猫を飼うにあたり、去勢手術は重要なポイントです。
計画外の繁殖や、発情によるストレスを軽減させる事が出来ます。
その他にも、前立腺に関するの病気や精巣、肛門周辺の腫瘍発生を防ぐメリットもあります。
では、どの時期で猫に去勢手術を受けさせるのが最適なのでしょうか。
生後6カ月齢から10カ月齢
最も多く、目安とされているのがこの生後6カ月齢から10カ月齢の時期です。
この頃の猫は成熟する前なので、ほとんどがまだ発情期を知らない状態です。
個体差はありますが、発情期によく見られる行動があり、その一つに、スプレー行為があります。
発情期を迎えると、おしっこを霧状に噴射して自分の臭いを付けるマーキング行動です。
そうする事で、自分の縄張りであると示しているのです。
完全室内飼いの猫ならば、壁や柱、ソファーなど家の中のあらゆる場所で行なう様になります。
また、雌猫が近くにいない、探せない事から、欲求不満で大きな声を出して鳴いたりします。
イライラして暴れるなど、攻撃的になったりする事もあります。
普段は大人しく脱走などした事のない雄猫でも、雌猫を求めて外へ逃げようとしたりもします。
発情期を一度でも経験してこのような行為を覚えてしまうと、去勢手術をした後でも発情期の行為だけ残ってしまう可能性があります。
スプレー行為を抑え、猫のストレスを和らげる為にも、発情期を迎える前の体力も充分にあるこの時期が最適である目安となっているのです。
生後6カ月齢以内
生後7週齢から生後6カ月齢に行われる早期去勢もあります。
様々な研究から、早期去勢でも発育・身体・行動において問題点はなかったとされてきました。
そうは言っても、この頃はまだまだ小さい子猫で急激に成長して行く時期です。
小さ過ぎて、去勢手術を受ける体力がなかったりするなどの問題もあります。
また、尿路が未熟なままだと去勢後はその部分が育たないので、尿路結石になったり、病気のリスクが出てきます。
そのため最適な時期とは言えないでしょう。
しかし、発情した雌猫が近くに居ると、通常よりも早く発情期を迎える雄猫もいます。
発情期の行動を覚える前に施術した方が良いと言う事もありますので、生後6カ月齢未満で去勢する場合もあるのです。
この時期の子猫でもスプレー行為が見られた場合は、かかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。
その子の体力や触診・血液検査から、発情期の行為を覚える前に去勢手術が受けられるかもしれません。
生後1年齢以降
充分に成長している時期なので、去勢手術を受ける際に体力や未発達などの問題はないです。
ただし、一般的に雄猫の性的な成熟期は生後9カ月齢から12カ月齢とされています。
そのために生後1年齢以降になると、すでに発情期を迎えた事がある場合がほとんどでしょう。
その場合、スプレー行為を覚えてしまっている事もあります。
スプレー行為を覚えてしまっていると、去勢後でも本能的に縄張りを示すために行なう事があります。
性行為を経験している事もあるかもしれません。
一度性行為を経験していると、去勢後でも発情期に雌猫にまたがって腰を動かしたりします。
雌猫が近くにいない場合では、欲求不満の強いストレスを感じる事もあります。
そうなると、去勢後術後のメリットであるスプレー行為をしない事やストレスの軽減の効果が得られず、発情期の行動が定期的に続く可能性があります。
本能的に発情期の行動が残っている状態なので、雌猫を求めて脱走する可能性も高くなるでしょう。
生後7年齢以降
この頃になると、猫の年齢としてはもうシニアです。
見た目にはまだまだ元気で、「シニア」という感じはしないかもしれません。
ですが、人間で考えると40歳半ばです。
内臓疾患を起こす可能性も高くなり、見えない所で病気を持っている場合もあります。
そのため、かかりつけ医に去勢手術を今受けるのが良い事なのか相談して決めた方が良いでしょう。
体力面で難しい場合もあるでしょうし、もしかしたら病気にかかっているかもしれません。
病気にかかっていたら、そちらを治すのが先になります。
病気が完治してから、去勢手術を行なうか否か判断します。
血液検査のみならず、医師の診断のもと色々と検査をしてから決断する事になります。
また、この年齢になっても発情期特有の行動がほとんど現れない猫でも、様々な病気の予防をするメリットはあります。
猫にとって最適な時期に去勢をしよう
この様に猫の去勢の時期に最適なのは、一般的には生後6カ月から10カ月です。
何も問題がなければ、その頃に受けるのが一番です。
ですが、人間同様に生き物ですから、絶対と言う事はありません。
その猫の成長によって、合っている適切な時期があると思います。
スプレー行為が始まって慌てて病院に連れて行くのではなく、出来れば生後6カ月齢を迎える前にかかりつけ医に相談する事をオススメします。