散歩の必要がなく、鳴き声が少ないので賃貸住宅などでも飼いやすい両生類と爬虫類ですが、どちらがどちらなのか、区別できますか?
例えば、カエルが両生類、ワニが爬虫類というのはわかりやすいですが、ヤモリとイモリのように見た目が似ているとどっちがどっちなのか区別できない人も多いのではないでしょうか。
今回は、似た者同士に見えるけれども意外と違いのある両生類と爬虫類についてご紹介します。
生きられる場所の違い
カエル、サンショウウオ、ウーパールーパー、イモリ等の動物が代表的な「両生類」は、名前の通り水と陸の両方の環境がないと生きられない生物です。
カエルと同じように多くの両生類は、卵から孵ったばかりの幼生の時には、オタマジャクシのような魚類に近い姿をしており、水中で大人の姿にまで成長します。
その後、生物の種類によっては陸に上がって生活するものもいますし、水中でそのまま生活するものもいます。
そのため、飼育する場合にも水場と陸上とを行き来できる環境にする必要があります。
一方、「爬虫類」は地を這うという意味を持つ“爬”の字を使うように、水辺が近くにない陸上でも生きていけます。
カメやワニのように水に入る生物もいますが、ヘビやイグアナ、カメレオンのように森の中にいるものや、太古の恐竜などをイメージするとわかりやすいでしょう。
飼育する場合には、水や土などは特に必要ありませんが、登ったり隠れたりできるような仕切りなどを用意しましょう。
卵と生まれた直後の姿の違い
どちらも、ほどんどの種類が卵から生まれますが、その卵にも違いがあります。
両生類の卵は殻がなく柔らかくて透けていおり乾燥に弱いため、卵嚢(らんのう)と呼ばれる卵を守るための袋のようなもので包まれているものが多くあります。
卵嚢は、袋状の丈夫なもの、またはゼリー状や泡状のものもあり、卵を乾燥や外敵から守ったり、卵同士の接着や他の物に付着させる役割があります。
反対に爬虫類の卵は殻に覆われているので、乾燥にも強く陸上で卵を産みます。
爬虫類は産んだ卵を基本的にほったらかします。
鳥類の卵と違い爬虫類の卵は、上下をひっくり返してしますと死んでしまうので、卵の向きが変わらないように固定して適度な湿度のある場所で孵化を待ちます。
生まれたばかりの幼生期から肺呼吸ができ、大人をミニチュアサイズにしたような姿の爬虫類に対し、両生類は大人とは違う姿で生まれ、幼生期はエラ呼吸をするものが多いです。
このように、両生類と爬虫類は、そもそもの生まれ方も異なります。
ペットにする場合の接し方の違い
どちらも、室内でケースに入れて飼育するのが一般的ですが、ペットとして飼う以上は、愛着もありますし、かわいがりたいものですよね。
どんなかわいがり方をしたいのかによっても両生類と爬虫類のどちらが向いているのかがわかります。
時間があれば触っていたいというようなスキンシップをとりながらかわいがりたいという場合には、断然「爬虫類」がオススメです。
爬虫類・両生類はともに変温動物なので、自分の体温を維持することができません。
そのため、寒い時には暖かい場所、暑い時には涼しい場所に移動することで自分の体を守ります。
変温動物が自分よりも熱いものに触れ続けているとやけどをしてしまう可能性がありますが、爬虫類は体の表面がウロコで覆われているのでそこまで気温や人の体温でやけどをするということがありません。
もちろん、長時間のスキンシップは生物にストレスを与えてしまうこともあるので良いとは言えませんが、手に乗せたりしてかわいがりたいという人には爬虫類が合っています。
触るというよりはケースの外から見守っていたいという場合には、「両生類」が良いでしょう。
両生類を飼う場合にはケース内に水を入れる必要もありますし、両生類自体がつやつやした皮膚をしているので見ているだけで涼しげです。
爬虫類同様に変温動物なので暑さに弱いですし、皮膚で呼吸をしたり水分を吸収したりしているのでデリケートに扱う必要があります。
また、皮膚から粘液を分泌して湿った状態を保っているため、触るとペタペタしますので、あまりさわり心地が良いとは言えません。
皮膚が薄いこともあって、体温の高い人の手で触れられるとやけどをしてしまう可能性が高くストレスになってしまうので、スキンシップをとるのはオススメしません。
似ているけれど、全く違う両生類と爬虫類
進化の順番からすると、両生類がさらに乾燥に対する耐性を付けて陸上生活ができるようになったのが爬虫類と言われているので、見た目が似ているのは当然といえば当然なのかもしれません。
しかし、2つの生物は生まれた時からその後の生活環境まで異なる点が多いので、動物園やペットショップで見かけた時には、その環境や体の表面を見て区別してみてください。
余談としてヤモリとイモリについてですが、ヤモリは(家守)と書くように陸上のみで生活できるので爬虫類、イモリ(井守)の通り水がないと生きていけないので両生類です。