他のインコ類に比べて地味目な色合いながら、頭の良さは鳥類トップクラスといわれ人気のあるのがヨウムです。

5歳児なみの知能があり、2歳児の感情を持っているとも言われています。

鳥好きなら誰でも一度は憧れる鳥ですが、案外大きな鳥でもあるので気軽に飼えるというタイプではないという意見もあります。

今回はそんなヨウムの特徴をご紹介します。

ヨウムの性格

頭が良くて幼いころから飼うと人間にもよく懐きます。

大人しくて他の大型インコ・オウムのような雄たけびの問題もあまりないとされています。

もちろん、習性として朝夕に大きな声で叫ぶことがありますが、一度物まねを覚えてレパートリーが増えてくるとあまり叫ばなくなるという報告もあります。

神経質な一面もあり、大きな身体の割には臆病なところもあります。

人間が見過ごすような小さい環境の変化などもすぐに気が付きます。

そのために迂闊にヨウムのいる部屋の模様替えができないと言われるくらいです。

見知らぬ人がいるとじっと固まって動かなくなるといった個体も多いです。

教えられた言葉の意味を理解して人間と会話することもできる、というエピソードのためどのヨウムもおしゃべりが上手と思われています。

でも実際はやはり個体差があって、人間の言葉が上手な鳥から電話や車のエンジン・他の鳥の鳴き声などのほうが得意な鳥もあります。

一生のうちに反抗期が2回あるといわれ、この時期は比較的攻撃的になったりします。

最初の反抗期は1歳半から2歳ごろとされていますが、個体差がありますのではっきりとした予想を立てるのは難しいです。

ヨウムの寿命

平均寿命は約50年となっています。

もちろんこれは絶対ではありません。

環境が整えば、もっと長生きする個体もありますし残念ながら数年しか生きられない場合もあります。

でも平均寿命が50年あるということは50年前後生きる可能性があるということですから、残念ながら飼い主の側が先に天国に行ってしまうこともあります。

お迎えする場合はその点も含めて万が一の引受先も考えておきましょう。

幼鳥をお迎えした場合、最初の冬には体調を崩して落鳥となってしまうことも多いです。

保温の設備を準備したりエサをきちんと食べているかなど確認を怠らないようにしましょう。

ヨウムのエサ

ヨウムにも専用の様々なペレットがあります。

基本はブリーダーさんのところ・ショップでヨウムが食べていたものを引き続き使うことですが、もちろん新しいものに徐々に切り替えることも可能です。

ペレットは完全食とされていますが、もちろんそれだけ与えていればいいわけではありません。

ペレットと同時に新鮮な野菜や果物も与えましょう。

食べる楽しみも増えて、鳥の生活充実の元になります。

ミカン・バナナ・キウイ・リンゴなどや野菜では茹でたジャガイモ・サツマイモ・ブロッコリー・ニンジン・カラーピーマンなども喜んでよく食べます。

プレーンヨーグルトや低脂肪のチーズなども好きですが、与えすぎないようにしなくてはいけません。

ヨウムの値段

他の大型インコ・オウムと同じようにヨウムも若い年齢の個体ほど価格は高い傾向にあります。

店舗によってばらつきがあります。が、およそ15万円くらいから30万円前後と幅があります。

海外で生まれて日本に「輸入」された鳥と日本国内のブリーダーの元で生まれたものがいます。

値段が高いから健康なヒナ、安いから問題があるヒナということはありませんが、値引き販売されている個体はなんらかの理由があることを考えておきましょう。

健康上の理由である場合、お迎えした後の医療費がずいぶんとかかって正規の値段で購入したほうが安くなったということもあります。

ヨウムをお迎えするのは絶対ヒナのほうがいいということはありません。

例えば飼おうとする人の年齢が高いなら成鳥になって値下がりしている個体なら最後までお世話することができる可能性も高いでしょう。

懐くには時間がかかりますが、愛情を込めてお世話すればきっとそれに応えてくれます。

ヨウムのしつけ方

ヨウムと暮らす魅力は彼らと「おしゃべりすること」でもあるわけですが、お迎えしてすぐに色々なしつけやトレーニングが可能なわけではありません。

