今まで犬が夜鳴きなんてすることはなかったのに、年をとってきたなと思ったら夜鳴きをし出した、という経験はありませんか?
それは老いによる様々な原因が隠れているかもしれません。
今まで落ち着いていた犬が夜鳴きをし出すのは何かのサインです。
うるさい、近所迷惑だと犬を叱る前に、なぜ鳴いているのか原因を探して対処してあげましょう。
今回は老犬が夜鳴きをする原因をご紹介します。
痴呆、認知症の可能性
1番可能性が高いと思われるのは、犬の痴呆や認知症の可能性です。
老化によって、脳神経細胞や自律神経がうまく機能しなくなり、痴呆や認知症の症状が起こります。
このような症状が起こり始めると、昼夜が逆転してしまったり(昼に多く寝て夜は目が覚めてしまう)、夜鳴きの症状が現れることがよくあります。
痴呆・認知症に効果的な治療方法はまだ確立されていないので、症状が出たら、止まらずに進行していくのが一般的です。
しかし、運動や日光浴で進行を遅らせたり、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったサプリメントを摂取させたり、発見が早ければ早いほど、治療の効果が得られると言われています。
また、あまりに夜鳴きがひどい場合には抗うつ剤や抗精神薬、抗てんかん剤など睡眠薬などを処方してくれる病院もあります。
薬を飲ませることに抵抗のある飼い主さんもいるとは思いますが、毎晩の夜鳴きによる飼い主のストレスや近所への配慮、そして犬の体力消耗など総合的に考えると、対症治療ではありますが、お互いにとって精神的にも安定する方法です。
異変に気づいたら早めに獣医師に相談するようにしましょう。
寂しさから鳴いている
痴呆・認知症ではなく、ただ純粋に寂しさからくる夜鳴きの場合をもあります。
原因は、老化によって視力が衰え、目で飼い主を確認することが難しくなっていたり、聴覚や嗅覚が衰えたことで飼い主の気配や物音、臭いなど全ての感覚で安心できる材料を感じにくくなってしまっているからです。
この場合は、そばで頭を撫でで上げると、安心して夜鳴きをしなくなるケースがほとんどです。
夜寝る時に同じ部屋に寝床を置いてあげたり、飼い主の臭いの強いものを寝床に入れてあげたり、飼い主の存在をきちんと感じさせてあげられるような環境を作って、犬を安心させてあげましょう。
わがままだと決めつけて放置してしまうと、夜鳴きはもっとひどくなり、痴呆・認知症へつながってしまうケースもあります。
早めに対処してあげましょう。
病気の可能性
病気で苦しんでいる可能性もあります。
病気の場合は、食欲や散歩など昼間の生活のさまざまな部分にも異変は生じてきます。
また、重病ではなくても、関節痛やだるさなど、人間が年をとったときにも起こる症状と同様の症状が、老犬にも起こるものと考えておきましょう。
病気があるようだったら早めに治療が必要になるので、獣医師に相談しましょう。
痴呆・認知症との鳴き方の違いは、痴呆・認知症だと低く唸るような声で、物音などは関係なく、とにかく数時間鳴き続ける、夜になり辺りが静まり返ると鳴きだすといった傾向があります。
それに比べて、病気などの場合は弱くクンクン鳴いたり、体を動かした瞬間痛みがあって鳴いたり、鳴く時間と鳴かない時間の波があることが多いです。
このような鳴き方の違いを、判断材料にしましょう。
思うように動けないもどかしさからの夜鳴き
体が動かせなくなった老犬に多いようで、思うように動けないもどかしさから夜鳴きする犬もいます。
水を飲みたくても飲むまでに大変な時間がかかる、あるいは、それすらも自分ですることができずに飼い主に助けを求めている、なぜ動かなくなってしまったのか、なぜ食べたいものが自由に食べれないのか、そんなことを訴えているのかもしれません。
こうなってしまった場合は、とにかく近くにいてあげて、犬の気持ちを汲み取ってあげるようにしましょう。
そしてなるべく昼間はかまってあげたり、少し刺激を与えたり、動けなくても縁側や外に出してあげて、眠気を発散してあげましょう。
昼間にたくさん寝かせてしまうと、余計に夜に目が覚めてしまいます。
夜にぐっすりと眠れるように、昼間の時間できるだけ寝かせないようにすることも大切です。
老犬が夜鳴きする理由を見つけて対処しよう
単純に体に異変があることを訴えている場合もありますが、多くは老化による痴呆・認知症の症状であったり、寂しさからくる精神的不安であったりすることが多いです。
犬は感情を持っている動物です。
それを考えれば、人間が年老いたときに感じること、経験することと同じことが、犬にも起こると考えると、犬の気持ちを理解してあげやすいのではないでしょうか。
愛犬が老いていく姿を見ているのは辛いことですが、最期までたくさんの愛情をもって見守ってあげられるよう、環境を整えてあげましょう。