犬の分離不安とは。犬が分離不安にならないようストレスに注意しよう

「分離不安」という言葉、人間に当てはめて考えるケースが多いですよね。

でも、この分離不安、犬に使うこともあるのです。

それでは、犬に使う場合の分離不安とはどのような意味があるのでしょうか。

そこで、犬の分離不安についてご紹介します。

犬にも人間にも見られる分離不安

犬の分離不安とは、飼い主など犬にとって愛着のあるものから離れる時に生じる不安な気持ちの事を指します。

この不安な気持ちは誰にでも見られる事なので特別異常な事ではないのですが、不安な気持ちが過度なもので長期にわたる場合は「分離不安症」という病名がついてしまいます。

この分離不安という気持ちは犬に限った事ではなく、他の動物や私達人間も抱く事がよくあります。

例えば赤ちゃん…大好きなママの姿がちょっとでも見えなくなると、たちまち不安になって大声で泣き続けますよね。

これも分離不安のひとつです。

しかし、この気持ちが小学校、中学校、高校…時には大人になっても消えない人も中にはおられます。

なぜ分離不安になるの?

では、犬が分離不安になる原因とは何なのでしょうか。

先ほど、人間の赤ちゃんにも分離不安があると言いましたが、犬の場合も親(飼い主)から離れた時に症状が出る場合がほとんどです。

元々、子犬は寂しがりなものなのですが、生まれつき分離不安の要素を持っている訳ではありません。

犬は群れで暮らしていた動物なので、生まれてすぐに親兄弟から離されて社会性を学ぶチャンスを失うと、不安になりやすいと言われています。

孤独な子犬時代を過ごしていたり、一頭だけで飼育されていたりする犬は分離不安症を発症しやすい傾向があるのです。

具体的な原因で一番多いのは飼い主の過剰な愛情、過度な接触です。

なぜ過度な愛情や接触がいけないのかというと、常にべったりと一緒にいると、犬は精神的に飼い主と片時も離れる事が出来なくなってしまいます。

この様な依存心が一匹でいる事に対しての不安を大きくしてしまうのです。

家の中で常に飼い主の後をついて歩くとか、トイレの前で待っているなどの行動が見られる場合には分離不安症の可能性があります。

分離不安の症状

分離不安症になると、吠えたり鼻鳴きをしたり歩き回るなど落ち着きがなくなり、トイレ以外の場所での排尿排便や破壊行為をしたりします。

目に見える症状としては「舐性皮膚炎」という皮膚炎が出来ている事があります。

舐性皮膚炎とは飼い主の気を引きたい気持ちから自分の足を舐めてしまい、部分的に脱毛が起きて、皮膚が赤くただれてしまう事を言います。

単に時間を持て余して暇潰しの為に舐める事もあるのですが、寂しい気持ちから舐めてしまう場合が多いです。

舐性皮膚炎が見付かったら動物病院で受診しましょう。

分離不安の症状が出てしまったらどうすればいいのか

分離不安の症状が出てしまった場合、少しでも症状を緩和させるために気を付けなければならない事があります。

まずは、常にべったりとくっついて過ごす生活を変えて行きましょう。

共にべったり過ごしているという事は、飼い主の方も犬に依存している証拠です。

お互いに家の中で別々の時間を過ごす事も大切です。

しかし、極端に長い時間を一匹だけで過ごさせると孤独感が増し、かえって不安な気持ちを増幅させてしまいます。

最初は30分ぐらいの時間をゆっくり過ごさせるたころから始めて下さい。

それから、飼い主が出掛ける時には、「いい子にしててね」や「行ってくるね」など犬に声をかける様な事は避けて下さい。

出来るだけさりげなく出掛けて、犬自身が家に残る事を強く意識しない様に気を付けてあげて下さい。

帰宅した時も出掛ける時と同様に「ただいま~」などとすぐに声をかけると、次に留守番をする事に対しての不安が大きくなってしまいます。

留守中にトイレ以外の場所に排尿排便をしてしまっても、叱らず黙って片付けをして下さい。

とにかくストレスを与えない

何でも犬の言う事を聞いてわがままに育てる事はよくありませんが、犬にあまり関心を示さずに孤独感を感じさせるのも良くない事です。

孤独に対するストレスは、副腎皮質刺激ホルモンに変化をもたらすので良くないという事が判明しています。

犬にしつけをする上で飼い主と一緒に寝る事を禁止する場合が多く見られますが、飼い主と離れて寝ると分離ストレスを増幅させてしまうので、出来れば一緒に寝る事が望ましいです。

分離ストレスを減らしてあげると、分離不安の症状が次第に改善されて行きます。

犬との適度な距離を保ちながら、一日の生活パターンを規則正しいものにしてみましょう。

犬の分離不安に気を付けよう

愛犬を分離不安にしようという飼い主などいるはずはないと思いますが、その深い愛情が犬を不安にさせていることがあります。

犬が飼い主さんに依存しないように心がけましょう。