四足歩行のほ乳類は、基本的には一匹、二匹と「匹」と数えられますが、うさぎは例外で鳥類と同じく一羽、二羽と「羽」で数えられます。
何故、ほ乳類のうさぎが「羽」なのでしょうか?
諸説は出ているのですが、実ははっきりとした由来は分かっていないのです。
そこで、うさぎの数え方の様々な由来についてご紹介します。
姿や走り方が鳥をイメージさせたから
うさぎは後ろ足二本で立ち上がり、その足で飛び跳ねて走る姿が鳥の飛び立ちに似ているように見えました。
また長い耳が鳥の翼をイメージさせるため、鳥類と同様に「羽」と数えるようになったという説があります。
確かに四足歩行のほ乳類は、基本的に形体が似ており、そして「匹」と数えられています。
そのためうさぎと鳥類の形体が似ているため、同じように「羽」という数え方にした、という考えはあり得なくはありません。
鳥と同じ捕獲方法だったため
一部の地域では、うさぎは鳥類と同じく網で捕獲されていました。
加えて山村部では、習性を知っていれば、うさぎは鳥類と同様に容易に捕まえられる動物として扱われていました。
そのため、鳥と一緒に捕獲されていたため、うさぎもまとめて「羽」と数えられてしまった、という説があります。
確かに山で狩猟する動物で鳥類とうさぎを除くと、シカやイノシシといったやや大型動物になってしまいます。
このような動物とうさぎがまとめて捕獲されていたとは考えにくいです。
そのため、大きさが同じくらいの鳥類とまとめて捕獲されていたとしても不思議ではありません。
文字が変化したため
うさぎは捕獲されると、両耳を束ねられてしましました。
この束ねられたうさぎを「一把、二把」と数えていました。
この把(わ)とは束という意味です。
この把が後々「羽」に変化していった、という説があります。
同じ読み方の漢字のため、時代の変化によって、別の漢字に置き換わっていった。
または、うさぎは鳥類と同じ狩猟方法であった説を踏まえると、比較的納得しやすい説です。
うさぎは鵜と鷺であるため
1687年に江戸幕府第5代将軍徳川綱吉が制定した「生類憐れみの令」によって、四足歩行の獣の肉を食べることを禁止されました。
しかし庶民は獣の肉を食べるため、うさぎを「鵜(う)」と「鷺(さぎ)」の2羽の鳥であると言い逃れしていたため、うさぎが「羽」と数えるようになりました。
にわかに信じがたい説ですが、このうさぎと鵜、鷺に関しての説はもう二つかあります。
一つ目は、単純にうさぎの名前に「鵜」と「鷺」の2種類の鳥の名前が入っているため、うさぎを「羽」と数えるようになった、という説です。
二つ目は、うさぎの漢字を「うさぎ鷺」と解釈していたため、鷺の一種として「羽」と数えられていた、という説です。
偶然とはいえ、名前に鳥の名前が入っていることから、1と同じような理由で鳥がイメージされ、同じ数え方になったのでしょう。
「羽」以外の数え方
実はうさぎには、「羽」以外の数え方が存在していました。
それは「耳」という数え方です。
この「耳」という数え方は、鷹狩りで捕らえた獲物のうさぎに使用されていた数え方になります。
またこの「耳」の数え方は特徴的で、近世の書簡や書札では、うさぎ一匹を「片耳」と表記し、うさぎ二匹で「一耳」と表記されていました。
この数え方の理由は、鷹狩りで獲た獲物を結ぶ作法に則っていたと考えられています。
鷹狩りで鳥を獲た場合、雌雄二羽で一本の枝に括り付けていました。
これを鳥柴(としば)と言います。
この鳥柴に則ると、うさぎも二匹必要となります。
よって、うさぎ二匹でワンセットが出来るため「一耳」、一匹では足りないため「片耳」とされていたのでしょう。
この「耳」という数え方は近世まで使用されていましたが、明治時代以降は使われておりません。
うさぎの数え方の由来を知ろう
また一般的にうさぎの肉は、高たんぱく質で低カロリーと鶏肉と似た栄養を持っており、味もクセがなく鶏肉に似ていると言われています。
そのため鳥と同様に「羽」と数えるようになった、という説すらもあります。
このようにうさぎの数え方の由来については、非常に様々な説があります。
しかし、わざわざ「羽」と数えられるだけあって、多くの説に鳥との関係が示されていることが分かりました。
現在ではうさぎは「一匹、二匹」と数えられており、「一羽、二羽」という数え方にはあまり触れなくなってきました。
確かに本来であれば、うさぎは「匹」で数えられる種類の動物です。
そして今回のまとめから「羽」と数えられていた理由のほとんどは、人間の都合によって作られていたことが分かりました。
けれども、数え方の由来が分からないくらいに昔からうさぎと人間は生活する上で、深い関わりを持っていることも判明しました。
このように考えると、うさぎがとても身近な存在に思えますね。