犬の腰が後ろにひけている体勢を取った時に、犬はどんな気持ちで何を表しているのでしょうか?
そんな時の犬の気持ちや飼い主の対処の仕方についてご紹介します。
1.いつ腰がひけている体勢になるのか
犬の腰がひけている体勢はどんな時にあらわれるのでしょうか?
例えば、公園で小さい犬が大きい犬に会った時、初対面の人に会った時、高いところに登った時、見たことがないものに出会った時、叱られた時などです。
体重を後ろ足にかけて、後ろ足を頼りなさげに浮かせています。
いわゆる「へっぴり腰」の状態です。
この時尻尾を股の間に挟み込んでいることもあります。
2.犬の腰がひけている時の犬の心理
犬がこのような姿勢を取るのは、恐怖を感じている時、警戒心を持っている時です。
体重を後ろ足にかけているのは、いつでも逃げ出せるように準備をしている体勢です。
尻尾を股の間に挟み込むのは「降伏」「服従」を表します。
犬は「怖い」「どうしよう」「逃げたい」「これ以上近づかないで」「降参だから攻撃しないで」などの気持ちを持っています。
3.犬は他愛のないものを怖がる
犬は人間からしたら「なぜこんなものを?」というものを怖がることがあります。
例えば鏡を見ておびえてへっぴり腰になる犬がいます。
鏡に映るものが自分自身であるとは理解できずに敵だと思ってしまうのでしょう。
鏡は犬には理解できないものなので、犬がおびえるようなら見えないところに動かしましょう。
雪を初めて見る子犬がへっぴり腰になることがあります。
微笑ましいですが、犬としては真剣に怖がっているのでしょう。
なぜかポップコーンをやると怖がってへっぴり腰になる犬もいます。
なぜポップコーンが怖いのかわかりませんが、初めて見るものはとにかく何でも怖いのです。
4.犬の腰がひけている時に人間がしてはいけない行動
犬の腰がひけている時は、人間からしたらおかしくて笑ってしまうようなシチュエーションもあります。
しかし犬にすれば体内のアドレナリン分泌量が上がっていて、血圧、心拍数が上がってストレスにさらされている状況です。
「恐怖で寿命が縮まる」というのは本当のことです。
犬の健康のためにもわざと怖がらせてからかったりしないようにしましょう。
また犬が恐怖、警戒のサインを表している時に不用意に近づくと、反撃に転じて噛まれることがあります。
「窮鼠猫を噛む」と言いますが、野生動物は恐怖を感じて追いつめられると攻撃を始めます。
腰がひけている犬に対しては、強引に近づかないように、そっと見守るようにしましょう。
正面から近寄る、手を上に上げる、大声を出して近づくなどの行動は、犬には「攻撃のサイン」と受け取られます。
近寄る時には正面からではなく横から回り込んで寄り添うようにして、静かに首の下を撫でたりして犬を落ち着かせてあげましょう。
5.警戒心が強い犬にはどうすれば良いか
警戒心は犬が身を守るための本能ですが、それが強すぎていつもおびえたり吠えたりすると考えものです。
例えば公園で他の犬に会うたびにへっぴり腰ポーズになってしまう犬は、今までの生育環境から他の犬に接する機会が少なく社交性が育っていないので、どの犬に対しても恐怖を感じてしまうのでしょう。
そんな時は飼い主が他の犬と積極的に交わるようにしてください。
飼い主がリラックスして他の犬と楽しそうにしていれば、犬は「怖くないのかな?」と思って徐々に他の犬に対して恐怖心を解いていくでしょう。
飼い主に対して何かとへっぴり腰になる犬は、しつけが厳しすぎて卑屈になっているのかもしれません。
もう一度しつけの仕方を考え直してみましょう。
叱る時にはただ怒鳴って服従させるのではなく、穏やかに悪いところを諭してわからせるようにしましょう。
叱る時にも愛情をかけることを忘れないようにして、うまくできたら犬を褒めて自信を持たせるようにしましょう。
初対面の人に対してへっぴり腰になるのは、犬の本能から仕方がないことですが、吠え掛かったり噛もうとすると問題です。
子犬の時から飼い主以外の人と接する機会を設けて、人間に慣れさせるようにしましょう。
またゲストが犬に会う時、犬のことを良く知らない人の場合には、
「正面から近づかないように、手を上げたり大声を出さないように、いきなり頭を撫でないように」など。
気をつけることをあらかじめ告げておきましょう。
6.特に警戒心が強い犬種
犬の中でも特に警戒心が強い犬種があります。
番犬に向いている犬種は皆警戒心が強いです。
秋田犬、柴犬、ドーベルマン、ジャーマンシェパードドッグ、ブルマスティフ、ジャイアントシュナイザー、テリアなどです。
小型犬で警戒心が強い犬は、パピヨン、チワワ、ヨークシャーテリア、マルチーズなどです。
こうした小型犬は、公園で大きい犬に会うと、吠えながらもしばしば腰がひけています。
犬の腰がひけてしまっている理由を知ろう
犬の腰がひけているのは、恐怖心、警戒心のあらわれです。
犬が恐怖を感じている時に人間がいきなり近づくと、さらに恐怖を感じて攻撃に転じることがあるので気をつけましょう。
犬が頻繁にこのポーズを取るようなら、生活環境やしつけをもう一度見直してみましょう。