飼い猫にとって去勢手術は、望まない妊娠や発情期のストレスを抑えるためにとても大切なことです。
また、スプレー行為(マーキング)を止めさせたり、攻撃性を低下させるたりすることにも繋がり、結果的に飼い猫にとっても飼い主にとってもメリットがあります。
では、実際に去勢手術を行った後の猫の取り扱いはどうすれば良いのでしょうか。
まずは安静に
猫にとって手術はとても大きなストレスになります。
慣れない場所で慣れない人間に囲まれ、麻酔を打たれ、とても怖い思いをします。
なので、退院後はひとまず慣れた部屋でゆっくり過ごすことを再優先しましょう。
猫によっては、飼い主すら恐怖の対象になり、なかなか以前のように心を開かない場合もあります。
そんな時でも無理に声をかけたり遊ぼうとしたりせず、猫の好きなように過ごさせてあげるのが一番です。
一泊以上の入院が必要な場合、稀に猫が抑うつ状態になることもあります。
これは長時間強いストレスに晒されたことが原因で起こりますが、もし手術後一週間~二週間経っても元気が戻らない場合は、一度病院で診察してもらう方が良いでしょう。
手術直後は心も体もデリケートな状態です、あまり構い過ぎずに見守ってあげましょう。
また、普段は外へお出かけしていた猫も、手術直後は外出させないようにします。
屋外には寄生虫やノミもおり、また事故等の危険がつきまといます。
帰宅して元気があったとしても、屋内で過ごしてもらうようにしましょう。
傷口の管理
通常、手術後は、犬が傷口を舐めてしまうことがないに、エリザベスカラーや腹帯を装着させます。
しかし、病院によってはそのまま帰宅させられることもあります。
その場合、手術直後は傷口も不安定なので、猫が舐めないよう注意が必要です。
最近は、時間と共に溶けていく吸収糸を使うことが多く、こちらは抜糸の必要がありませんが、もし他の糸で抜糸が必要な場合、必ず指定された日に猫を動物病院に連れていくようにします。
エリザベスカラーは、装着したままだとエサが食べづらい、歩きにくいなど、猫にとってもストレスですが、傷口を守るためになるべく装着させしましょう。
また、他に飼い猫がいる場合、カラーをつけた姿に驚いてパニックを起こしたりケンカを仕掛けたりする場合があるので、そうならないように気を配っておきましょう。
もし、どうしてもカラーを嫌がるようなら、ペット用の服を着せる方法もあります。
傷を舐めさせないことが目的なので、サイズの合う服を用意してあげましょう。
また、傷口を水で濡らさないことも大切です。
お風呂は控え、飲み水をひっくり返して傷にかかったりするようなことがないように気をつけます。
もし傷口が開いてしまったり、出血や腫れがある場合は、速やかに手術した動物病院に連れていきます。
しかし、縫合には再度麻酔をかける必要があり、猫にとってもまた大きなストレスになるので、傷口の管理はしっかり行いましょう。
処方された薬は正しく飲ませる
手術後の猫の状態によっては、抗生物質や痛み止め、化膿止めなどのお薬が処方される場合があります。
飲ませ方としては、一人が背中と胸の部分を押さえ、もう一人が頬骨(目の真横の部分)を掴んで持ち上げて口を開かせます。
そして舌の付け根に薬を落とすような感じで飲ませる方法もありますが、錠剤を嫌がる場合は砕いてウェットフードに混ぜる、粉薬は少量の水(0.5cc)に溶いて飲ませる方法もあります。
なお、どうしても自分で薬を飲ませることが困難な場合、速やかに動物病院に連れていき、医師に投薬をお願いします。
傷の回復、感染症の防止のために、処方された薬は必ず飲ませるようにしましょう。
食欲・排泄に注意する
手術直後は、麻酔やストレスの影響もあり、ご飯にほとんど口をつけない猫も多く見られます。
手術後二~三日はあまり食べないかもしれませんが、徐々に体力が回復してくれば食欲も戻るのが一般的です。
また、麻酔が切れた後、猫の消化器官が正常に戻るには時間がかかります。
無理に食べると胃腸が働かずに吐いてしまう恐れもあるので、猫の食欲に任せ、様子を見ましょう。
排泄については、手術後に抗生物質などの薬を飲むと腸内環境に変化が起こり、下痢や便秘になることがあります。
以前と比べておしっこや便の回数、匂い、状態など、変化がないか気をつけてください。
もし下痢や便秘が長く続くなど、いつまでも改善が見られない場合、動物病院に連れて行きましょう。
猫が手術跡を触らないように注意しよう
去勢手術後の猫は、心も体もダメージを受けてとても不安定な状態です。
無理に構おうとすると余計にストレスを与えてしまいます。
なるべく安静に、好きなように過ごさせてあげましょう。
動物病院では今後の生活について注意事項を聴き、処方された薬やエサは必ず与えるようにします。
去勢手術は、猫にとっても飼い主にとっても、健康を管理し長生きするためにとても大切なことです。
正しい知識を持ち、責任を持って手術後もお世話をしていきたいですね。