物まねをする鳥ということで、オウムやインコと並んで名前の挙がる鳥が九官鳥です。
一見すると真っ黒に見えますが、メタリックなパープルやグリーンの色が日に当たるとよくわかります。
流線型の渋い容姿ながら、コミカルな動きと好奇心旺盛な性格から、意外にファンも多い鳥です。
セキセイインコや文鳥と比べると「大きい」ので、コンパニオンバードのアイドルにはなっていませんが、とても魅力的な鳥でもあります。
九官鳥は神経質なこわがり
物まねをする鳥ということで人が好きなイメージがありますが、実は九官鳥はとても神経質な鳥です。
ネットの動画などで楽しそうに飼い主さんと遊んだり「会話」したりしている様子がありますが、本来は手乗りにしたりする鳥ではありません。
身体や頭を撫でられたりされるのが好き、というようなスキンシップを好むタイプの鳥ではないのです。
新しい物・人は怖がってカゴの中で暴れたりすることもありますから、動きが面白いからと驚かすようなことをしてはいけません。
天敵の蛇を思わせるような、デザインの壁紙や長いヒモなども怖がって暴れることがありますから、カゴの近くに置かないようにしましょう。
人間には思いもよらないようなものを怖がっていたりすることがあります。
割合に表情のわかりやすい鳥でもありますから、鳥の様子をよく見てあげて、何か怖がっているようであれば原因を探して取り除いてあげましょう。
「そのうち慣れるだろう」というのは鳥にとって負担になります。
ストレスからお腹を壊したりして体調を崩すこともありますから、原因になりそうなものは近くに置かないことが大切です。
好奇心旺盛な甘えん坊な九官鳥
最初の話と全く違うような感じがしますが、九官鳥は好奇心旺盛な甘えん坊という一面もあります。
スキンシップを好むタイプではありませんが、飼い主や家族との交流は楽しみたいという性格があります。
九官鳥のカゴは人間の姿が見える場所に置いてあげて、優しく話しかけてあげましょう。
慣れてくると鳥の方から呼びかけてきたり、近くに座っていると自分もカゴの中でその人に近い方に来て座っていたりします。
好物のバナナやブドウなどを手から受け取って食べたりということもするようになります。
大好きな人が部屋に入ってくると、歓迎の意味で得意の「音」を出したりすることがあります。
その人に関連付けて覚えているものが多いので、物まねの上手な子なら、「コンニチハ」などの言葉であったり、自転車やバイクの音であったりと様々です。
そういうときにはちゃんと返事をしてあげましょう。
家族で楽しく会話していると、自分も仲間に入ろうとして反応してきます。
よく慣れた鳥にしたければ、そういうときにも声をかけたりして仲間に入れてあげてください。
動くものには素早く反応するので、小さいビーズやガラス玉などうっかりするとすぐに見つけて飲み込んでしまったりします。
喉に詰まらせたりする原因にもなりますから、気をつけてください。
興味のあるものはクチバシでかじってみる癖があります。
届く範囲にお花を飾っていたり、置物を置いていたりすると壊されたり汚されたりしますから、壊されて困るものは傍に置かないようにしましょう。
九官鳥は頭の良い観察者
個体によって得意・不得意はありますが、「物まねをする鳥」である九官鳥は、自分の周りの様子をよく観察しています。
一緒に暮らしている家族の癖や習慣はすぐに覚えます。
そのために、教えていないのに家族の口癖をしゃべるということがよくあります。
声色も上手に真似するので、まるで本人がしゃべっているような感じがするものです。
残念なことに覚えてほしくないような悪い言葉ほど簡単に覚える傾向があります。
九官鳥にはTPOはわかりませんから、お客さんの前で大きな声で悪い言葉を叫んだりということになりかねません。
覚えて欲しくない言葉などは、九官鳥の周りでは口にしないことが一番です。
クチバシの力が強いので、世話をしているときに噛まれたりすることもあるでしょう。
でも、叱ったり罰を与えたりするのは無駄です。
逆にせっかく築いた信頼関係を壊すもとにもなりますから、体罰などは絶対にしてはいけないことです。
頭が良く、人の様子をよく見ている鳥ですから、「鳥と人間の妥協点」を必ず見つけることができます。
根気よく、噛まれそうになったら一旦引いて静かに待つ、を繰り返してください。
「これをやったらいけないんだな」ということは、やがて鳥の方で学習します。
欲張りな食いしん坊
九官鳥も甘いバナナやりんご・ブドウやみかんなどは大好物です。
専用のエサを主食として与えると同時に、これらの果物などもおやつとして与える必要があります。
ただし、美味しいものはいくらでも欲しがりますから、食べすぎにならないように注意しましょう。
近くで食べていると、人間の食べ物も欲しがります。
欲張りな食いしん坊ですから、与えればなんでも食べてしまいます。
基本的に人間の食べ物はコンパニオンバードには与えないように、と言われていますから、家族の間できちんとルールを作って守ってください。
中には命の危険にもなるような中毒を起こすものもあります。
飼育書などをよく読んで、「鳥が食べてはいけないもの」のリストはよく勉強しておきましょう。
九官鳥自身でそれらの食べ物を避けることはできません。
お日様大好きなキレイ好き
日光浴は欠かせません。
お天気が良いと、九官鳥自身も上機嫌で鳴き声をあげたり、得意の物まねを披露したりします。
日光浴の際には適当に日陰でも休めるように、カゴの片隅にタオルなどで日よけも作ってあげましょう。
カラスや猫・蛇などにも注意するために、必ず人間の目が届くようなところで日光浴させてあげてください。
水浴びも大好きですが、頭が濡れることを嫌がることがあります。
ジョウロやシャワーを使ったり、水盤をカゴの中に入れてあげたりと色々な方法で水浴びをさせてあげることができます。
どの方法が自分の九官鳥にとって一番良いのかは、「鳥が決める」ので、色々試して選ばせましょう。
エサの関係上、フンの臭いは小型の鳥よりもキツイです。
カゴが汚れていると、鳥自身もストレスを溜めやすくなりますから、小まめに掃除してあげましょう。
九官鳥を家族にしよう
物まねが上手、というイメージのために「飼ったら絶対に物まねを教えたい」という人も多いと思います。
ただ、鳥も人間と同じように個体によって色々な個性があるものです。
人間の真似は苦手でも他の鳥や車・バイクの音なんかは得意だったり、まったく物まねをしない個体もいます。
フンの臭いも割合にキツイですし、声も大きいです。
でも、感情豊かで頭の良い鳥なので、一緒に暮らしている人が愛情を持ってお世話すれば必ず楽しい家族になります。