犬の祖先はオオカミであり、遠吠えをする習性を持っています。
この困った行動の1つでもある遠吠えについて、行動の持つ意味や愛犬の伝えたいことを理解し、上手に付き合っていきましょう。
寂しい
犬は本来群れで生活する動物であり、ペットとしても長い間人と共に生きてきたので、単独で生きていたことはありません。
そのため、単独の行動には慣れておらず、独りになるととても寂しい気持ちになりがちです。
現代でも、犬はペットとして人と共に生きていますが、性格が甘えん坊だったり、寂しがり屋だったりすると、飼い主の外出時など独りの時間はとても辛く、寂しい時間となります。
短時間なら留守番できる子もいますが、長時間独りになると、寂しくて、感情的に遠吠えをする場合があります。
このタイプの遠吠えは、留守番中などの独りのタイミングが多いですが、飼い主が家に居たとしても、「かまってほしい」と遠吠えする子もいます。
このような遠吠えをする子は分離不安になっている可能性があります。
飼い主との距離を少しずつ離していき、独りの時間に慣れさせることで、最終的に、留守番がちゃんとできるようにしてあげましょう。
ストレス発散
人と同じで、犬もストレスを感じる生き物です。
ストレスの原因や度合いは犬種やその子の性格によっても様々で、ストレスを溜めやすい子・溜めにくい子、ストレス発散が上手い子・下手な子がいます。
特に、神経質だったり、警戒心が強かったり、寂しがり屋だったりする子は、ストレスを感じやすい傾向にあります。
ストレス発散の方法も犬によって違います。
例えば、ストレスを感じると、足を舐め続けたり、ケージの中をくるくると回っていたりする子がいますが、ストレス発散法の1つとして遠吠えをする子もいます。
人も大きい声を出すとスッキリしますよね。
犬も一緒です。
このような行動が見られたら、一度ストレスの原因は何かと考えてあげて、その原因を取り除くようにしてあげましょう。
楽しい
犬は、楽しい事が大好きです。
自分の大好きな飼い主が思いっきり遊んでくれたり、オーバーに褒めてくれたりすると、それはもう楽しくて、嬉しくて、テンションが高くなります。
この時、気持ちが高ぶって、遠吠えをする子がいます。
寂しい時の感情とは真逆ですが、このような楽しくて嬉しくて仕方ない時の遠吠えも犬の感情表現の一つです。
大きな声で遠吠えする事には変わりなく、もう少し静かに喜んで欲しいと思うかもしれませんが、良い感情表現でもありますので、その時は、思いっきり一緒に遊んで、褒めてあげて、可愛がって、十分にコミュニケーションをとってあげましょう。
仲間とのコミュニケーション
犬にはオオカミの血が入っています。
オオカミは群れで生活し、仲間とコミュニケーションをする動物ですので、コミュニケーションの一つとして遠吠えをします。
オオカミが改良されペットとして飼われるようになった犬にも、遠吠えは本能として備わっているという事です。
近所の犬が遠吠えをすると、それを聞いて、飼っている犬が反応して遠吠えをすることがあります。
これがまさに、犬同士のコミュニケーションということです。
また、救急車やパトカーのサイレンの音に反応して遠吠えをする場合などがあります。
これは、サイレンの音が犬の遠吠えの周波数に似ており、犬の遠吠えと勘違いして反応していると言われています。
仲間とのコミュニケーションのための遠吠えは、オオカミに近い犬種に現れやすい習性の傾向にあります。
癖
人にも、ついついやってしまう癖があると思いますが、犬も人と同じように色々な癖があり、その一つに遠吠えがあります。
癖になるきっかけは様々ありますが、ストレス発散や寂しさなどです。
その原因を取り除いた後も癖として残ってしまう場合があります。
単なるストレス発散をしている場合や、寂しくて感情的に遠吠えをして何かを訴えている場合もありますが、何もする事が無く、暇つぶしに遠吠えをするなど目的のない遠吠えが癖になってしまうと、なかなか止めさせることが難しくなってしまいます。
癖になってしまう前に、なぜ遠吠えをしているのか原因を探り、その原因を早めに取り除くことが重要です。
認知症
犬も年をとると認知症になる子がいます。
認知症は10歳を越えてからの発症が多いです。
認知症になってしまうと、性格的には、何に対しても興味や反応が無くなったり、逆に攻撃的になったり、日常生活では、トイレがきちんとできなくなったり、昼夜逆転の生活になったりと、色々な問題行動が増えてきます。
その問題行動の一つとして、遠吠えがあります。
これは、感情的なものとは少し違うので、なかなか止めさせることができません。
困ったことに、人が寝静まった夜中に遠吠えする子が多いので、飼い主もなかなか寝付けなかったり、近所に気を使わなければいけなくなったりします。
認知症になりやすい犬種は、日本犬、特に柴犬や日本犬の血が入った雑種に多く見られます。
精神安定剤や、睡眠薬などを使って遠吠えを軽くする方法もありますので、どうしようもできなくなってしまったら、一度、病院で相談してみましょう。
遠吠えの原因を取り除いてあげよう
遠吠えは、オオカミに近い種類の犬に多い傾向にありますが、室内外の小型犬でも性格によっては遠吠えをする子もいます。
愛犬が大きい声で遠吠えをすると、飼い主の睡眠が十分に取れなかったり、近所への迷惑を気にしてしまったりと、飼い主もストレスが溜まってしまいます。
こうなる事を防ぐため、愛犬の行動に気を配り、遠吠えの原因をいち早く取り除くようにしましょう。