犬の飼育頭数は1千万頭を超え、もはや犬も社会の一員であるといえるでしょう。
犬の中には、特別な教育を受けて社会に貢献する犬や、社会の助けを必要とする犬もいます。
そこで、そのような犬たちに関わるボランティアをご紹介します。
パピーウォーカー
盲導犬をはじめとする身体障がい者補助犬の育成には、多くのボランティアが関わっています。
その中でも、盲導犬などの子犬を飼育するパピーウォーカーと呼ばれるボランティアは特に有名でしょう。
パピーウォーカーの仕事は、補助犬候補の子犬を生後2ヶ月から10ヶ月くらいまでの間育てることです。
この時期に子犬はパピーウォーカーとの触れ合いを通して、人間との生活の楽しさや、社会生活を営む上で必要になるルール・マナーを教わることで、補助犬としての基礎を学んでいきます。
条件を満たす人であればパピーウォーカーのボランティアに参加することができます。
その条件には車で犬の送迎ができること、月1回実施される研修会に参加できること、留守がちでない、一人暮らしでない、室内飼育が可能、他に犬を飼育していないなどがあげられます。
また、子犬に関わる費用の多くがパピーウォーカーの負担になるため、ある程度余裕を持った家庭であることが望ましいでしょう。
パピーウォーカーに興味があるという方は各訓練所で説明会や体験が実施されていますので、最寄の訓練所に問い合わせてみると良いでしょう。
引退犬などの飼育
盲導犬などの補助犬は訓練を終えてからおよそ8年間、2歳から10歳の間はユーザーのもとで働き続けます。
10歳を過ぎるとその役目を終え、引退します。
その後は引退犬ボランティアのもとで余生を過ごすことが多いです。
一般の家庭の方に引き取ってもらったり、ユーザーだった方が引き続き飼育したりしますが、中には子犬のときに世話をしてもらっていた方のもとに引き取られることもあります。
キャリアチェンジ犬と呼ばれる犬を飼育するボランティアもあります。
キャリアチェンジ犬とは身体的な懸念があるものや、適正が合わないと判断された犬が進路変更したものを指します。
さらには繁殖犬飼育ボランティアというものも存在します。
盲導犬などとしての素質を持った犬を繁殖犬として引退するまで預かり、飼育するボランティアです。
メス犬の場合は発情期がきたら協会に連絡を入れる必要があり、オス犬の場合は交配の予定があるとき協会を連れて行くことになります。
以上のように、身体障がい者補助犬の養成に関わるボランティアは非常に多彩で、条件を満たせば一般の方でも参加できることが多いのが特徴と言えます。
捨て犬の保護・里親探し
残念なことではありますが、犬たちが飼い主に捨てられたり、はぐれて迷い犬になってしまう例は後を絶ちません。
中には、保護されても最終的には処分されてしまうものも少なくないでしょう。
そのようなことになる犬を1頭でも減らすために活動するボランティア団体は、全国各地に多数存在します。
彼らの活動もまた多岐にわたり、飼い主不明の犬のレスキューのみならず、保護した犬のケアや引き取ってくれる里親の募集など、犬に直接関わることやその活動自体の広報も含むといって良いでしょう。
特に里親募集は彼らの目的のひとつでもあるので、これに関してはインターネットでの募集、保護犬の譲渡会やお見合いなどといった犬と新しい飼い主をマッチングする活動が盛んになっています。
保護犬の散歩や一時預かりなど、手軽にはじめられるもの
一般の方でも手軽に始められるボランティアとしては、保護犬たちの散歩や車を用いて彼らをシェルターや病院などに届けるというものがあげられます。
ボランティア団体への現金や物品の寄付も立派なボランティアです。
このような活動をしている団体は慢性的に人手不足なので、スキルにあわせてその運営の補助をするということもできるでしょう。
里親になるのはもちろん、一時預かりというボランティアもあります。
これは保護犬が新しい飼い主に引き渡されるまでの間自宅で保護犬を預かってケアをしたり、基本的なしつけをしたりします。
保護犬が新しい環境にスムーズにとけ込めるようにしたり、収容所のスペースの確保につながるなど、一時預かりのボランティアが果たす役割は想像以上に大きいとい言えます。
ボランティアへの参加を希望する場合、周りに活動している人がいれば話は早いのですが、そのような人を知らないという方がほとんどでしょう。
ボランティア活動をしている団体などは大抵ホームページやブログを公開しているので、そこからコンタクトを取っていくことになります。
フェイスブックやその他SNSでも活動の広報や呼びかけを行っていることがあるので、そちらも確認しておくとよいでしょう。
犬に関わるボランティアを始めてみよう
このように、犬に関わるボランティアは非常に多様です。
一方で、これらのボランティアは人手が足りてないことが多いのが現状です。
活動への参加が容易でないと思われていることが原因でしょう。
犬と人間がより良い社会を築くには、身近で手軽にできるボランティアもあるのだということをさらに発信していく必要があるでしょう。