猫はふいに尻尾や背中の毛を逆立てることがあります。
ときには全身の毛がそびえ立つようになるため、初めて見た人は驚いてしまうかもしれません。
猫がそのように毛を逆立てるとき、そこにはどんな心理が考えられるのでしょうか。
相手を威嚇している
猫は全身の毛を逆立てることで、自分の体を大きく見せて相手を威嚇します。
野良猫同士がケンカをするときなど、自分の強さを誇示する必要がある場合、猫はその毛の特性を利用して勝敗をつけようとします。
また家猫でも、飼い主やその家族に対して怒りを表すときに毛が逆立つことがあります。
その場合は下手になだめないで、自然と怒りが収まるのを待った方が無難でしょう。
相手を怯えさせる大切な武器になるため、猫はいつでもその毛の手入れを怠りません。
毛を逆立てている姿はある種の美しさも持ちますが、あまり怒らせて機嫌を損ねないように気をつけましょう。
もし飼い主に対して激しい威嚇の様子を見せるようなら、その原因をはっきりさせておく必要もあります。
何か気づかないうちに、猫を怒らせるようなことをしているのかもしれません。
猫との関係を考えたら、毛を逆立てさせることはデメリットになると覚えておきましょう。
驚いている
突然の音や衝撃に驚いたときも、猫は全身の毛を逆立てます。
恐怖と好奇心が入り混じった感情が、毛を通して表現されるのでしょう。
猫同士がじゃれついたり、追いかけまわしているときにも、毛が逆立つことがあります。
これも驚きや恐怖心が影響しています。
毛が逆立っている間は、周囲に攻撃的な態度を取ることもあるので、飼い主は扱いに十分注意しましょう。
猫はパニックの状態に陥ると、動きと共に毛を逆立てる習性があります。
パニックの状態は周囲や猫自身に危険となる場合があるので、飼い主は不測の事態に備えるようにしましょう。
いつまでも猫が落ち着かないなら、毛布などを使って優しくなだめてあげてください。
嫌悪感を表している
猫が背中の毛を少しだけ逆立てているときは、不快感や嫌悪感を表現しているのかもしれません。
眠っているところを起こされた。
好きなおもちゃを取り上げられたなど、自分の意にそぐわない出来事を前にしたときに見せる、一つの抗議であるといえるでしょう。
可愛いからといって寝ている写真を撮ったり、体を撫でまわしていたりすると、猫は毛を逆立ててしまいます。
猫からの好感度を下げないためにも、猫のリラックスタイムは尊重してあげるようにしましょう。
不機嫌を表すだけならまだいいのですが、それがひっかきや噛みつきのような行動に変わると問題になります。
猫のストレスや機嫌を配慮して、お互いに気持ちの良い生活ができるように工夫してください。
毛を逆立ててばかりいる生活が続けば、いつか猫も飼い主も疲れきってしまうでしょう。
興奮している
本能や警戒心を刺激するようなことが起こると、猫は体を興奮させて毛を逆立てます。
いつでも攻撃できるように、すぐに逃げ出せるようにといった準備段階に入っているので、飼い主がさらなる刺激を与えないように気をつけましょう。
興奮状態の猫は自分でも制御できない動きをするので、場所によっては命に関わります。
冷静に対処し、猫が毛を元通りにするのを待つようにしてください。
興奮や警戒が続くのなら、何が原因となっているのかを把握する必要があります。
音やにおいなど、人間では気づけないようなものに反応している可能性があるので、あらゆるものを想定して探してみましょう。
その間も猫からは目を離さず、常に注意を向けることも忘れないようにしてください。
突然の動きがケガへとつながるので、危険なものは一度排除しておく方がいいでしょう。
子猫が遊ぼうとしている
まだ子どもの猫は、遊びたい気持ちを抑えきれずに飛び跳ねて、全身の毛を逆立てることがあります。
子猫は自制心を持てないので、興奮したままに体を動かします。
それが毛にも表れて、まるで静電気に当てられたように毛を逆立たせるのでしょう。
基本的に飽きるか疲れるかするまで興奮は続くので、ケガをしないように見守っていられるなら、無理に落ち着かせる必要もありません。
時間があるのなら、なるべく子猫の遊びには付き合ってあげましょう。
運動不足の解消にもなり、仲良くなるきっかけにもなります。
何より一緒に遊んでいれば、危険なものを簡単に遠ざけることができるでしょう。
子猫はまだ自分で多くのことを判断できないので、飼い主が側でフォローしてあげられるといいですね。
猫が毛を逆立てる心理は、そのときの状況や様子で、ある程度推量することができます。 飼い主はなるべく早くその理由を把握して、猫がいつも通りリラックスできるように手助けする必要があるでしょう。 逆立った毛は、猫を象徴する一つの姿です。 しかしときには猫の恐怖心や警戒心を表すバロメーターにもなります。 猫が少しでも安心して暮らせるように、毛を逆立てることのない生活を一緒に過ごしたいですね。