猫を飼っていたら、出産に立ち会う機会があるかも知れません。

飼っている猫が妊娠したとき、飼い主は猫にしてあげられることはあるのでしょうか。

時期、兆候、用意するものなどの猫の出産の基礎知識についてご紹介します。

猫の妊娠期間は63日から65日ほど

猫が交尾をし、妊娠すると出産の準備を始めなくてはなりません。

猫の妊娠期間は63日から65日くらいですので、妊娠期間が280日くらいの人間と比べると遥かに早く子どもが生まれて来ます。

妊娠後、母猫の体には様々な変化が起こります。

妊娠後20日くらいで、母猫の乳首はピンク色に変わります。

これは、生まれたての子猫が乳首を探しやすくするためなので、問題ありません。

その後、つわりのような症状が現れ、食欲不振や食の好みが変わることがあります。

お腹も大きく張り出し、性格も気性が荒くなり、飼い主や他のペットに威嚇することがあります。

こうして、少しずつ母親になる準備を始めているのです。

なお、子猫が生まれた後に自宅で飼うか新たな飼い主を探すかなど、考えておかなければならないことはたくさんあります。

子猫たちのためにも、短い妊娠期間を無駄にしないようにしましょう。

出産2日前くらいから母乳がにじみ出す

妊娠期間も終盤に差し掛かった出産2日前くらいより、母猫の乳首から母乳がにじみ出すようになります。

母猫には乳首が全部で8個あり、1度に8匹の子猫に授乳することが出来ます。

この頃になると、母猫は妊娠して大きくなった乳房をしきりに舐めて、出産を促そうとする動きを取るようになります。

乳首を刺激することにより、子宮の収縮を促し、陣痛を誘発する効果があるからです。

子猫たちは、生まれた後に自力で母猫の乳首まで辿り着き、母乳を飲みます。

母乳を与えたり排泄を促すなどの世話は、教えなくても母猫がしてくれるため、飼い主は余程のことがない限りは手を出さずに見守りましょう。

出産24時間前から急激に食欲が落ちる

妊娠40日から45日目くらいでつわりのような症状が落ち着き、お腹の中の子猫の成長に伴い、栄養を与えるために食欲が増えてきます。

それと反比例して運動量が落ちてきて、横になってじっといることも多くなります。

人間で言うところの「安定期」に相当すると言えるでしょう。

そんな母猫の食欲が急激に落ちたとき、それが出産が間近に近付いている合図で、大体それから24時間ほどで出産が始まります。

この時期になると、母猫の警戒心が高まり、攻撃的になります。

また、そわそわして落ち着きがなくなります。

乳房や陰部をしきりに舐めて出産を促し、形だけの排便ポーズを取るようになります。

出産はもうすぐそこまで来ています。

母猫や子猫たちのことが気になるでしょうが、ぐっと我慢して見守りましょう。

子猫はだいたい3匹から5匹くらい生まれる

陣痛が始まると、子猫の誕生まであと少しです。

陣痛はお腹の中の子猫を体外に押し出す子宮の収縮の動きで、20分から60分くらいかかります。

痛みで苦しそうに口で呼吸をしたりすることがあります。

その後、産道を子猫が通りますが、膣の開口部で一時的に子猫の動きが止まり、子猫を包んでいる羊膜が破れます。

羊膜が破れると、いよいよ子猫が生まれます。

大体15分から30分間隔で1匹ずつ生まれます。

子猫が生まれると、母猫と子猫を繋いでいた胎盤が排出され、出産は終了です。

なお、子猫は3匹から5匹くらい生まれるの平均的ですが、シンガプーラのように体の小さな猫は2匹くらいだったりと、母猫の体格にある程度左右されるようです。

また、生まれてきた子猫の毛色がバラバラということがあります。

メスは複数のオスと交尾することがあり、妊娠後に違うオスの子どもを妊娠したため、子猫の父親が異なることがあるからです。

母子のために落ち着いて出産出来る産室を用意しよう

猫にとって、心穏やかに子猫を出産出来る場所はどのようなところなのでしょうか。

それは、薄暗くて周りを何かに囲われており、なおかつ乾燥しているところです。

猫は出産が近付いて来ると自分で出産場所を探しますが、該当するような場所がないときは、飼い主がダンボールや衣装ケースなどを用意し、その中の柔らかいタオルを敷いてあげるようにしましょう。

母猫が落ち着くように、目隠しなどで周りを囲ってあげるとなお良いでしょう。

産室が決まると、母猫は産室に自分のにおいを付け、落ち着いて出産出来るように備えます。

なお、産室は出産直前に用意するのではなく、妊娠が分かったら早い段階で用意してあげましょう。

猫の出産に基本的に人間の手助けはいらない

人間の出産は、助産師や医師などの医療スタッフの介助が必要になりますが、猫の出産には、基本的に飼い主をはじめとした人間の手助けは必要ありません。

出産後に自分で子猫の体を舐めてあげたり、臍の緒を噛み切ったり出来るからです。

下手に飼い主などの手助けが入ってしまうと、母猫にストレスがかかり、育児放棄を引き起こしてしまう恐れもあります。

出産が順調に進んでいるのであれば、静かに見守りましょう。

他にペットがいるようでしたら、そのペットが邪魔をしないように注意しましょう。

基本的に人間の手助けは必要ない猫の出産。

しかし、1時間以上陣痛が続いているのに膣の開口部に子猫が出てこない場合や、開口部に頭は現れたけど5分以上その場に留まって動かない場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。

猫の出産についての基礎知識を身に着けよう

時期、兆候、用意するものなどの猫の出産の基礎知識について見てきました。

基本的に人間の手助けは必要ない猫の出産ですが、難産などで獣医師の介助が必要な場合もありますので、出産中は注意深く見守ってあげましょう。

また、産後母子ともに落ち着けるような環境作りを、妊娠が分かったときからしてあげると育児放棄を防げて良いでしょう。