もともと神経質なところもある鳥ですから、まずは鳥が新しい環境になじめるだけの時間と新しい飼い主・家族と仲良くなるための時間を与えてあげましょう。

家族としてのルールのためのしつけやトレーニングは「指導する人(飼い主)」と鳥の間にきちんとした信頼関係があってこそできることです。

しつけの基本は「褒めて伸ばす」ことです。

奨励したい行動や覚えてほしいことを鳥がやったところで時間をおかずに「褒める・ご褒美をあげる」などしましょう。

ほめるときには「よくできたね。いい子だね」などはっきりとわかるように褒め、撫でてあげたりします。

逆に噛みついたりしたときなどは大げさに反応せずに人間のほうが鳥から離れる・2分程度鳥に構わないなどします。

叩いたり・クチバシをはじいたりといった「罰」は効果がありません。

逆に鳥の不安を煽ったり、怒っている場合は怒りを助長したりしてしまいます。

群れで暮らす習性の鳥ですから、「群れの仲間」とくに大好きな飼い主さんからほんの一瞬でもかまってもらえないことは十分にイヤな体験になります。

噛まれたときにはかなり痛いので「痛い」と人間が騒いでしまいますが、無理やり噛まれた手などを引き離そうとすると余計に力を入れてきたりします。

そのときは落ち着いて噛まれている手をグンと鳥に押し付けるようにしてみましょう。

案外簡単にクチバシを離します。

その後、できるだけ無表情に鳥のそばから離れます。

1分か2分後に鳥が落ち着いた頃に様子を見に戻ります。

罰として長時間ほったらかしにしたり無視したりはいけません、逆効果です。

鳥のほうでストレスをためて毛引きなどの問題行動の原因になります。

もちろんこれらはしつけ方の「ひとつの例」であって、すべての鳥に効き目があるわけではありません。

ただ、悪いことをした後の結果がその鳥にとって「つまらない思い」をすることが一番効果のある「罰」です。

決して痛い思いや怖い思いをさせることが「罰」になるわけではないことを念頭に置いておいてください。

賢い鳥ですが、メンタリティは「人間の2歳児」です。

赤ちゃんにこちらの要求をすべて理解することを期待する人はいないでしょう。

ヨウムのトレーニング方法

一般的に人間の言葉を覚える鳥はメスよりもオスのほうが「おしゃべりが上手」とされています。

もちろんメスにもおしゃべりの上手な個体がいますし、オスでもおしゃべりしないタイプも存在します。

物まねをする鳥が「おしゃべり」をするのは群れの仲間とのコミュニケーションのためだと言われています。

人間と暮らしている場合なら、飼い主やその家族が「群れの仲間」になるわけです。

だから群れのメンバーが使っている「鳴き声(人間の言葉)」を自分も使ってコミュニケーションをとろうとしています。

おしゃべりを教えようというときには、まず「人間のほうから鳥に積極的に話しかける」ようにしましょう。

普段の生活の中で「おはよう」「おやすみ」や鳥自身の名前を呼び掛けたりします。

毎日の生活の中で一定の時間を決めて、一緒に練習することもいい刺激になります。

できるだけ静かな環境で・はっきりとした短い言葉を繰り返して教えます。

すぐに反応するのは無理ですが、じっと飼い主の顔を見て聞いている様子からわずかでも反応が出たら大好きなおやつなどのご褒美をあげます。

長時間のトレーニングは鳥を疲れさせ、集中力も無くなってきます。

トレーニングは短時間集中にしましょう。

放鳥時間が2時間なのにトレーニングが1時間などということはしないでください。

大型だけど繊細な心の持ち主ヨウム

有名な「アレックス」の話からヨウムはすべて頭のいい、人間と意志をもって会話ができる鳥とイメージしている人が多いでしょう。

でもそれぞれの鳥にそれぞれの個性があります。

物まねが上手ではなくても飼い主さん大好き、一緒に遊びたくて甘えてくる様子は本当に可愛いものです。

ヨウムは大型インコの中でも特に繊細だと言われています。

イメージと違うから、ということで世話をしなくなったり手放したりということになると、心に傷を負ってしまうコもでてきます。

ヨウムは人間側の事情はわかりませんから、「大好きな飼い主さんを恋しがって」しまいます。

ヨウムのお迎えを検討するなら、「幼い子供を養子に迎える」くらいの覚悟を持って考えてあげてください。