犬の尿は、人間同様、健康状態をチェックする事ができる大切なものです。
もし血尿を発見した場合、様々な病気が犬に忍び寄っている可能性もあります。
また、見た目にも元気が無かったり、食欲不振などの症状が見られる場合には、命に関わる程、犬の体は弱っています。
犬と1日でも長く健康に過ごす為に、今回は犬が血尿をしている時に考えられることをご紹介します。
まずは疑うべき尿路結石
尿路結石とは、膀胱か尿道に結石(カルシウムなどの結晶が石の様になって出来てしまう現象です)ができる病気です。
この結石が、膀胱か尿道を傷つける為、血尿が出てしまいます。
結石そのものに悪性は無いのですが、結石は放っておくと大きくなり、次第に結石がおしっこの通り道を塞いでしまい、おしっこが出来なくなります。
すると、腎不全や膀胱破裂、尿毒症等を引き起こす可能性があります。
また、この病気は一度かかると再発する可能性がある為、治療後も注意する必要があります。
この病気にかかっている場合、血尿の他に、トイレの回数が増えたり、おしっこが出ない等の症状が上げられますので、この症状がみられた場合には、直ぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
特にコーギーは、かかり易い病気と言われている為、コーギーが血尿を出した場合には、真っ先に尿路結石を疑いましょう。
オス犬は注意すべき急性前立腺炎
急性前立腺炎とは、尿道の先から菌が入り、炎症を起こす病気です。
この病気の場合、発熱や嘔吐、食欲不振、排尿障害(尿が出にくくなる症状)等を引き起こします。
この時、犬は下腹部に痛みを伴っている為、抱っこをしようとすると怒る犬が多くいます。
また、この病気で血尿が見られる場合、症状がかなり進行しています。
この症状が見られているのに放置しておくと、前立腺で繁殖した菌が膀胱にまで広がり、膀胱炎を併発する可能性があります。
急性前立腺炎は名前の通り、オス犬がかかる病気ですが、特に老犬に多く見られる病気です。
その為、7歳を過ぎたオス犬の場合は、気をつけてチェックしてあげましょう。
メス犬は注意すべき膀胱炎
膀胱炎とは、膀胱(腎臓で作られた尿を一時的に溜めておく袋であり、尿道を通して体外へ排出する器官)が炎症を起こす病気です。
この病気を引き起こす原因として、細菌感染やストレス等がみられます。
血尿の他には発熱や食欲不振、尿の濁りや汚臭等の症状がみられます。
それを放置していると、腎盂腎炎や結石症を併発する可能性があります。
この病気は、特にメス犬に見られます。
メスはオスに比べ、尿道から膀胱の距離が短い為、細菌が容易に進入しやすいからです。
メス犬にこれら症状が見られた場合は、要注意です。
食べ物による中毒
犬は、人間が食べても問題無い食品でも、中毒を引き起こす食品があります。
それは、ネギ科の植物、ニンニク、ニラ等です。
これらを犬が食べてしまうと、赤血球が破壊され、血尿や貧血、下痢、嘔吐等を起こします。
また、食べて直ぐにこれらの症状が見られる訳では無く、2~3日程経過した後に発症する事の方が圧倒的に多い為、犬が食べてはいけない食品を口にしてしまった場合、その日もしくは翌日の午前中に動物病院へ連れて行ってあげましょう。
また、食べて直ぐの場合であれば、スプーン1~7杯分の食塩を犬に飲み込ませましょう。
すると水を沢山飲むので、食べてしまったものを体外へ排出できます。
理想は、嘔吐物として出してくれる事です、しかし、この方法はとても体力がいるので、生後1~3歳位の若くて健康な犬に行って下さい。
犬なら感染する可能性があるフィラリア感染症
春になると、動物病院からフィラリア予防のお便りが来る家庭がほとんどです。
このフィラリアという病気は、蚊に刺されると感染すると考えている人が多い様ですが、本来は、フィラリアの幼虫を保有した蚊に刺されると感染する病気です。
しかし、目で見てフィラリアに感染した蚊を認識する事はほぼ不可能な為、いつの間にか「蚊に刺されるとフィラリアになる」と言われる様になったのです。
この病気は、フィラリアの幼虫を保有した蚊が犬を刺し、その際、血管からフィラリアの幼虫が犬の体内へ侵入し、犬の心臓にて成虫となる病気です。
心臓を蝕まれている為、血尿の他、息切れや咳、四肢のむくみ等の症状も見られます。
この病気は放置してしまうと、最終的に呼吸困難になり、死に至る為、必ず病院へ連れて行ってあげましょう。
犬ならば必ず感染する可能性がある病気の為、安心は出来ない病気ですが、近年、毎月の投薬を推奨している動物病院が多いので、この病気にかかる犬は少ないです。
血尿はストレスが原因のことがほとんど
血尿の原因として様々な病気を挙げてきましたが、どの病気に対して共通して言える事は、ストレスが原因という事です。
犬も生き物なので、人間の様に不安や不満を抱えます。
そんな時、菌や虫が体へ侵入してしまうと、心だけではなく、体も不調になってしまいます。
犬と沢山コミュニケーションを取り続けて、犬の変化を見抜き、病気を未然に防いであげましょう。