一昔前には、希少で高価なペットとして、子供たちの憧れの的だった外国産カブトムシ。

現在では流通量も増えて飼育方法も確立し、国産種よりも安価な値段で購入できる種類も増えてきました。

中でも入門種として人気がある、アトラスオオカブトムシについてご紹介します。

アトラスオオカブトムシとは

アトラスオオカブトムシは、昆虫綱甲虫目カブトムシ亜科アトラスオオカブト属(カルコソマ属)に分類される、カブトムシの仲間です。

ギリシャ神話に登場する、天を支えているとされる巨人「アトラス」にちなんで、この名前が付けられました。

その名前が示す通り、カブトムシの仲間の中では大型の部類に入り、オスは角も含めた全身が10cmを超える個体もいます。

オスは3本の角を持ち、体が大きいほど角も長くなる傾向にあります。

口元から生える一本の頭角は上に向かって、体との付け根から生える2本の胸角は下に向かって反っています。

背中や角は緑色を帯びた美しい光沢のある外殻で覆われています。

オスのほうが光沢が美しく、メスは産毛のような体毛に覆われているため、あまり目立ちません。

足は長くて頑丈で、樹にしっかりとしがみ付ける爪と脚力を持っています。

フィリピン・インドネシアやマレーシア、近隣の太平洋諸島など、東南アジアに広く生息しています。

標高の低い平地の森林地帯などに多く分布します。

アトラスオオカブトムシの性質・性格

アトラスオオカブトムシは、種族の中で複雑に変異を行うことが知られていて、様々な大きさ、形状の亜種が存在します。

非常に小さい個体の亜種も存在して、一目見ただけでは同種かどうか区別がつかない場合もあります。

野生では生息地によって住む亜種も異なり、北限に近付くほど大きな個体が見られます。

変異は幼虫時の生活環境が影響して起こることが多いです。

現地の好環境で育った個体ほど、大きくなる傾向にあります。

高温多湿の地域で暮らしているため、寒さと乾燥にはとても弱いです。

冬眠もしないため、成体の冬越えは非常に難しくなります。

高温も苦手で、25℃前後の気温の環境の場所だと快適に生活が可能です。

オオカブトムシ属の中でも、アトラスオオカブトムシは攻撃的でケンカっ早い性格をしています。

さらに力も強いため、他の個体と共存させるのが難しいです。

敵や別個体と戦う時には、大きな角を使って下から突き上げて持ち上げたり、ひっくり返して攻撃します。

また、角を使う必要のない相手には、足の力だけで相手を倒すこともあります。

高い攻撃性は、稀に飼い主に向かう危険もあります。

普段は大人しいですが、安易に角に触れようとしたり、手の上に乗せると、角や爪で皮膚を切られて大怪我をする危険があります。

扱いには注意が必要しましょう。

アトラスオオカブトムシの一生

アトラスオオカブトムシは成虫になると、環境が整っていれば交尾を行います。

メスは抱卵すると地面に潜り、1ヵ月ほどかけて卵を産み続けます。

孵った幼虫は、1年ほどかけて大きくなります。

幼虫は地面の下で腐葉土から栄養分を吸収して成長します。

11~12ヵ月で蛹になり、1~2ヵ月で成虫になります。

成虫のエサは樹液や果物、野菜の汁です。

飼育下では、昆虫用ゼリーが近年の主流のエサとなっています。

蛹から成虫になった個体は飼育下では3~4ヵ月、販売されている成虫だと1~2ヵ月程度が寿命です。

飼育条件が良ければ、長ければ半年以上生きる個体もいます。

同じアトラスオオカブト属の中では比較的短命です。

アトラスオオカブトムシの購入方法・値段・飼育の注意点

アトラスオオカブトムシは生息数がとても多い種のため、日本では夏の時期になると大量に輸入され、全国のペットショップ、ホームセンターなどでも簡単に手に入ります。

主に販売されているのは原産地で捕獲された成体ですが、稀に日本で繁殖した幼虫や個体が販売されている場所もあります。

値段も海外産としては安価です。

個体の大きさや在庫数によって差はありますが、オスメスのペアで900円~10,000円程度で購入できます。

大量に入荷されている場合は、サイズや健康状態による選別がされていないことが多いです。

購入時には個体の大きさや状態をよく見比べて、元気そうなものを選ぶと良いです。

飼育には適当な湿度と温度管理が重要になります。

良い環境を整えてからの購入が望ましいです。

また、よくケンカをする種類のため、繁殖時以外は一匹ずつ別の容器で飼育するほうが、長く飼育を楽しめます。

アトラスオオカブトムシの特徴を知ろう

近年では、国内産のカブトムシよりも海外から輸入された種類のほうが、多く飼育されている傾向にあります。

値段が高価で飼育が難しいとされるものも多いですが、アトラスオオカブトムシは温度さえ気を付けていれば比較的簡単に飼育ができる種類として有名です。

カブトムシを飼育する際には、キレイで見た目もかっこいい入門種からスタートすることが理想的と言えます。