自分で金魚の繁殖を行うとき、難しいのは稚魚をうまく育てることです。
特にふ化後1ヶ月程度は特別なエサが必要で、そのうえまだ弱い稚魚はちょっとした環境の変化でも死んでしまいます。
ここではそのような稚魚の飼育のポイントをご紹介します。
ふ化
卵は親の金魚が食べてしまうことがあるので、金魚が産卵した水草などを別の容器や稚魚用のネットなどに移します。
ふ化後の稚魚が吸い込まれてしまうこともあるので、ろ過装置は使わずにゆるくエアレーションと、必要ならヒーターを使います。
卵はおよそ4日か5日で卵がふ化します。
温度が高いと早くふ化しますが、あまり早くふ化するとそのあとの成長具合ががよくないことが多いので、20度前後が良いでしょう。
その間、無精卵は痛んで雑菌が発生することがあるので、なるべく早く取り除くようにしましょう。
有精卵は透明になりますが、無精卵は白く濁ってきますので見分けることができます。
ふ化後2~3日は様子を見る
最初の2日から3日程度はお腹に着いたさいのう(ヨークサック)の栄養で成長するので特にエサは必要ありません。
エサを取れるようになるまでは稚魚はほとんど動かないので、特に世話なども必要ありません。
泳ぐ力がまだ弱いので、先に書いたようにゆるいエアレーションと温度管理だけに気をつけましょう。
中には死んでしまう稚魚もいるので取り除くようにしましょう。
金魚は一度に多くの卵を産み、また、1年に何度も産卵するので、その稚魚もかなりの数になります。
いずれにせよ全てを育てるのは難しいので、可哀想ですが弱っていたり奇形の稚魚については取り除くようにした方が良いでしょう。
ふ化後1ヶ月までは一番難しい時期
この時期はまだ稚魚が弱くエサの用意に手間がかかり、ろ過装置が使えないので水が汚れやすいので稚魚を育てるには一番難しい時期です。
エサは後でご紹介するように稚魚用の特別なものを用意します。
この間は稚魚を吸い込んでしまわないように、ゆるいエアレーションのみでろ過装置は使いません。
そのため、どうしても水が汚れがちになるので、エサが余ったら必ずスポイトなどで取り除くようにしてください。
水質が悪化している場合は水換えが必要ですが、稚魚を吸い込んだりストレスを与えないように慎重に少しずつ行うようにしてください。
また、水流から稚魚を守るために水草などの隠れ家を入れておきましょう。
ふ化後1ヶ月までの稚魚のエサ
稚魚がエサを食べられるようになったら通常の金魚のエサではなく稚魚用のエサを与えます。
稚魚用のエサとして最も一般的なのはブラインシュリンプという小型の甲殻類で観賞魚のエサとしては一般的なものです。
ペットショップなどで購入した乾燥状態の卵を、エアレーションした水温28度の塩水に入れてふ化させて与えます。
ブラインシュリンプは1日程度でふ化するのですぐに稚魚に与えるようにしましょう。
このとき、スポイトを使うと量を調整できて便利です。
ブラインシュリンプは定番のエサで食いも良いのですが、手間がかかるという場合には稚魚用のパウダーフードや冷凍エサなどが市販されているのでそれを使います。
ふ化後1ヶ月から4ヶ月程度まで
ふ化後1ヶ月以上たつと、稚魚も成長してある程度水流に逆らって泳げるようになります。
この段階からようやくろ過装置を使うことができます。
しかし、念のためろ過装置の吸い込み口には目の細かいスポンジやネットをつけて、稚魚が吸い込まれないようにしましょう。
この時期になると稚魚は共食いを始めます。
共食いをあえて放っておいて稚魚の数を減らす人もいますが、なるべく多くの稚魚を残したい場合は小さな個体と大きな個体を別の容器で育てるようにすると良いでしょう。
エサはブラインシュリンプを使っていた場合も稚魚用のものに切り替えて大丈夫です。
また時間が経つと大きな個体は通常のエサも食べられるようになってきます。
ふ化後4ヶ月以上
これぐらい経つとほぼ成魚と変わらなくなってきます。
エサなども稚魚用ではなく成魚向けのものを与えてかまいません。
これまでに比べると格段に手間もかからなくなります。
とはいえ、まだ成魚に比べると弱いので一年ぐらいは水温や水換えなどに気を配り、病気が発生しないようにしましょう。
これぐらいになると金魚としての体の様子もはっきりしてきます。
もし育てられないほど稚魚が多い場合は色や形、大きさなどで選別を行います。
大きくなればなるほど同じ数でも大きな水槽が必要となります。
必要ならなるべく早い時期に数を減らした方が良いでしょう。
稚魚を無事に育てよう
金魚の稚魚の飼育にはある程度の知識と手間が必要です。
特にふ化後1ヶ月は慎重に世話を行わなければなりません。
その時期を乗り切れば、成魚に近い状態で飼育できるようになるのでがんばりましょう。
また、金魚はかなりたくさんの卵を産むので、かなり選別を行う必要が出ます。
自分が育てられる稚魚の数の見通しを立てて、それに合わせるように随時弱い個体などは取り除くようにしましょう。