サモエドの歴史を振り返ると、3,000年以上前にさかのぼることになります。
ロシアの中央シベリアで暮らすネネツ族(古称サモエード族)と共に暮らしていたとされています。
3,000年もの長い年月を人間と過ごしてきたサモエドは、人間に対して大変友好的な性格を持ち合わせています。
ソリ引きや狩猟などもこなす大切な存在
ネネツ族は移動手段のためにトナカイを飼っていました。
そのトナカイ達の管理や、雪国に住まう獰猛な動物達からトナカイを守るために、サモエドが番犬をしていたのです。
また、サモエドは猟犬としても重宝されてきました。
人間と信頼関係を築いてきたサモエドは頭も良く、人間の言うことをしっかりと聞くことができます。
さらにサモエドはなんと、ソリ引きもしていたのです。
極寒の地では荷物などを運ぶために、乗り物を使うことができません。
そのため、強靭な肉体を持つサモエドはソリ引きにも従事していました。
ネネツ族にとっては生きていくためにとても大切で、信頼する仲間だと言えることでしょう。
シベリアン・スピッツ
サモエドの別名はシベリアン・スピッツと言います。
その語源は体型が典型的なスピッツ系であることからきていますが、日本スピッツをそのまま大きくした感じを想像すれば分かりやすいでしょう。
しかし、小型犬の日本スピッツと比べると大きさはかなり違います。
サモエドの体格は、オスで体高53-60cm体重25-30kgメスで体高48-53cm体重18-23kgとかなり幅広いですが、被毛を考えるともう1回りほど大きく考えると良いでしょう。
また、サモエドは先ほども書いたように、とても筋肉質な体を持っています。
極寒の地でもソリ引きに従事できるほどの体力もありますので、日頃の散歩でも十分な距離と時間を取ってあげることが大事です。
毎日の運動ができないとストレスを溜めてしまい、無駄吠えなどの原因にもつながってしまうので、なるべく毎日、満足するまで運動をさせてあげましょう。
二層構造な被毛
そんなサモエド、体も大きいですが、より目を引くのが分厚い被毛です。
実は二層の構造になっていて、非常に耐寒に優れています。
ふわふわでとても気持ちが良いですが、飼う際に大変な点がブラッシングです。
長毛種なので想像はつくと思いますが、1週間に2~3回のブラッシングが必要です。
ブラッシングをしていないと毛玉ができてしまったり、抜け毛がしっかりと抜けずに通気性が悪くなって、皮膚の疾患を患ってしまうこともあります。
換毛期でなくてもブラッシングは忘れずにしてあげましょう。
また、サモエドの被毛はネネツ族によって衣服を編まれ、それで暖を取るほど防寒性が高いという特徴があります。
そんな被毛に包まれている訳ですから、サモエドは寒さに強い反面、暑さにはとても弱い犬です。
近年の日本の夏などは30度を超えることがよくありますから、サモエドにとっては辛い時期になります。
夏場は冷房をフル稼働して、サモエドが熱中症にならないように注意しましょう。
人にも犬にも友好的
3000年も人と暮らしてきたサモエドは、とても人懐っこい性格をしています。
かつて湯たんぽ代わりとして人とずっと一緒にいたこともあってか、甘えん坊でいつも誰かと一緒にいたいと思うほどです。
落ち着いた性格をしているので、子供と一緒にいさせても暴れたりしません。
そして、その相手は人に限りません。
そう、サモエドは他の犬にもとても友好的です。
ソリ引きができていたのも、その性格あってのことでしょう。
ソリ引きは犬同士の協調性が大事です。
現在でもその性格は引き継がれていて、サモエドは協調性があり、また知恵もあります。
個々の性格にもよるとは思いますが、他の犬の群れの中にいても自分の立ち位置をよく分かっていると言われます。
表情豊かで愛くるしいサモエド
なんといってもサモエドの魅力はサモエドスマイルです。
口角がきゅっと上がって黒目がち、まるで微笑んでいるような表情をそう呼び、サモエドファンの人々の間で親しまれています。
そして人間が大好きなサモエドは、いつでも飼い主に構って欲しいと思っています。
飼い主が寝ているとまるで「寝ないで、僕と遊んでよ」と言うように、鼻先や前足でつついてくることもあります。
吠えたりせずに静かに寄り添ってくる行動が”わざと”なのかは分かりませんが、一度サモエドの魅力にはまってしまった人には威力抜群の行動ですよね。
サモエドと一緒に暮らそう
サモエドは被毛と室温、そして運動の管理をしっかりすればとても飼いやすい犬種です。
何度も書きましたが、温和な性格で人間・子供好き、他の犬とも社交的に接することができるので、周りにも迷惑がかかりませんし、家族を喜ばすことも大好きなので、飼い主の命令もしっかりと従うことができます。
命令を聞くことができたら、思う存分褒めてあげましょう。
サモエドにとってはとても嬉しいことです。
人間1人分の存在感があるので、家族で飼っている方にとってはもう1人の子供という感覚になることでしょう。
そして、サモエドに限ったことではありませんが、飼うことを決心したらたっぷりと愛情を注いであげてください。
大切なのは、最後の最期までしっかりと愛情と責任を持って世話をすることです。
愛した分だけきっと、飼い主にも愛情を返してくれることでしょう。