日当たりの良いところでゴロゴロしていることの多い猫ですが、同時に高いところも好みます。
テレビの上やテーブルの上など、床よりもちょっと高いところだけでなく、自分で降りられなくなってしまうような高い木に登っていることもあります。
猫が高いところにのぼりたがるのは、一体なぜなのでしょうか。
外敵を早く発見し、さらに外敵に気付かれないため
猫は野生で暮らしていた時代、身体が小さいために大きな動物に襲われることがありました。
そんなとき、高くて見晴らしのよい場所にいれば、早い段階で敵の姿を見つけることができます。
それと同時に、高いところにいれば、敵から見つけられにくいという利点もありました。
敵に気付かれないうちに、こっそりと逃げ出すこともできるし、万が一気が付かれたとしても、高いところにいた方が逃げ出しやすいということもあります。
家のなかで大切に飼われている猫は外敵から身を守る必要はありませんが、そんな野生で暮らしていた頃の本能の名残から、高いところにのぼりがたるといわれています。
獲物に気付かれず待ち伏せするため
狩りの本能を宿している猫にとって高くて見晴らしが良い場所にいるということは、外敵を早く発見できるだけでなく、小さな獲物を見つけるためにも役立ちます。
敵に見つかりにくいと同時に、獲物に気付かれることも少ないので、獲物によっては高いところで待ち伏せをするのが適している場合があるのです。
もともと、猫は待ち伏せを得意とする動物なので、獲物から身を隠すことが得意です。
高いところにのぼるのは、身を隠す手段のひとつといえるでしょう。
現代の飼い猫にとって必要不可欠な行動ではありませんが、やはり猫には野生の頃の本能が強く残っているのです。
外敵の来ない安心な場所でリラックスするため
肉食動物の多くは身体が大きく、猫のように身軽に高いところにのぼることはできません。
仮に地上で敵に追われていたとしても、木に駆け上れば逃げ切ることも可能です。
野生時代のこの経験もまた、猫の本能として残っていて、高いところは安全な場所であるという認識があります。
どうしてそんなところに、と心配になってしまうような高い場所でくつろいでいるのを見かけることがあるでしょう。
安定感の悪そうな木の枝の上で、こともなげに毛づくろいなどしている姿を見ていると、落ちるのではないかと心配になりますが、猫自身にとっては外敵の心配のない場所で、最も安心している状態といえます。
猫にとって、安心してくつろげる場所と時間はとても大切です。
落ち着けるような高い場所がない環境は、猫にとってストレスになる場合もあります。
ですので、のぼるには適さないカーテンに爪をひっかけてよじのぼろうとするのは、ストレスのあらわれともいえます。
猫にとっても危険ですし、カーテンなども傷んでしまうので、キャットタワーなどを置いて、高いところにのぼりたいという猫の本能からくる欲求を満たしてあげることが大切です。
他の猫よりも高いところで強く優位に見せるため
人間でもそうですが、高いところから低いところを見下ろすと、自分が偉く優位になったような気がします。
猫の世界でもそれは同じで、特に同じ猫同士の場合、高いところにいる猫の方が優位になります。
低い位置にいる猫から見て、高い位置にいる猫は大きく、強く感じるということもあります。
本来はより強い立場にある猫であっても、相手が高い位置にいると一瞬ひるむことも珍しくはありません。
猫が高いところにのぼりたがるのは、自分を優位に見せたいという心理が働いていることもあるのです。
そう考えてみれば、高いところから下を澪をしている猫が、妙に堂々と見えるのも納得できるでしょう。
また、飼い猫の場合、後から新たに猫を迎え入れると、以前からいる先住猫が高い位置に陣取ることがあります。
これもまた、この家のなかでは自分が優位であるということを、後から来た猫に対して示していると考えられます。
もしも後から来た猫が、先住猫よりも高い位置にいることが増えた場合、先住猫は自分の居場所を失ったと感じてしまうこともありますので、フォローが必要です。
いやな虫から身を守るため
ノミやダニにかまれると、人間でもかゆくてしかたがなく、病院に行くことになります。
猫も同様で、それがきっかけで皮膚病になることも珍しくはありません。
このノミやダニといった虫は、地面や床などの低い位置にいることが多く、自衛本能の強い猫は高い場所にいることで、これらの虫から身を守っているという説もあります。
猫が高いところにのぼりたがるのは本能のため
猫が高いところにのぼるのは、野生の頃からの本能に基づいた行動といえます。
本能を押さえつけることはできませんが、あまり危ないところにはのぼってほしくはありません。
そのためには、キャットタワーやキャットウォークなど、のぼりやすくて降りやすい、高い場所を家の中に作ってあげることが大切です。