犬は温厚な動物である為、ペットとして幅広く親しまれていますが、一方で、非常に攻撃的で噛みつき癖などがある飼い犬もいます。

周囲はもちろん、犬自身にとって取り返しのつかない事にならないよう、原因としつけ方を見てみましょう。

飼い主の優位性を確立させる

矯正の為の具体的な方策は幾つかありますが、共通して基本となるのは、飼い主の方が上位にいるのだと、犬にしっかり理解させる事です。

犬を友達、あるいは家族同然に可愛がる事自体は非難されるものではありませんが、彼らが人に飼われている以上、人間が徹底して上位にならなければお互いの生活は上手くいきません。

この現実を蔑ろにして、人間と同じように自由を与えてしまった結果、犬は我慢をするべき領域がわからなくなり、我慢が効かずに攻撃的になってしまう例がとても多いのです。

犬に対して可哀想と思ってしまう飼い主さんも多いとは思いますが、毅然とした態度を取らなければ、飼い主以上に犬が大変な思いをする事になってしまいます。

攻撃的な犬をしつける際には、必ず人間の言う事を犬に聞かせて、終わる形にする必要があります。

その為に基本として用いられるのは、正しい行動後のご褒美と、間違った行動に対する罰です。

正しい行動をした時にご褒美をあげる

正しい行動をした時に、「よくできました」という意味を込めて何らかの報酬を与える事は、攻撃的な犬に対して有効です。

例えば、前方から別の犬が近づいてきたとして、それに対して唸るなどしたら、即座に「ダメ」と言う必要があります。

この時、素直に指示に従ったのを確認したら、すぐに何かの褒め言葉や報酬を与えるのです。

具体的には、声に出して褒める、優しく撫でるなどの他、時にはオヤツなどを与えても良いでしょう。

また、これとは別に、犬の正しい行動に対して、「嫌がる事をしない」というやり方のご褒美もあります。

犬のとった不適切な行動に対しては罰が必要ですが、逆に犬が正しい行動をとったのならば、その罰をすぐに止める、という方法です。

これらを繰り返す事で、「このような事をすると報酬がある」という事を体感的に覚え、正しい行動を身に着けていくのです。

間違った時の罰

ご褒美を与える事も重要ですが、それは違反した時の適切な罰と組み合わせて、初めて効果を発揮します。

人間の手などに噛みつく、他の犬や人に吠え掛かるなどの行動をした時には、はっきり叱らなければなりません。

基本的には声を使って注意しますが、飛び掛かろうとする行為に対して、ハーネスの紐を一時的にギュッと締めるのも有効です。

また、罰をこちらから「与える」のではなく、犬の楽しみになっている事、例えば遊びの時間やオヤツなどを「取り上げる」という手段もあります。

注意すべきは、特に攻撃的な犬の場合、「叩く」という方法は絶対にとってはいけないという事です。

これは決して効果的な罰とはならず、むしろ飼い主が手を噛まれたり、恐怖から余計に攻撃的になったりするケースがほとんどです。

言葉だけではどうしても不十分と感じたならば、犬の首輪を掴んで、軽く左右に振る程度に留めておきましょう。

焦って改善しようとしない

ここまで述べてきた方法を何度も繰り返して、攻撃的な犬を少しずつ矯正していく事ができます。

実行するにあたり、忘れてはいけないのは、焦って進めようとしてはならない、という事です。

犬は機械ではありませんから、全てが順調に上手くいくわけではなく、進展が見られない事もあり、場合によっては後退して元に戻ってしまう場合もあります。

しかし、吠えたり噛みついたりという行為は、そもそもが犬と言う動物の本能から出ているものですので、ある程度の反発がくる事は当然です。

特に成犬になった後に攻撃性を直そうとする場合、既に性格が固まっているところをもう一度変えようとする訳ですから、その分だけ難航します。

そこで、変化がすぐに表れてこない事に焦って、無理なしつけをしてしまっては、ますます成果が出るのが遠のいてしまいます。

結果を急がず、犬と歩調を合わせて、一つずつ行動の問題点を修正していきましょう。

攻撃的な犬をしつけよう

犬の攻撃性を抑える為のしつけは、正しい方法を採らなければならないのはもちろん、その場に応じた臨機応変な対応が必要な事もあります。

このような犬の矯正トレーニングを引き受けている専門家もいますので、自分一人では手に負えない場合、そういった場所を頼るのも一つの方法です。

そうした対策をして攻撃的な犬をしつけましょう。