皆さんは、犬のかゆみの原因って考えた事がありますか?
確かに、後ろ脚で体や耳の後ろをかくのはよく見かけるけど、それってあたりまえの事じゃないの?とか、うちの子は室内飼いだから大丈夫。などと考えてはいませんか。
犬のかゆみの原因は、外飼いだけが原因ではないのです。
そんな、様々な原因についてご紹介します。
節足動物によるもの
こちらは、皆さんが一番想像しやすいかゆみの原因ではないでしょう。
いわゆる、ノミ、ダニの類が原因のかゆみです。
犬の場合ですと、イヌツメダニ、ミミヒゼンダニ、イヌセンコウヒゼンダニ等が原因のかゆみです。
イヌツメダニは大きさ0.5mmでハート型のノミです。
小型の若齢犬に感染しやすく、感染した犬はかゆみを覚え、かきむしることで傷や痂皮(いわゆるかさぶた)が出来ます。
こちらは、硫黄系シャンプーで週2~4回、体を洗う事で治療できます。
ミミヒゼンダニ(ミミダニ)は耳の中の耳道に感染し(いわゆる耳疥癬)、外耳炎の原因となります。
耳をかいたり、頭をしきりに振って、かゆがります。
耳の中に黒っぽい耳垢が出ますので、脱脂綿や綿棒に軟膏や植物油を染み込ませて洗浄、消毒します。
また、殺ダニ剤として、ピレスロイド系殺虫剤がよく用いられています。
イヌセンコウヒゼンダニは大きさが0.2~0.4mmのダニです。
頭部や手足の表面の皮膚内部に寄生し、皮膚の肥厚、痂疲、落屑、脱毛などが見られ、非常にかゆがります。
イヌセンコウヒゼンダニの寄生は非常にかゆく、酷い時にはご飯を食べなくなることもあるくらいです。
こちらは、シャンプーとクロタミトンという薬が有用です。
節足動物の感染の場合、診断には患部を観察して虫や卵を発見する必要がありますので、動物病院に連れていくことをオススメします。
アレルギーが原因であるもの
犬にも人間と同じく、アレルギーがあります。
犬のアレルギーには、大きく分けてアトピー性皮膚炎と食物アレルギーがあります。
アトピー性皮膚炎は人間と同じく、アレルゲン(ハウスダスト、花粉、カビなど)と、それに対する過剰な反応が皮膚に起こる事で、かゆみを伴う皮膚炎症状が起こると考えられています。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアや柴犬が比較的発症しやすいと言われており、外耳炎や皮膚炎のかゆみに対して、さらにかきむしることで、ケガや感染症を引き起こします。
ステロイドや免疫抑制剤の投与で対処しますが、場合によっては一生付き合っていく病気です。
食物アレルギーは文字通り食べ物に対するアレルギーの総称です。
アレルギーの原因としてよくあるのが牛肉、ニワトリの卵、小麦、大豆、トウモロコシなどです。
症状はアトピー性皮膚炎と類似しており、かゆみ以外にも口の周囲、外耳道(耳の穴)、手足、背中に炎症や脱毛が見られることが多いと言われています。
こちらの治療はアトピー性皮膚炎と同じ方法をとり、エサの内容を見直すことで改善することが可能です。
他にも、ノミの寄生や化学物質等の接触によるアレルギーでかゆみが出ることがあります。
内分泌性疾患が原因であるもの
体内には、甲状腺、副腎とったホルモンを分泌する臓器があります。
そういった臓器の異常や腫瘍により、ホルモンの分泌量が過剰になったり足りなくなったりして、毛が抜けたり、皮膚の炎症、膿皮症が起こり、犬がかゆがる原因となることがあります。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、腎臓の近くにある副腎という小さな臓器から分泌されるグルココルチコイドの分泌量が過剰になり、起こる病気の総称です。
主に5歳以上の犬で見られ、かかりやすい犬種はありませんが、メスの方が多いと言われています。
クッシング症候群は、副腎事態に異常がある場合と、脳の下垂体という部分に異常がある場合があります。
その原因によって治療法が異なりますので、動物病院での検査が必須です。
甲状腺機能低下症は、首の辺りにある甲状腺という臓器から分泌される甲状腺ホルモンの分泌が低下した結果、起こります。
また、甲状腺に異常がないにも関わらず、何らかの原因で甲状腺ホルモン濃度が異常になるオイサイロイドシックシンドロームが、近年問題になっています。
甲状腺ホルモン低下症は、甲状腺ホルモン製剤を投与することで治療し、皮膚症状の改善には4~6週間かかると言われています。
いずれにせよ、内分泌疾患には血液の検査が不可欠ですので動物病院で相談してください。
犬のかゆみの原因はたくさんある
犬の体のかゆみは直接かゆい時もあれば、別の病気によってかゆい時もあります。
普段から犬をしっかりと観察して、かゆがり方が異常だと思ったらすぐに対処できるようにしておきましょう。