犬の体に影響を及ぼす寄生虫として、もっとも近い存在なのがフィラリアです。

蚊によって媒介されるものとして知られているフィラリアは、犬糸状虫症を引き起こし、犬の命を奪うこともあります。

最近では犬を室内で飼っている人も多いのですが、そうした室内飼いの犬にもフィラリアの予防接種は必要と言われています。

その理由とフィラリアの危険性について、ご紹介します。

フィアリアとは

まずフィラリアの予防接種の必要性を考える前に、フィラリアについて正しく知っておく必要があります。

フィラリアは蚊を媒介とする寄生虫で、日本では主にアカイエカによって感染が広まります。

犬の体内に入ったフィラリアは、成長しながら血流に乗り、最終的に犬の心臓にたどり着きます。

そこで成長し、そうめんのような白く細長い30cmほどの成虫となります。

このフィラリアが心臓や肺動脈に大量に寄生されると、血液の循環が悪くなったりします。

また心臓以外の腎臓や肝臓、肺などにも異常をきたすことがあります。

そして、フィラリアは非常に感染力が強く、犬の命にも関わるとても危険な寄生虫です。

予防接種の重要性

フィラリアは、フィラリアの幼虫に感染している蚊に血液を吸われたときに、その幼虫が犬の体内に入ることで感染します。

ウイルスのように空気感染したり、あるいは犬から犬へと感染するものではありません。

ですが、とても感染力が強く、私たちのすぐ身近でも起こりうることです。

しかし、幸いなことに、予防薬を接種することで防げる病気でもあります。

フィラリアの予防薬は、要指示薬といい、獣医さんの処方が必要となります。

これはフィラリアの予防薬が誤った用量や飲み方をすると、逆に犬の命に危険を及ぼすからに他なりません。

また、現在ではさまざまなタイプの薬があり、服用の方法も異なっています。

必ず毎年動物病院に行って感染していないか血液検査をすることと、予防薬を処方してもらうようにします。

室内飼いの犬にも予防接種が必要な理由

フィラリアはなんとなく知ってはいるけど、それほど身近なイメージが湧かないという人もいるかもしれません。

しかし、昔から多くの犬がこのフィラリアによって命を落としています。

日本でも、決して珍しい病気ではないということを念頭に置いてください。

最近では、家の中で犬を飼う人も多くなっています。

フィラリアは蚊によって媒介される病気なので、もちろん蚊と接触がなければ感染の心配はありません。

そのため、「そこまで心配しなくてもいいのでは…?」と思う人もいると思います。

しかし、ちょっとした隙に室内に蚊が入ったり、散歩などのタイミングにも危険が潜んでいます。

また、最近の住宅事情にも少し心配な点があるため、ひとつずつその危険性を説明していきます。

どこに蚊がいるかわからない

家の中で蚊を飼っているなんて人は、きっと少ないと思います。

しかし、春から夏にかけて、いつのまにか部屋の中で蚊が飛んでいるというのも決して珍しいことではありません。

玄関の出入りや、窓を開けたり、洗濯物を干したりするタイミングでも、蚊が入ってきてしまうこともあります。

室内だからといって、まったく蚊と接触しないことはないでしょう。

また、蚊取り線香などを使っていても、安心できるわけではありません。

寝ている間にいつのまにか蚊に食われた経験も、誰にでも一度や二度はありますよね。

小さく、そしてどこにいるかわからない蚊が、いつのまにか犬の血を吸うこともあります。

室内だから蚊に食われないということは、ないと言い切れないのです。

散歩中にも危険性がある

室内で飼っているでも、散歩に連れて行くこともありますよね。

外にいる時間が少ないからといって、まったく外に出ないことはありません。

そうしたときに、蚊に食われてしまうということは、可能性として非常に高いと言えます。

犬用の虫除けを使っていても、100%防げるというのは過信と言わざるをえません。

また、犬が散歩で好むような草むらや水場の近くは、蚊の多くいる生息地になります。

犬を飼うときには、運動不足やストレスの解消のために散歩は欠かせません。

そうした散歩やちょっとした外出中にも、フィラリアの感染の危険性が潜んでいます。

果たして、犬の飼い主として、そうした可能性を無視できるでしょうか。

蚊の生息期間が長くなっている

蚊は15℃以下になると生息できず、姿を消すと言われています。

ですので、フィラリアの予防薬も、以前は春から秋にかけて投与することが一般的でした。

しかし、最近では、冬に蚊を見ることもあったりしませんか?こうした現象の理由には、温暖化も関係していると言われています。

蚊の生活できる期間が長くなり、より接触の機会が多くなっているということも心配されます。

また、最近では、屋内やそれほど寒くない場所で蚊が繁殖するということも起こっています。

屋内にある水場やマンションなどの共用空間で、冬でも蚊が生息できる場所が増えているのです。

こうした住宅環境の変化により、一年を通して蚊と接触するリスクがあるとも言えます。

室内犬でもフィラリア予防に努めよう

寄生虫といっても、なかなか感染したりするイメージはできないかもしれません。

しかし、このようにとても身近なところで、犬のフィラリアに感染するリスクというのは存在しています。

ですので、室内飼いだからといって、安心できるということはありません。

フィラリアは正しく予防していれば防げる病気です。

こうしたリスクがある以上、やはり飼い主として、しっかりと予防策を講じておきたいものですね。