うさぎのチャームポイントの一つである大きな耳には、その見た目通り優秀な聴覚が備わっています。
しかし具体的にはどのくらい音を聞き取ることができ、それを生活にどう活用しているのでしょうか。
その辺りの事情を飼い主として理解しておけば、うさぎと仲良くなるきっかけが見つかるかもしれません。
うさぎは高い周波数も聴きとる
うさぎの耳は高い音が発する周波数を感知し、かなり遠くからでも音の発信源を探すことができます。
人間の標準である1万7,000ヘルツと比べ、うさぎは最大4万2,000ヘルツまでの高音を聴きとることができます。
その能力は野生で生き残るために必要不可欠とされているものでした。
うさぎの天敵であったフクロウなどは超音波を発して獲物の位置を探るので、常に高い周波数に気をつけ、なるべく高音を聴きとれるように進化していったのでしょう。
逆に低音には弱く、人間よりも聴きとる能力に欠けています。
そのため男性の声には反応が鈍く、理解することができないことがあります。
うさぎに何かを伝えたいとき、叱ったり褒めたりするときは、やや高い声で話しかければ、反応を示してくれるようになるかもしれません。
うさぎは周囲の広い範囲から音を拾える
うさぎの耳は、ただその大きさだけで優秀な聴力を保っているわけではありません。
うさぎの耳にとって一番の特徴は、その可動域にあります。
左右別々の方向に向けることだって簡単ですし、耳を高くあげることでより遠い距離からの音も拾うことができます。
耳の角度を微調整し、音のやってくる方角を確認することで、身の危険を察知していち早く逃げることができます。
野生ではこの耳を最大限に活かし、スタンピングで巣の中の仲間に危険を教えるような連係プレーも見られます。
ほぼ360度の音を収集できるので、飼育するときにあまりにも音が飛び交うような場所にケージを置いていると、うさぎにとってはそれだけでストレスとなってしまいます。
ケージの一面は壁にくっつけて、うさぎが音の心配をしなくてもいい角度を作ってあげましょう。
うさぎは音を関連付ける
音の大小や方向だけでなく、うさぎはある程度音の種類を判別し、それが危険であるのかどうか判断することができます。
電子音や食器のぶつかる音など、基本的に高音を嫌ううさぎが多いので、できるだけそういった音をうさぎの側で鳴らさないように気をつけましょう。
またある音を何か別の行動や出来事と結びつけて、警戒を示すこともあります。
もし耳を高く立て、怯えるような仕草をしているのなら、そのうさぎにとって嫌な音、怖い音がなっているのかもしれません。
テレビや人間の生活音の中にも、うさぎの心を傷つける種類のものがあります。
飼育しているうさぎがどんな音を嫌っているのかを把握しておき、余計な負担をうさぎにかけないように注意しましょう。
耳からうさぎの心理を知ることもできる
視覚や触覚よりも、うさぎは聴覚を主に利用して生活をしています。
見える前から耳に届く多くの情報は、うさぎにとって聞き逃すことができない大事なものです。
それはなにも危機管理だけに使われるわけではなく、日常生活では嬉しいことを探る時にも使われます。
例えば飼い主の声や足音が聞こえれば、うさぎはそれに反応して起き上り、喜びの出迎えをしてくれることがあります。
他にも冷蔵庫を開ける音は、好物の野菜や果物がもらえると判断し、もらえる前から期待して待っているという様子も見られます。
このように、うさぎは聞こえてくる音から楽しみを見いだしています。
うさぎが音に反応見せているとき、それは飼い主に何かを期待しているのかもしれません。
うさぎをがっかりさせないように、何を求められているのかはすぐにわかるようにしておきましょう。
しかし甘やかせすぎはよくないので、しつけもしっかりと行うようにしてください。
聴力だけではない、うさぎの耳が持つ機能
音を聴きとることだけが、うさぎの耳が持つ機能ではありません。
うさぎの耳には血管がたくさん通っていて、それを空気に触れさせることで自分の体内温度を下げているのです。
汗をほとんどかけないうさぎにとって、耳から熱を放出することは、体温管理のための重要な要素となっています。
そういった面も持つため、うさぎの耳は大変デリケートにできています。
毎日のように手入れをして、大切に扱っているのにはきちんとした理由があります。
ですから飼い主の方でも、耳に負担がかからないように、大きな音はなるべく立てないように気をつけ、不衛生な環境で耳を汚さないようにしましょう。
乱暴に耳を掴んだり、引っ張ったりすることはもちろん厳禁です。
人間にはわからない音の世界で、うさぎは毎日暮らしている
耳に聞こえてこないものに、私たち人間は気を配ることができません。
ですがうさぎは普通に生活しているだけでも多くの音を拾い、緊張したり興奮したりしています。
例え同じように音を聴くことができなくても、うさぎにとって不快な音を無くすような生活環境を整え、気を使ってあげられるようになりましょう。
うさぎとの共同生活では、より音に対して敏感な対応が求められます。