「立つ・座る・歩く」は猫の動作の基本。
中でも、「座る」は猫らしさ満点、可愛らしさ満点です。
何も意識していない自然なボーズには、猫の持ってる本質的な可愛らしさや性格が表れています。
そこで、よく見られるスタンダードな座り方をご紹介します。
エジプト猫座り
エジプト原産の猫の座り方ではなくて、エジプトの猫の神様、バステトの彫像に見られる、お行儀の良い座り方です。
お尻を落として、前足はまっすく伸ばし、折りたたんだ両足の前にちょこんと置きます。
横から見ると、頭、前足、お尻を頂点にした、直角三角形になる安定感のある座り方です。
可愛らしさもありますが、威厳も感じられますね。
ちなみに犬がこの座り方をすると、後ろ足が猫のようにはキレイに収まりません。
足のつき方が猫とは微妙に違うせいでしょう。
スフィンクス座り
お腹を地面につけて、肘をつき、左右の前足を平行にして前に投げ出して座ります。
頭だけは立てて、前を見ているわけですが、緊張感があるという座り方ではありません。
猫に聞いてみないとわかりませんが、特に何かを見ているわけでもなさそうです。
某百貨店や、某マンションの前に置かれているライオンの彫像もこのポーズですね。
ところでスフィンクスという品種の猫がいますが、このポーズの得意としているわけではないようです。
スフィンクスは無毛の猫で、スティーブン・スピルバーグの映画「E.T.」のモデルになったことでも知られています。
香箱座り
「こうばこずわり」と読みます。
猫特有の座り方で、前足をくにゃっと折り曲げて、ふわふわの胸の毛の下にしまいます。
お腹は地面につけて、ゆったりとリラックス。
このまま眠ってしまうこともよくありますね。
ちなみに香箱というのはお香を焚くときに使う道具で、香木や香料を入れておく蓋つきの木箱のこと。
たしかにそう言われてみると、猫の丸みのあるかたちが、四隅が丸くなった朱塗りの箱に似ていますね。
もちろんこれは日本人だけの連想で、英語圏ではこの座り方をcatloafと言います。
loafは四角い箱型で焼いた一片のパンのことで、意訳すれば、山型食パン一斤座りということになります。
いずれにしても世界中で名前が付けられるぐらい有名な座り方だということです。
とはいえ、いつでもどこでも見られるかいうと、そんなことはなく、心底リラックスしている場合に限られます。
また身体の大きな猫は前足を折りたたむので苦手で、この座り方をしないという話もあります。
横座り
胴体を横にして、両手、両足を一方向に投げ出し、頭だけは立てているという座り方。
これから眠ろう、これから起きようという時に、あるいは毛づくろいのときに、しばしば見られるポーズです。
人間の座り方でいうと、正座から足を崩して投げ出す座り方、いわゆる横座りや女座りに似ているので、どことなく色っぽさが漂う座り方でもあります。
特に脚が交差していると、セクシー度が三割増。
さらに、身体のラインが見える短毛種だと、セクシー度が一割増。
雌猫がやっても、雄猫がやっても、それなりにセクシーなわけですから、猫が持ってるセクシーさを強調する座り方だと言えます。
おっさん座り
特に定型はありませんが、ボイントはお尻をつき、仰向けになって、上半身を起こしているというところ。
どうなっても良い、どうでもいいという雰囲気が漂い、それがおっさん座りと言われる所以でしょう。
本来、猫は警戒心が高い動物で、むやみにお腹を見せて仰向けになることは少ないのですが、家で飼われている家猫は、野性味が減り、その分逆に人間味が増えて、人前で平気でお腹を見せるようになります。
特に肥満気味の猫は下半身に安定感があるので、仰向けになってもしっかり姿勢を維持できます。
毛づくろいでお腹を舐めたり、腿の内側を舐めたりしているとき、突然頭の中が空白になり、その姿勢のままフリーズ、見事なおっさん座りが完成ということもあります。
ただ通常の猫の骨格では無理がある体勢なので、ソファや枕などで身体を支えてあげないと、長時間キープすることはできないでしょう。
いずれにせよ、おっさんのように座ってる姿を見たら、それだけリラックスしている証拠。
そこまで気を許す仲になれたということですから、飼い主としては喜ぶべきてでしょう。
スコ座り
スコ座りのスコは、折れた耳が特徴のスコテッシュホールドのスコのことです。
この品種は身体が柔らかいのが特徴で、それを活かした特有の座り方ができます。
クマのぬいぐるみのような座り方で、Vの字に開脚した両足の間に両手が垂れているというポーズです。
おっさん座りと基本同じですが、こちらは可愛いところがポイント。
もっとも、このポーズができるのは先天的な骨の異常があるからだという話もあり、無理に座らせることは禁物です。
スコ座りコンテストなんていうのもありますが、あまり盛り上がってはいけないような気がします。
座り方に猫の個性が出る
猫の座り方ひとつにも、個性があり、理由があります。
もちろん変わった座り方が良いというのではありません。
座り方がおかしいのは病気のサインかもしれません。
今までに見たことがない座り方をする、いつもと違う場所で座る、苦しそうに座っている、そんなときは、じっくり観察して、気になるときは早めに獣医さんに診てもらいましょう。