金魚の品種の一つである「らんちゅう」は日本で独自に生み出されました。

その原型となるものは江戸時代にはありましたが、現在の形のらんちゅうが作られたのは明治時代になってからです。

らんちゅう飼育は簡単とは言い難いものです。

しかし、その反面上手に育てることができれば非常に魅力的な金魚で、金魚飼育の中でもディープな部類に入ります。

今回はそんならんちゅうの飼育のポイントなどをご紹介します。

飼育ケース

現在観賞魚は水槽の側面から鑑賞するのが一般的です。

しかし、金魚は伝統的には上からその姿を楽しむものでした。

らんちゅうも、そのような習慣から上から眺めて美しいように品種改良を重ねてきたのです。

そのため、伝統的にはらんちゅうは底の浅い容器で飼育するものでした。

今でもらんちゅうマニアは底が浅いプラ箱などで飼育している人が多いです。

品評会に出すようなレベルの人は、らんちゅう飼育専用のFRPケースを使っています。

ただ、これは別に決まりというわけではないので、普通の水槽で飼って横から眺めるのも悪くはないです。

上からではよくわからない可愛らしいらんちゅうの顔を眺められます。

ただし、らんちゅうは特に若い個体ほど運動をさせる必要があるので、小さいからといってそれに合わせた狭い容器ではなく、広くのびのびと運動できる容器を選ぶ必要があります。

らんちゅうの購入

らんちゅうは一般的な熱帯魚店にも売られています。

しかし、熱帯魚専門店の場合、金魚、特にらんちゅうについての専門知識を持っている人がいない場合もあるので、できれば金魚の専門店を探しましょう。

ホームセンターのペットコーナーでも、中には専門知識がある人がいる場合もありますが、やはりコンクリの池で金魚を育て、販売しているような昔ながらのお店の方が適切なアドバイスをしてくれます。

水と濾過

らんちゅうも金魚の一種ですから、水は金魚と同じやり方で問題ありません。

すなわち、水道水は一晩汲み置きするかカルキ抜きを使い、容器に入れるときには十分温度合わせをしてから投入します。

濾過は上部濾過器や、投げ込み式の濾過器を使います。

金魚はフンが多いものなので、濾過が不十分だとすぐに水が汚れます。

らんちゅうを飼育している人は投げ込み式を推奨する人が多いです。

これは、エアレーション、つまり空気の供給と水中での直接的な濾過ができるためです。

ただし、投げ込み式の濾材は詰まりやすいので、濾材の周りにぬめりのようなものができていたらすぐにすすいであげます。

この時注意しなければならないのは、水道水で洗わないことです。

水道水では濾材に繁殖したバクテリアが死んでしまうことがあるので、汲み置きした水で表面のぬめりがとれるぐらいにすすぐだけでかまいません。

らんちゅう飼育には、植物プランクトンが繁殖して緑色になった「青水」が適しています。

しかし、青水ができるような環境を屋内で作るのは難しく、屋外飼育だと温度管理が難しいので、初心者のうちは青水にこだわらなくても良いでしょう。

エサのやり方

エサは、らんちゅうが食べやすいように底に沈むタイプの専用のものが売られています。

らんちゅうは運動させなければならないのでその分エサもしっかりあげねばなりませんが、しかし消化管が小さいので一度にたくさんあげると消化不良を起こします。

そこで、朝と昼の二回に分けて与えるようにします。

水温が10度以下になると消化機能が低下しますので、そこに無理に食べさせるとエサを消化できずに死んでしまうことがあります。

水温が低いときはエサを与えないか、室内で水槽で飼育する場合はヒーターを入れるなどします。

苔が生えた時は

観賞魚飼育ではよく容器に苔が生えてきます。

このうち、明るい緑色をした苔はらんちゅうの健康にとっても良いものなので、水槽に生えた時は正面だけ拭き取り、側面や背面には生やしたままにしておいてかまいません。

しかし、黒いヒゲ状の苔は水の富栄養化を意味していますので、適度に水替えをするとともに、濾過の見直しもします。

水替え

水替えは容器の大きさや屋内・屋外などによって、あるいは季節によっても頻度が変わってきます。

屋内で60cm水槽を使っていることを前提にすると、頻度としては週に1回1/3から週に2回1/4ぐらいを変えてあげるようにします。

ただ、これはあくまで目安なので、飼育数や季節によって変えます。

夏は多目に、冬は少なめにというのがパターンではありますが、冬にヒーターを使っている場合は多少多目に行います。

もちろん水替えに使うのは汲み置きしておいた水です。

1日ぐらいおけば問題ありませんが、2日~3日置いた方が良いという人もいます。

らんちゅうが病気になったら

らんちゅうは白点病や松かさ病など様々な病気にかかることがあります。

対応法についてはそれぞれ違い、ネットにもいろいろな対策法が書いてありますが、できれば専門知識がある人の判断をあおいでから対策をとるようにしましょう。

まずはらんちゅうを育てきることを目標に

らんちゅうは飼って楽しむだけではなく、繁殖したり、掛けあわせて形のよい個体を作ったりなど、非常に奥深いものです。

ただ、初心者のうちは、まず元気に育てることだけに気をつけていきましょう。