犬は基本的に肉食動物なのですが、野菜が食べられないというわけではありません。
きゅうりもその「食べられる野菜」のひとつで、摂取することで犬に色々なメリットがあります。
そこで今回は犬にきゅうりを与えることのメリットと、与える際の注意点をご紹介します。
犬にきゅうりを与えるメリット
まず知っておいてほしいのは、きゅうりをはじめとするウリ科の野菜は水分が多く、利尿作用があるということです。
犬は人間ほど汗をかくようにはできていませんので、必然的に暑さには強くありません。
特に夏場は熱中症に気を付ける必要があります。
水分の摂取によってある程度は体温を下げることもできますが、それでも十分ではありません。
こんなときに役に立つのがきゅうりの利尿作用です。
尿の排出を促すことにより、犬の体温を下げるようにしてくれるのです。
夏場の熱中症が心配な時期にきゅうりを上手に与えれば、肉体的なダメージを軽減することも可能になってくるのです。
付け加えると、きゅうりにはβカロチンやカリウムといった犬の体にとって必要な栄養分が含まれています。
ドッグフードだけではこうした栄養分を十分に摂取することは難しいので、犬の健康をサポートするためには、可能であれば摂取した方が良い食べ物ではあるのです。
薄く切ってから与える
犬は基本的に肉食動物です。
奥歯を見ると人間のように先が平らになっておらず、人間の犬歯のように先が尖っています。
これは野菜など繊維質のものを咀嚼するのが苦手だということを意味しています。
「よく噛んで食べる」ことは得意ではありません。
このため、きゅうりを大きめに切って与えてしまうと、そのままのみ込んでしまう可能性があります。
運が悪いとのどに詰まってしまう危険性がありますし、詰まらなかったとしても消化に良くありません。
せっかく体に良いきゅうりを与えたのに、栄養分が十分に吸収しきれないということになってしまいかねません。
犬にきゅうりを与えるときには、薄く切るなど、最初から食べやすいような形にしておいてあげましょう。
そうすれば、たとえ犬が噛まずに飲み込んでも、喉に詰まってしまうこともありませんし、消化も十分にできることでしょう。
犬の体は色々な点で人間とは違っていることを、しっかりと理解しておく必要があります。
室内飼いの犬は利尿効果が裏目に出ることも
きゅうりには利尿効果があり、犬の体温を下げるのに役立ってくれます。
ただ、室内飼いの犬にとっては、この利尿効果が裏目に出てしまうケースがあるのです。
犬は賢い動物ですので、室内では排尿や排便を我慢してしまうケースがあります。
散歩のとき、外でまとめて排出してしまうというわけです。
こうした犬に利尿効果のあるきゅうりを与えた場合、部屋の中でずっと我慢し続けてしまうことになってしまいかねません。
それ自体も犬にとってはストレスなのですが、永久に我慢し続けるわけにはいきませんので、いつかは限界に達して粗相をしてしまうのです。
部屋の掃除をしなければならない飼い主も大変ですが、犬の方も悪いことをしてしまったということは自覚していますので、さらなるストレスを招いてしまいかねません。
利尿効果の落とし穴と言えるでしょう。
室内飼いの犬の場合、こうしたケースは十分に考えられますので、犬の性格を考慮した上で、きゅうりを与えるべきかどうか判断するようにしましょう。
味は絶対につけないこと
これも知っておいてほしいことですが、犬の舌には味を感じる器官があまりなく、特に塩味を感じる器官が全くありません。
これは犬が塩味を感じることができないということを意味しています。
人間がきゅうりを食べるときは、基本的に塩やドレッシングをかけるなど、何らかの味付けをします。
これをそのまま犬に与えるのは問題があります。
上記のように犬は塩味を感じることができませんから、塩分が過剰だということを理解できません。
調子に乗ってたくさん食べてしまうと、塩分過剰になってしまいかねません。
人間でも塩分の過剰摂取は高血圧を初め、色々な病気の原因になるくらいですから、犬だってそれは同じことです。
塩分はドッグフードにも含まれていますので、それ以上与えると塩分過剰になってしまう可能性があります。
犬にきゅうりを与えるときは、何の味もついていない方が良いのです。
むしろ、味がついているものは決して与えないでください。
アレルギーのある個体には与えないこと
アレルギーについては個体差があるとしか言えませんが、きゅうりを初めとするウリ科の野菜にアレルギー反応を示す犬がいることは確認されています。
犬にきゅうりを与えた後に皮膚炎や下痢、目の充血などの症状が出た場合には、ウリ科アレルギーの可能性があります。
食べてすぐに吐き出してしまったようなケースも要注意です。
犬にきゅうりを与えるのは、あくまでも上記のメリットがあるからです。
アレルギー反応が出るケースでは、メリットが帳消し以下になってしまいます。
ウリ科アレルギーを持っている個体には、決してきゅうりを与えないようにしてください。
犬にきゅうりをあげるときは注意しよう
犬にきゅうりを与えることは色々なメリットもありますが、無闇に与えて良いというものでもありません。
犬の体質や性格を十分に考慮したうえで、適切に与えるようにすることが、犬の健康増進に努める飼い主のあるべき姿ではないでしょうか。