人間の行動に理由があるように、犬の行動にもちゃんとした理由があるのです。
よく取るとされている行動には、その由来と理由があり、愛犬の気持ちを理解する手助けになるかもしれません。
犬がよくする行動と、その意味について説明していきましょう。
飼い主の足を鼻でつつく時は構って欲しいアピール
例えばテレビを見ていたり、家事で手が離せなかったりするときに、犬が足をツンツンと鼻でつついてくることがありますよね。
犬を飼っている人なら、思い当たる節があるのではないでしょうか。
これは「自分に構ってほしい」ということをアピールしているのです。
こうしたときには、ほんの少しだけでも構いませんので、頭を撫でるなど構ってあげる方が良いでしょう。
体を寄せてきたり、お腹を見せたりするようなときもそうです。
特にお腹を見せるときは「構ってよ」と強くアピールしているときなので、放置しないようにしてください。
来客のにおいを嗅ぐ時は相手を確認
家にお客さんが来た時に、犬が真っ先ににおいを嗅ぐのを見たことのある人は多いのではないでしょうか。
手や足、場合によってはお尻のにおいなどを嗅いでいるのを見て、あれには何の意味があるのだろうかと不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。
実は犬は、相手が初対面かどうか、どういう人なのかをにおいで感じ取ろうとするのです。
これは犬同士にも言えることで、お互いにお尻のにおいを嗅ぎあうことで、相手を認識しているのです。
同じことを人間に対しても行っていると考えて良いでしょう。
ちなみに犬の嗅覚は、人間の100万倍とも1億倍とも言われる能力を持つ優れものです。
これだけ高性能ならば、つい鼻に頼ってしまうのも分かるような気がしますね。
「お座り」するまえにグルグル回る時は寝床アピール
寝る前や座る前に、犬がグルグルと回るような行動を見せることがあります。
これもよく取る行動のひとつですが、これには2つの意味があるとされています。
ひとつは犬が野生だったころの名残です。
グルグルと回ることで草などを踏み固めて場所を整え、眠りやすくしているというのです。
そもそも犬は欧州のオオカミがルーツだということが遺伝子から分かっていますので、そうした野生の習性が残っていても不思議ではありません。
もうひとつは、グルグル回ることで自分のにおいを付着させているのです。
これによって「ここは自分の場所だ」ということを主張したり、母犬が子犬に寝床を教えていたりするのです。
これも犬がにおいによって相手を認識しているがゆえの行動です。
顔や手をなめる時は愛情の証
愛犬がいきなりあなたを舌でなめてくることがあります。
顔を舐められたという人も多いのではないでしょうか。
これは、犬があなたに親愛の情を示し、服従していることを表しているのです。
犬は集団生活の動物で、飼い主を自分の上位にいると見ていますので、こういう行動を取ってくるようなら、あなたは立派な飼い主だと言えるのではないでしょうか。
ただ、顔を舐めるのは衛生上の問題があるため、嫌だという人もいつかと思います。
犬にとってはなめる場所は必ずしも顔である必要はありませんので、犬の信頼感を大切にしたいのでしたら、手を舐めさせてあげることで譲歩しましょう。
ガラクタを集めたり穴を掘ったりする時は隠そうとしている
犬小屋にスリッパや子供のオモチャなど、ガラクタを溜め込んでいるケースは珍しくありません。
室内飼いで小屋がない場合は、カーペットの下に隠しているケースもあります。
これも野生時代の習性からくるもので、食べ物を残したときに一時的に隠しておく行動が変化したものです。
犬が庭を前足で掘るのも、これと同じことです。
もともとは穴を掘って隠していたとされており、その習性が残っているのです。
ただ、こうした行動を取るときには、あまり構ってあげられなくて犬にストレスが溜まっているというケースも考えられます。
こういう状況で放置すると、信頼を失ってしまう可能性もあります。
犬のストレスのサインだと考えて、しっかりと構ってあげるのが安全かもしれませんね。
自分の糞を食べてしまう時は好奇心
いわゆる「食糞」という行為で、それほど珍しくはない行為とも言えます。
これは子犬時代の好奇心がベースになっています。
自分の糞を見て「なんだろう」と興味を持ち、食べてみようとすることがこの行動の理由です。
ただ、子犬のうちにちゃんとしつけておかないと、大人になっても食糞の習慣が残ってしまうケースがあります。
そうならないようにするためには、食糞をしている最中にちゃんと叱ることが必要です。
場合によっては、エサに食糞防止用のシロップをまぜておくのも良いでしょう。
なお、大人の場合はストレスから食糞をするケースもあるようですので、愛犬のメンタル面には十分に注意を払っておいてください。
犬の気持ちを行動から察してあげよう
人間に感情があるように、犬にだって感情はあります。
犬がよく取る行動のひとつひとつは、喜怒哀楽の表出だと考えて良いでしょう。
愛犬のそうした行動を見逃さず、感情に対して的確な行動を取ってあげることができれば、あなたは優れた飼い主になることができるのではないでしょうか。