田んぼに水が張られる時期になると、一斉にカエルの産卵が始まります。
卵からオタマジャクシへと変化し、最終的にカエルへと変態を遂げるわけですが、その期間はカエルの種類によってまちまちです。
なんと、ウシガエルなど変態に長期間かかるものは越冬し、二年を要することもあります。
しかし、その成長過程は皆同じです。
では、オタマジャクシはどのような成長過程を経てカエルへと変態するのでしょうか。
卵からかえる
産み付けられた卵から帰ったオタマジャクシは、最初は体の真ん中がくびれただるまのような形をしています。
その後、頭としっぽに別れていき、私たちのよく知るオタマジャクシの形になっていきます。
カエルの卵は水深が深すぎても浅すぎても羽化することが出来ないので、親カエルはその辺りも考えて出産場所を決めています。
卵から帰ったオタマジャクシは、自らの口と歯で食べ物を食べ始めます。
カエルは肉食ですが、オタマジャクシは雑食なので、死んだ魚屋水草などを食べて成長していきます。
また、共食いをする習性があるものの、固くて食べられないためか尻尾は食べず残します。
オタマジャクシの体はほぼ全て軟骨のみから構成されているので、柔軟に体をしならせて水の中を泳いで移動します。
水中で生活するので、もちろんエラ呼吸をしています。
顔の横にはエラがしっかりとあります。
後ろ脚が生えてくる
立派なオタマジャクシになり、スムーズに水の中を泳げるようになってくると、次は後ろ脚が生えてきます。
四肢が同時期に生えてくると勘違いされがちですが、最初は後ろの二本だけが生えてきます。
オタマジャクシの状態のまま、尻尾もあって後ろ足もあるという実に不思議な姿になります。
しかし、後ろ足が出現すると同時に少しずつ尾っぽは短くなっていきます。
食べ物は変わらず雑食です。
前脚が生えてくる
後ろ脚が生えてきてからしばらくすると、今度は前脚が生えてきます。
オタマジャクシの前脚の生え方は大変特徴的で、オタマジャクシ時代の自分の皮膚を突き破るような形で出てきます。
また、脚は必ず左右同時に生えるわけではありません。
片方の脚が生えた数日後にもう片方が生えるといったことも、決して珍しいことではありません。
前脚が生えても依然として尻尾はありますが、この頃になるとオタマジャクシの肺機能が発達してきます。
陸上生活への準備が始まるのです。
尾っぽが引っ込む
四肢が出揃うと、いよいよ尾っぽがへっこんできます。
正確には、尾っぽが体の中に収納されていくといった状態です。
この頃になると、オタマジャクシは主に後ろの脚を使って、上手に水の中を泳げるようになります。
しかし、尾っぽが完全に無くなるまでは陸上には上がることができません。
もし、陸上に上がっても尾っぽのせいで上手くバランスが取れず動けないからです。
また、この頃はまだエラ呼吸をしている為、陸上では息もできません。
オタマジャクシの尾っぽがゆっくりと体の中に格納されている時に、同時にエラも体内に格納されていきます。
そして、肺機能が完全に作られていくのです。
オタマジャクシが完全に陸に出るためには、完全な肺がなくてはならないからです。
陸上生活を始める
尾っぽが完全に消えた頃、オタマジャクシの体からはエラも消えています。
それは、同時にオタマジャクシの肺機能が完全に出来上がったことを意味しています。
今まで水中で暮らしていたオタマジャクシたちが陸上に上がり、カエルになって生活する時がやってきたのです。
オタマジャクシたちは次々と陸上に上がり、カエルとしての生活を始めます。
オタマジャクシだった頃の小さくて頼りなかった口は、カエルの大きな口と長い舌へと変化します。
そのため、オタマジャクシ時代の何でも食べていた雑食時代から食べ物はカエルの肉食へと変わります。
飛んでいるハエを長い舌で捕まえたり、地面を歩くダンゴムシやコオロギを捕まえ噛み砕いて食べることも出来るようになります。
また、ミミズなど長くてニョロニョロと動くものでも上手に自分で捕まえて食べられるようになります。
カエルとしての独り立ちです。
おたまじゃくしは1か月~2か月で一人前になる
このような過程を経て、オタマジャクシはカエルへと成長していきます。
日本の田んぼなどに住む一般的なアマガエルの場合は、一ヶ月から二ヶ月でこの成長過程をたどります。
しかし、ツチガエルやウシガエルなどの成長過程は長期間に及びます。
ツチガエルやウシガエルは、オタマジャクシの状態で越冬してカエルになるからです。
また、オタマジャクシの変態は気温や水温、気候の影響を非常に受けやすいことで有名です。
例え同じ種類のカエルであっても、卵を産み付けられた場所の環境によって、その成長速度は大きく異なるという特徴があります。
アマガエルの卵なら身近な所で手に入るので、是非育ててみてはいかがでしょうか。