるようにしましょう。
コストはかかるかもしれませんが、愛犬の体調を考えるなら決して高くないのではないでしょうか。
お金はかかるけど犬に生肉を与えるのは良いこと
結論をいえば、犬に生肉を与えることは理想的なことなのですが、デメリットもあるため、実際に与えるにあたっては注意すべきことがそれなりにあるということになります。
上で述べたように、決して安価なものではありませんので、コスト面で躊躇する人もいるかもしれませんが、愛犬の体のために一肌脱いでみるのも良いのではないでしょうか。