飼い主がタバコを吸わなくても、家族や来客等どうしてもペットの鳥をタバコの近くで生活させざるを得ないこともあるでしょう。

考えられるタバコの鳥への影響を知って、少しでもタバコによる鳥への影響を減らしましょう。

1.鳥がタバコで危険を察知して脱走しようとする

もともと人以外の全ての動物は、本能的に火を怖いと感じます。

タバコの煙もまた火と同じように鳥の危機意識を刺激するものです。

放鳥時や鳥かごを開けたままタバコを吸うとパニックを起こした鳥が脱走してしまう危険があります。

有害な成分の含まれるタバコの煙は、鳥にとって嗜好品ではなくパニックの対象になります。

タバコの煙に危険を感じ、一刻も早く煙から逃げるため脱走しようとすることも少なくありません。

タバコの煙は空気より重いため、部屋の下のエリアに溜まりやすく換気扇を回していてもすべての煙を部屋の外へ排出することはできません。

鳥かごを直接地面に置いていたり、人の視線より下に鳥かごがあると、鳥はタバコを吸っている人間以上に濃い煙の中に閉じ込められていることになります。

タバコをよく吸う人ほど気づきませんが、タバコの臭いは思っている以上に部屋に残り続けます。

たとえ鳥が部屋にいない時でも、鳥の生活する部屋ではタバコを吸わない方が良いでしょう。

どうしてもタバコを吸う時は、鳥のいない部屋で完全に分煙するか屋外で吸う方が好ましいでしょう。

2.タバコを吸う飼い主を警戒する

ペットの鳥の中には、タバコの臭いによって飼い主を警戒するようになる鳥もいます。

鳥類は犬や猫ほど嗅覚の鋭い生き物ではありません。

しかし、臭いに敏感でなくても一切臭いを感じないわけではありません。

香水やタバコといった刺激的な臭いは、嗅覚の鈍い鳥でも当然感じてしまいます。

飼い始めたばかりの鳥や神経質な鳥なら、タバコのような刺激の強い臭いを放つ人が近づいて来れば警戒してしまうでしょう。

鳥と飼い主が良好な関係を築く過程で、タバコの臭いは大きな弊害になります。

動物は人と違い気持ちを表情で伝えることはできません。

近くでタバコを吸っていても平然としているように見えても、実は緊張していたり警戒していることもあります。

体についたタバコの臭いは簡単には取れません。

タバコを吸った後に鳥と触れ合う時は、入浴して髪や身体に付いたニコチンを落とし、臭いのついた服も変えることをオススメします。

3.タバコの誤食による中毒

火のついたタバコだけが鳥に悪影響を及ぼすとは限りません。

タバコによる中毒は、ペットとして飼われている鳥の死因の中でももっともポピュラーなものの一つです。

タバコには、ニコチンやタールなどたくさんの有害な成分が含まれています。

タバコそのものにかかわらず、タバコの煙が溶け出した水やタバコの煙で燻された飼い主の手や髪、服、灰のかかってしまったエサなども鳥に大きな影響を与える危険があります。

タバコの成分がしみ込んだこれらの物質を鳥が誤って口に入れてしまった場合、タールによる呼吸器不全やニコチン中毒による嘔吐、下痢、神経障害や突然死といった重大なリスクが発生します。

タバコの成分による中毒は、灰皿代わりに空き缶を利用している家庭で起きやすい事故の一つです。

飲んだ後の空き缶を洗わずに灰皿にしたり、よく水気を切らずに使用するとタバコの成分が缶に残った水に溶けだし、それを放鳥時の鳥が飲んでしまうことがあります。

吸った後の吸い殻や灰の処理にも十分注意してください。

飼っているインコやオウムを部屋の中で放す時は、タバコや灰皿など誤食時の危険のあるものは引出しなど鳥には触れない場所にしっかりとしまっておきましょう。

4.タバコにより発病しやすくなる

タバコが鳥にもたらすもっとも危険な影響は、ガンなどの命にかかわる病気のリスクが高まることです。

タバコに発がん性物質が多く含まれていることは、誰もが知っている事実です。

鳥は人よりも体が小さい分、タバコの影響を受けやすくなります。

鳥よりも体の大きい人間でもタバコを一本吸うことは寿命を14分縮めることと同じだと言われています。

人よりも体が小さく、寿命も短い鳥へのタバコの影響が人よりも大きいことは明白です。

タバコの煙を摂取したからと言ってすぐに病気になるわけではありません。

しかし、そのことがかえって飼い主がタバコの影響を感じにくく、対策をおろそかにしてしまう原因になります。

タバコの怖い所は、タバコを吸った飼い主の手からでも鳥が影響を受けてしまうことです。

飼い主が喫煙者である場合、どんなに対策を取っていてもガンを発病するリスクを回避することはできないといえます。

タバコについてはできる限りの対策を

鳥にとってもっともよい方法は、もちろんタバコを吸わないことです。

とはいえタバコは簡単にやめられるものではなく、また飼い主以外が愛煙家の場合やめさせることは難しいでしょう。

タバコの鳥への影響を考え、できる限りタバコから遠ざけてあげるか、または環境が整ってから鳥を飼う事をオススメします。