愛猫がいつもと違う仕草をみせると心配になりますよね。

猫の後ろ足に痙攣の症状が見られる場合、大きく分けてふたつの原因が考えられます。

ひとつは何らかの病気の症状である場合、もうひとつは病気以外の原因がある場合です。

それぞれの特徴を見てみましょう。

レム睡眠とノンレム睡眠

ヒトの眠りと同様に、猫の睡眠も浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠の二つが繰り返されています。

睡眠中の猫がピクピクと痙攣して見えることがありますが、これは睡眠のリズムによるものです。

また、寝起きの猫が痺れを戻そうと足をプルプルと振る仕草をすることがありますが、これらは病気の症状である痙攣ではないので心配ありません。

低体温が続いている場合

猫の体温は、通常38~39度です。

これを下回ると低体温症になります。

低体温症からくる震えが、痙攣のように見えることがあります。

タオルや毛布などで包み体を温めてあげましょう。

この時、急激に体温を上げることは大変危険です。

また、体温が33度を下回ると命に関わります。

毛布にくるみ、温めながら速やかに病院に連絡してください。

低体温症にならないためにも、寒い時期には床暖房を入れてあげたり、足元を湯タンポなどで温めてあげたりすると効果的ですが、特に子猫の場合などは温め過ぎると今度は脱水症状や熱中症を起こしてしまいます。

適温を見極めてあげてください。

打撲や捻挫など怪我の影響

元気に動き回っているにも関わらず、後ろ足が痙攣しているような動きを見せる場合があります。

不自然な動きをしている場所に少し触れてみて痛がるようあれば、打撲や捻挫などの怪我をしている可能性が高いです。

痙攣や麻痺などの症状は神経に問題が生じて起こるので、痛みの他にもじっとして動かなくなったり、間接が動かなかったりなどの症状が併発することが多いです。

患部に副木を当てるなどの応急処置は可能ですが、もしも骨折している場合は放っておくと化膿したり、炎症を起こして神経や筋肉を傷付けてしまったりする恐れがあります。

エサをきちんと食べているか、いつも通り活動しているかなど、しばらく猫を観察してみて元気がないようであれば、早めに動物病院に連れていきましょう。

また、肉球の間に何かが挟まっていたり、爪や指に怪我を負っていたりするときにもプルプルと足を振るわせます。

まずは足をよく見てあげてください。

ビタミン不足の可能性

猫は他の動物よりビタミンB1を必要とします。

そのために不足しやすく、食事の栄養バランスが悪いとすぐにビタミンB1欠乏症になってしまいます。

また、魚介類にはこのビタミンB1を破壊する成分が含まれているため、たくさん与えることは危険です。

ビタミンB1が入ったキャットフードを与えることは大事なのですが、時間が経つとその成分が壊れてしまって体に悪いので、賞味期限には注意が必要です。

初期症状としては、食欲不振や吐き気などが見られ、重くなると歩く時によろけたり、痙攣を起こしたりすることがあります。

進行すると意識不明で倒れてしまい、最悪の場合、命に関わることもあります。

早めに医師の診察を受けて、ビタミン剤を投与してもらいましょう。

もちろん日頃からビタミンが不足しないよう食事のバランスを整えることが最も重要です。

猫特有の病気「肥大型心筋症」のおそれ

たまに足が痙攣することがあっても、すぐに治るような場合は要注意です。

肥大型心筋症とは、心臓の筋肉が厚くなってしまうことでその機能が低下し、体に血液中の酸素や栄養素が正常に送れなくなる、いわゆる心臓病です。

その際にできた心臓内の血栓が流れ出て、血管を詰まらせることがあります。

特に猫の場合は、大動脈が後ろ足に分かれる辺りの血管が詰まりやすく、それが原因で後ろ足が痙攣を起こし、それに伴い麻痺が交互に起こる場合が多いです。

年齢に関係なく起こり、遺伝との関係が深いと言われていますが、まだ解明されていないことが多い病気です。

また、初期症状はほとんど見られません。

症状が進むにつれ食欲や元気がなくなってきます。

さらに進行することで、痙攣や麻痺が起こるようになります。

早期発見が大切ですが、気付くことは大変難しく、超音波検査や心臓のレントゲンが不可欠なので、年1回の検診が最も有効と言えます。

猫が後ろ足を痙攣させている場合、まずは前足と後ろ足の肉球を比べてみてください。

血栓が詰まっている場合、健康な肉球に比べて白っぽくなっています。

肥大型心筋症が心配されるなら、速やかに医師による診断を受けましょう。

痙攣が見られたら病院に連れて行こう

猫の後ろ足が痙攣しているのを見かけたら、まずは動画撮影することをオススメします。

医師の診察を受ける際に様子を伝える手助けになります。

同時にいつ頃からどの箇所が不調なのか、また、原因として疑わしいことも伝えましょう。

猫は痛みや不調を隠す傾向があると言われています。

大切なのは日頃からよく猫の動向を観察することです。

いつもより元気がないなと感じるけれど、それくらいで病院に行くのもなと迷うようであれば、まずは病院に電話して質問してみるのも良いでしょう。

病気の早期発見・早期治療が大切なのは、人間も猫も同じです。

一緒に元気に長生きできるよう愛情を注いであげてください。