オス猫を飼うときに、避けて通れないのが去勢手術。
可哀想な感じもしますが、去勢しない場合のトラブルを避けるためにも必要なことです。
ただ、去勢手術の前後では、猫に様々な変化が表れることがありますので、それをあらかじめ知っておく必要があります。
発情期がなくなる
オスの発情期は飼い主にとっては悩みの種です。
攻撃的になったり、鳴きつづけたり、スプレー行為をしたり。
しかし、本能なので仕方がないところではあります。
ですが、去勢をされた猫は発情期がなくなるため、こうした行動が見られなくなります。
稀に、発情期を経験した後に去勢されたオス猫が発情行動に似た行動を見せることがあります。しかしその程度はだいぶ軽くなります。
ある意味では、発情期のオス猫はホルモンに振り回されている状態です。
去勢されて発情期がなくなることにより、オス猫はこの状態から解放されて、性格が穏やかになり、ストレスも減ります。
また、その結果として、去勢されたオス猫は一般に長生きすることが多くなります。
性格が甘えん坊になる
オス猫は去勢後に、甘えん坊になることが多くなります。
これには諸説ありますが、一説として、去勢により、そこで大人猫になるためのホルモンの分泌が止まり、子猫のまま時間が止まってしまうというものがあります。
親である飼い主に、いつまでも甘えるようになるというわけです。
また、別の説として、去勢によって子孫を残す必要がなくなり、ライバルのオス猫や交尾の対象となるメス猫への関心が薄れるからではないかとも言われています。
結果として、猫に対する関心が薄れる代わりに、人間を気にするようになります。
もちろん、性格の変化には個体差があり、一概に甘えん坊になるというわけではありません。
また、去勢が早ければ早いほど甘えん坊になる傾向が強いとも言われています。
いずれにしても、その可能性があるということは知っておくと良いでしょう。
太りやすくなる
これも個体差がありますが、一般に去勢後の猫は消費カロリーが少なくなります。
これは発情行動に使われていたエネルギーが必要なくなること、性格がおとなしくなることなどが原因です。
それにもかかわらず、手術前と同じ量のエサを与え続けると、摂取カロリーが消費カロリーを上回っているため、やがては肥満になってしまいます。
また、性欲がなくなった分、食欲が増す猫もいます。
去勢されたうえに食べる量も減らされたのでは可哀想、と思ってしまう気持ちもわかりますが、健康を考えると飼い主がしっかりと体重管理をしてあげる必要があります。
獣医さんによっては、去勢後用のキャットフードを勧められるところもあります。
獣医さんによく相談してみるのが良いでしょう。
泌尿器系の病気にかかりやすくなる
デリケートな部分にメスを入れるため、その後泌尿器系の病気にかかりやすくなります。
特に心配されるのが、尿路結石です。
これは去勢することによって尿道が狭くなってしまうからです。
食事の種類によって尿路結石が起こりやすくなってしまいますので、去勢後の食事には気を付ける必要があります。
また、尿路結石の予防には、とにかく水を飲ませることです。
水を飲んでいるかどうかチェックをすることも大事ですが、もしあまり飲んでいない場合にはぬるま湯をあげるのも一つの手です。
去勢後の猫に限らず、猫は一般にぬるま湯を飲むのが好きようです。
一時的に情緒不安定になる
人間が手術をするときに不安になるように、去勢手術は猫にとって、精神的にも身体的にも大きな負担になります。
オスの去勢手術は比較的簡単なものとはいえ、麻酔も打たれますし、猫も自分の体の変化を感じ取るものです。
また、手術そのものよりも、術後の入院が大きなストレスになることも多くなります。
術後観察のためとはいえ、飼い主や慣れた家から離れて一日過ごすというのは、猫にとって大変なことです。
そのため、家に帰ってきたばかりの時に、不安げに家中を見て回ったり、逆に無気力になったように部屋の隅で動かなくなったりということがあります。
また、不安感から飼い主の上にのって動かなくなることもあります。
いずれも、一時的なもので、一週間ほどで元に戻ることが多くなります。
一週間は様子を見てみて、それでも元に戻りそうになかったり、あるいは不安の程度が強すぎるようなら、再度獣医さんに診てもらうのが良いでしょう。
トータルで見ると去勢はメリットが大きい
去勢手術後の変化には色々ありますが、全てが悪いことばかりではありません。
むしろ、発情期がなくなり、ストレスがなくなるなど、メリットの方が大きいと言えるでしょう。
去勢するなら最初の発情期を迎える前にするのが良いとされていますから、飼い主の方は積極的に考えてみることができます。
いずれにしても、大事なのは去勢手術前後にどんな変化が起こりうるのかを飼い主が前もって知っておくことです。
飼い主が不安がっていては、それが猫にも伝わってしまいます。
正確な情報を取り入れて、しっかりと準備をしておきましょう。