犬を躾ける際に、必ずと言っていいほど覚えさせるものは「お手」です。
「お手」は一番最初の躾であると同時に、最も他の人から要求される芸でもあります。
お手が出来ないからと言ってその犬が躾をされていないとは限りませんが、やはりお手が出来る犬は「良い子」だと周りから評価されるでしょう。
愛犬が他の人たちから良い子だと思われたいのは飼い主さんなら当然の事です。
とは言え、この「お手」はどの様に覚えさせれば良いのでしょうか。
ここではよく使われるお手のしつけ方をご紹介します。
おやつを使った方法
一番一般的と言えるのが、この「おやつを使った方法」です。
手の中に隠れるサイズのおやつを右手で握りこみ、犬の前に出します。
すると犬はおやつを取ろうと必死になります。
ここで注意すべきは、前足を乗せたり、引っかいたりと必死になっている内はおやつを渡してはいけません。
ある程度犬が落ち着いてきたタイミングで、前足を右手に乗せてきたら、飼い主さんは「お手」と声に出して言ってから手を開いておやつを渡してあげます。
ポイントとしては、犬の前足が右手にしっかりと乗っかるタイミングで「お手」と言ってから手を開く事です。
すると犬は、「お手」と言う言葉が聞こえたら前足を乗せるとお菓子が貰える、という認識が生まれます。
これを繰り返してき、お手と言う、前足を乗せる、おやつをあげる、のサイクルが完全に出来上がったら、おやつを与えずに「お手」が出来る様にしつけます。
犬が「お手」が出来たら思いっ切り褒めてあげる様にします。
そうすると今度は「お手が出来たら飼い主が褒めてくれる・遊んでくれる」と認識する様になり、おやつ無しでもお手をする様になります。
おやつを使ってのしつけの注意点としては、あまりおやつをあげ過ぎると、犬はお手しながらおやつを要求するようになってしまいます。
そうなるとしつけの意味が無くなります。
あくまで飼い主が「お手」を指示したときにする様に、おやつは程々にあげる様にして下さい。
手を握る方法
これも恐らく一般的に行われているであろうしつけの方法です。
犬と正面から向き合って、片方の前足を軽く握り、その時に「お手」と言います。
これを何度も繰り返していくうちに、犬はお手という言葉を聞くと前足を手に乗せる様になります。
子のしつけ方は簡単な反面、とても根気がいる方法です。
犬が積極的に前足を出すきっかけが無い為、条件付けがしづらく、覚えにくいのです。
しかし、おやつなどを使わない為、余計な事を覚えさせずに純粋に「お手」のしつけをさせる事が出来ます。
上で挙げたような方法は、お手をさせるまでに時間は掛からない反面、おやつ抜きでお手をさせるのには少々時間が掛かる場合があります。
それを考えると、お手を覚えるまでの時間と掛かる手間は、どちらも差は無いのかもしれません。
この方法の注意点としては、前足を握る際に、強く握りこんでしまうと犬は痛がり「飼い主の手に前足を乗せると怒られる・痛い事をされる」と学習してしまい、お手のしつけが困難になってしまう点です。
ですから前足を握る際には優しくする様に心がけます。
ケージの中で行う方法
これはあまり一般的では無いかもしれませんが、ケージや檻の中に犬を入れて行う「お手」のしつけ方があります。
まずは犬をケージや背の高い檻の中に入れます。
そしてケージ越しに犬に話しかけたり、遊んだりします。
そうする内に犬はどんどん飼い主さんと遊びたがって、ケージを引っかく様になるでしょう。
その後、今度は犬の前に手の平を差し出します。
飼い主さんと遊びたい犬は、差し出されたあなたの手に向かってケージの隙間から必死に手を伸ばしてきます。
「お手」と言いながら、犬の前足を軽く握ってあげましょう。
これを何度も繰り返し行うと、ケージの外でも「お手」と言えば前足を出すようになってきます。
この方法は、手が触れる行為そのものにご褒美と同じ効果がありますので、態々おやつ等を使わずにお手を覚えさせる事が出来ます。
お手をすること自体をご褒美にする事によって、余計な手間を省いた効率の良いしつけが可能となるのです。
この方法の注意点は、必死に前足を伸ばしてくる愛犬に傷ついてしまう事です。
可愛い愛犬が遊んでほしくて必死に自分に手を伸ばす光景には、心が痛んでしまいます。
思わずケージから取り出して「ごめんね」と言ってしまいそうになるかもしれません。
しかし愛犬が周りから「しつけがなっていない」と思われない為にも、ここはぐっと堪えてしつけに徹してあげて下さい。
愛犬に合った方法でお手を教えよう
お手のしつけ方として有名な方法とそうで無いものをあげましたが、どれも共通する事は「前足を出させて、お手と言う」を繰り返す事です。
「お手」と言う言葉をトリガーにして前足を出させる事を学習すれば、どんな方法であれ「お手」を覚えさせる事は出来るでしょう。
ここで挙げた方法は勿論、それ以外でもあなたの愛犬に合いそうなオリジナルのしつけ方法を考えて試してみるのも面白いかもしれません。