可愛らしいインコと暮らしていると毎日が笑いに満ち溢れていて、「インコがいて困ることなんかない」と思うものです。

様々な種類のインコ達は飼い鳥の中でもトップクラスの人気者です。

小鳥と暮らしてみたいな、と考える人が「インコなら世話も簡単そうだし初心者でもいいだろう」と考えるのは無理もありません。

でも、実際は「人間以外の生き物と暮らす」ということは想像もつかないような困ったこともつきものです。

賢くて人間にもよく懐く、というのがインコの魅力ですが、実はこの魅力が困ったことを作り出す原因になることもあります。

生き物を飼おうとするときに、衝動買いは一番してはいけないことです。

それを防ぐためにも「実際に飼育するとなるとどういう困ったことがあるのか」を知っておくほうがいいでしょう。

部屋が散らかる

小型のセキセイインコから大型のインコまで、鳥の大きさに合わせて殻付きのシード類やナッツなどインコ達のエサは様々です。

それでも共通しているのは鳥が食べると剥いた殻などが散らばって散らかる、ということです。

また、果物や野菜などを与えるとインコは喜びますが、食べ方はなかなか乱暴です。

ミカンの汁などあちこちに飛び散らされるとベタベタしますし、食べ残しは夏になると臭います。

換羽(羽の抜け替わる時期)にはもちろん、普段でも抜け落ちた羽などが散らばっていることもよくあることです。

インコ類はおもちゃを壊して遊ぶのも大好きですから、壊れたおもちゃの破片なども小まめに掃除しないと誤飲したりすることもあります。

とにかく「小さい散らかし屋」が常にいて、散らかすけど自分では片づけないの典型です。

インコと暮らすと小まめに掃除しないととにかく部屋が散らかるのです。

インコは鳴き声がうるさい

インコは群れで暮らす鳥です。

そのため、朝起きたとき、雨が降っているとき(似たような水音にも反応します)、仲間が無事かどうかを確認する習性があります。

その鳴き声は中型以上のインコとなると人間同士の会話も聞こえにくくなるくらいです。

アパートやマンションなどの集合住宅で飼う場合、もしかしたら近所から苦情がくるかもしれません。

小さいセキセイインコでもベランダで日光浴をさせていて、インコが機嫌よく鳴きだすとうるさい、と言われる可能性があります。

インコの声は、残念ながらカナリアのように「さえずる」というものではありません。

なので飼い主本人には「ああ今日も元気だな」と嬉しい声であっても、周りの人には騒音と採られることも多いのです。

インコは依存問題が起きやすい

インコ類は飼い主や家族の一員をパートナーと決めることが多いものです。

いわゆる「オンリーワン」現象ですが、自分以外の人や動物が自分のパートナーと仲良くしていると嫉妬して攻撃してきたりします。

人間にもよく懐いてコンパニオンバードとして理想的、というインコの人気の性質が、トラブルを起こす例です。

また、パートナーの姿が長期間見えないと、寂しさから毛引きをするようになったりもします。

もちろん、手乗りになっているインコはパートナー関係に限らず、「ケージから出して遊んでもらえない」ということだけでもストレスを抱え込んで問題行動を起こすようにもなります。

インコは本来群れで暮らす鳥なので、「群れの仲間」がいなくなるのはとても嫌がります。

だから「ちょっと買い物に行くから」「洗濯物を干すだけだから」という理由でみんなが自分のいる部屋からいなくなると、呼び鳴きをしたりして大騒ぎします。

手乗りになっていない鳥でも「自分一羽だけで過ごす」ことはつらいのです。

インコは噛む力が強くてケガをする

インコのクチバシはエサとなるシード類やナッツの殻を割るためになかなかの力があります。

何か気に入らないことがあって噛まれると、セキセイインコサイズでもかなり痛いです。

中型以上なら大ケガをする可能性があります。

軽くても流血沙汰になりかねないのです。

小さい子どもや鳥に不慣れな人はインコに対する適切なアプローチの仕方を知りませんから、犬や猫に対するのと同じように接してしまいます。

その結果、インコから「やめて」の合図として噛まれてしまうことが多くなります。

インコの愛情のパートナーになっている人でもやっぱり噛まれることはあります。

小鳥だから、と軽く考えているとケガをして後悔することになりかねません。

インコを飼っていると長期の旅行ができにくくなる

犬や猫を預かってくれるペットホテルはたくさんありますが、鳥となると探すのは難しいです。

また、犬や猫と同じ場所に滞在する羽目になると鳥へのストレスは計り知れません。

パートナーや群れの仲間に愛着するインコは、自分だけがパートナーや群れから離されて知らない人や動物に囲まれるのは我慢できないことでもあります。

そのため、インコを飼っている人が長期旅行を計画する場合は普段から預かってくれる人と愛鳥が、少なくとも「顔見知り」になっているようにする必要があります。

できれば何度か愛鳥を連れてその人の家に遊びに行って場所にも慣れてもらうことができるといいでしょう。

飼い主の姿が見えないと不安でエサを食べないこともあります。

それを防ぐためにも飼い主が長期不在になるときの対策を日ごろから立てておきたいものです。

おもちゃ類の購入など追加費用がかかる

インコは頭のいい鳥です。

ケージの中で一日過ごしていると退屈してしまいます。

そのためにケージの中でも外でも色々な「おもちゃ」を用意してあげる必要があります。

インコの遊び方はなかなか元気いっぱいですから、木製やプラスチック製のおもちゃはすぐに壊れてしまいます。

また、おもちゃ自体「壊されることを前提として」作られていることが多いです。

頭がいい、ということは「飽きる」ということも起こります。

毎日同じおもちゃで遊んでいると、インコもやっぱり飽きるのです。

壊れたおもちゃは誤飲の可能性があったり、鳥の足に引っかかったりして危険ですし、飽きてしまったおもちゃでは遊びません。

ですから、たびたび新しいおもちゃを補給する必要があります。

おもちゃは手作りすることもできます。

その場合でも「新しいネタ」を探すためや「安全な材料」を勉強するために本を買ったりと、やっぱりお金がかかるものです。

インコに家具や小物・額などを壊される

大概のインコは「かじるのが大好き」です。

クチバシの手入れや遊びの意味からも必要な行為でもあります。

ただ、かじる対象には見境がありません。

なんだかかじり心地がよさそうだ、と思ったらそれが高価な家具でも、大切な額縁でもお構いなしです。

大切な家具をかじられたから、とインコを怒ったり罰したりすることは理不尽です。

インコには事情はわかりませんから、人間側がかじられて困るものはあらかじめインコのクチバシが出せないところに移動するか隠したり防御策を取ったりする責任があります。

また、インコは赤ちゃんと同じく興味を持ったものは「とりあえずかじって確認してみる」習性があります。

電気コードや観葉植物などインコにとって危険なものもありますから、これらにも注意する必要があります。

インコを飼っていて困ることを知っておこう

愛情深くて頭が良く、好奇心旺盛なインコ達は色々な困ることを考えても一緒に暮らす価値のある「仲間」です。

でも全くなんの予備知識もないままに飼って、「こんなはずじゃなかった」とか「予想もしていなかった」ということにもなりやすい鳥だともいえるでしょう。

飼い主やその家族と「親密な関係」を持つことを好むインコ達は、「こんなこととは思っていなかった」から、という人間側の事情は理解できません。

せっかく飼い主も家族も大好きになったのに、そのみんなを失うことはインコにとってとてもつらいのです。

どの種類のインコでもお迎えを検討する場合はいいことばかりではなく、「こういう困ったこともある」ということをよく考えてください。