小さく癒しの愛ハム。
いつもは好奇心旺盛に遊び回っているペットのハムスターの調子がおかしい、いつもより元気のない様子だったらとても不安になりますよね。
初期段階にどんな原因が考えられるのか予測しておく事も、とても重要です。
状態が明らかにおかしい場合、動物病院での受診が必須ですが、日常的な変化が見られた場合、まずはその諸症状を認識しておく事も原因解明には効果的です。
ハムスターに元気がない時にどんな事が起こっているのか見ていきましょう。
温度変化に起因するもの
ハムスターを飼育するに当たって、その適温は大体20~25度と言われています。
ハムスターは人間や他の生態と同じように、暑いと感じれば手足を伸ばして体を広げますし、寒いと感じれば体を小さくして縮こまってしまいます。
室温が高く暑いと、熱射病などを発症してしまい、この場合はぐったりして体に熱を帯びているのが特徴です。
また、逆にクーラーなどの冷房設備が効き過ぎたり、ヒーターが機能しておらずに室温が低く、寒さを感じる場合には、ハムスターは眠りがちになります。
ハムスターの動きがこのように鈍い場合には、まずは飼育温度に問題がないか疑ってみましょう。
衛生管理が原因
ハムスターの前歯は定期的なケアが必要です。
歯が伸びすぎるとハムスターは食事を取りにくくなり、その結果食欲減退からエサを食べられない状態が続き、体力を落としてしまうというケースも見られます。
この際には外見も変わるので、比較的原因を発見しやすいでしょう。
次に、ハムスターの体を洗う際、直接水やお湯につけたり等すると、体が濡れる事によって体力を消耗してしまうという危険があります。
しかし、これは飼っている人であれば承知の上で、知っている事を前提にケアされている人が大部分なので、何かに濡れて体力を落としてしまうケースは稀でしょう。
そして、衛生管理においてもう一つ注視すべきは住処の掃除です。
キレイにするのは良い事ですが、掃除する際に匂いが全く消えてしまうと、ハムスターの元気がなくなってしまうことがあります。
また、ケージなどから出して散歩させた後にハムスターの作った秘密基地を壊したり撤去してしまうと、意外にもハムスターはがっかりした姿を見せる事があります。
病気・疾患による反応
ハムスターの病気には様々な種類がありますが、ここでは、動きが著しくおとなしくなったり、静かになったりといったケースを中心に取り上げます。
まず、動きがのたのた重苦しそうに左右に揺れていたら、膀胱炎の可能性があります。
また、食欲がなく動かない場合には便秘が考えられ、この時には片足を引きづったりするので比較的症状が見て取れます。
元気が無く、見た目に背中が曲がっていれば、老衰の可能性が大きいです。
それでなければ、椎間板という部位の異常が考えられるでしょう。
細菌感染や皮膚炎などで元気が無い事もありますが、それらは一定の症状が確認できるため、個別に詳細を調べてみるか、動物医にかかる方が無難です。
風邪の場合には、ぐったりする他、くしゃみやせき・発熱など、人間と同じような症状が出ます。
疑似冬眠
冬に気温が10℃を下回り、ハムスターの体が冷たくなっていると、疑似冬眠したものと考えられます。
これは「仮死状態」と呼ぶもので、神経の衰弱を同時に伴った際起こると考えられています。
眠ったように体が動かなくなりますが、実際に眠っていると目を閉じる為か、飼い主が死んでいるものと誤認する事例もあります。
しかし、実際には初期の震えた状態から静止し、呼吸も感じられなくなると徐々に危なくなっていると言えます。
とにかくじっとして眠ったまま起きないようでしたら、手で包み込んで温めるなどして、じっくり経過を見た方が良いでしょう。
判断に至らない場合は動物病院で診察してもらいましょう。
ストレス症状
ハムスターにも気分の変化はあります。
ハムスターは非常に繊細で臆病な一面を持った生き物ですので、いくら可愛いと言ってもかまいすぎるのは良くありません。
適度に距離感を保つ必要があります。
特にお腹は内臓とつなっがているので、ハムスター自身も敏感な場所です。
むやみにいじらないようにする事を心掛けたいところです。
ハムスターはその過敏さから神経に緊張状態が続くと、免疫力が次第に弱まってきます。
人間もエネルギーが無くなった人を見た事がありますよね。
疲れてまさによろよろの状態です。
特に赤目のハムスターは一般的な黒目のものより視力が下がる為に、更に臆病な性質であったりします。
ハムスターのストレス症状の中には、あるポーズ(動作途中)のまま固まって全く動かない〈≒フリーズ〉という現象を引き起こすものがあります。
これは人間が頭が真っ白になった時、身動きが出来ない事に似ています。
つまり、フリーズを起こしたハムスターは、恐怖を感じている可能性が高いものと分かります。
寿命に伴うもの
ハムスターは寿命が近づくと今まで元気だったものが、よろよろと歩きだしたり、寝がちになります。
ハムスターが目を開けないままじっと横たわっていたり動かなくなったり、エサをあまり食べなくなったりしたら、それはもうあなたの愛ハムはお年を召しているという意味です。
時々、もがくような動き方であったり、口を開けて吐いたりするような仕草が見られたら老衰と言って良いでしょう。
ハムスターを飼いだしてから二年前後経っていて、フンの大きさが小さく見られたら、悲しい事ではありますが最期の時を迎える前兆です。
食事や排せつに目立った異常が見られず、動きだけが鈍かったり眠りがちの場合、それはそのハムちゃんがもう十分に生きた事の証です。
ハムスターに元気がなければ、集中ケアか病院の受診を
本来ハムスターは生態系において、小さく弱い生き物です。
敵の多い野生の習性で、自分よりも大きな敵が沢山いる環境で育って来た訳ですから、敵に弱みを知られる事はまさにハムスターにとっては「死」を意味するも同然の事です。
ですから、ハムスターは自分から病気を隠そうとする習性を持ちます。
あまり距離感の近すぎる過保護な世話もかえってストレスになりますが、ハムスターの異変をいち早く察知する為にも、こちらから意識して観察する姿勢が大切でしょう。
ハムスターの様子がおかしいなと思った時には、その落ち込んでいる原因をしっかり検討しケアするか、場合によって危険だと感じたら直ぐに獣医の診察の受けるようにして下さい。
小さい個体ではありますが、人間と同じ一つの生命である事には変わりありません。
じっくり可愛がって、その最期まで彼らの人生を全うさせてあげて下さい。