犬の寿命は一般的に10年から15年ほどで、老化は小型犬から中型犬までは10歳前後から、大型犬であれば7歳前後から始まります。
老化が始まると健康面や肉体面で様々な変化が起きます。
そこで今回は犬が老化する際に見られることをご紹介します。
散歩を催促しなくなり、散歩に行っても帰りたがる
犬種にもよりますがほとんどの犬は散歩が好きで、飼い主に散歩に行きたいと催促をします。
しかし、老化が始まると飼い主に催促をしなくなり、散歩に連れていっても途中で動かなくなったり、帰りたがったりする仕草を見せるようになります。
これは老化により運動が体力的に辛くなり、出かけることが億劫になっていることを示します。
また、足腰が弱まるため怪我をしていなくても引きずるようになったり、視力の低下により散歩の途中で電柱や障害物にぶつかったりすることも増えてきます。
そのような状態になった時には無理に連れて行かず散歩の頻度を減らし、散歩のコースも以前よりも短くしてあげるなどの対応が必要になります。
睡眠時間が長くなる
老化が始まった犬は睡眠時間が長くなる傾向にあります。
動き回り周囲に興味を示すことも少なくなり、一日中寝ていることが多くなります。
寝ている時に起こそうとしても起きず、以前は寝ていても来客や物音にすぐに反応していたのが反応を全く示さないか、示したとしてもうっすら目を開けて確認するだけですぐにまた寝始めるようになります。
他にも、それまで寝る際には自分の犬小屋や専用の寝床で寝ていたのが、飼い主や家族のそばで寝るようになり、老化が進むとところ構わず寝るようになる犬もいます。
また、老化により起きる認知症を発症すると昼夜が逆転し、昼間に寝て、夜になると起きだして徘徊するなどの症状も見られます。
ただし、睡眠時間が長くなるのは老化だけに限ったことではありません。
体のどこかに異常をきたしていて寝ている可能性もあり、怪我ならばすぐに発見できますが体内の異常の場合、どうしても気づきにくいので、気になるようであれば動物病院に連れて行くようにしましょう。
食欲が変化する
老化すると人間や他の生き物と同様に、食欲にも変化が現れます。
食事量が減る、食事にあまり興味を示さなくなる、おやつを食べなくなる、等の症状が現れ始めたら老化のサインかもしれません。
これは老化が始まると食欲が減退する他、顎の筋力の低下や歯が弱くなることから起きる変化です。
このような変化が現れた場合は、与えていた食事を老犬用に調整されたものに切り替え、給エサ量も減らしてあげるようにします。
また、噛む力も衰えてくるので、ドライフードの場合は粒の小さなものにするか少しふやかして与えてあげる、もしくはウェットフードに切り替えるなどの対応も必要になります。
なお、犬の中には上記とは逆に、食べてもさらにエサをほしがる犬もおり、とにかく食事に執着し、多頭飼いの場合他の犬のエサまで食べようとさえすることがあります。
このような症状が現れた際は、犬が欲しがるからといってむやみやたらにエサを与えることをせず、これまで通りの分量を守るようにしましょう。
排泄の変化
老化が進むにつれ体内の臓器や神経も共に衰えていきます。
それにより尿やウンチなどにも変化が現れてきます。
まず大きな変化として起こるのがトイレを我慢できなくなる点です。
多くの家庭では犬を飼い始めた際、最初のしつけでトイレトレーニングを行います。
トイレトレーニングを行うことで、決まった場所でトイレをするようになり粗相をしなくなります。
しかし、老化が始まると筋力や神経の衰えにより、トイレにたどり着く前に漏らしてしまう事が増えてきます。
また尿をする際も少しずつ出すようになり、ウンチも量や回数が減っていきます。
これは運動量が落ち、食欲も減退することから食事量、水分摂取量ともに減ることによる変化と、臓器の衰えにより、排泄しにくくなっているという2つの理由が考えられます。
よく震えるようになる
老化が始まった犬の中には、暖かい部屋にいても体を震わせる犬がいます。
通常犬が体を震わせるのは単純に寒い時や興奮している時の他、何かしらの中毒症状を起こしている時です。
しかし老化が始まった犬は、筋力の衰えにより体をうまく支えることが難しくなっている、体温調節がうまくいかない、認知機能障害を起こしている、などの理由から震えを引き起こします。
犬が震える時に注意が必要な点は、震えを起こしている個所によって震えの原因が違うということです。
よく見られるのは後ろ足、頭部などの震えです。
後ろ足が震えている場合、腰椎や足の筋力の衰えや腰痛、さらには内臓疾患の疑いもあります。
次に頭部が震えている場合は脳疾患や頭部に不快感がある等の要因が考えられます。
いずれにせよ、異常が認められるときには早めに動物病院に連れて行くことが重要です。
犬の老化のサインを見極めよう
人と比べて圧倒的に寿命の短い犬は老化も急に始まり、いったん始まるとどんどん進んでしまいます。
しつけをしていたことが出来なくなり、手がかかるようになってきます。
その時にはむやみやたらと怒ったりせずに、やさしくお世話をしてあげましょう。
犬自身も自身の老化に戸惑いを感じています。
衰えが来るのは悲しいことですが、その時の状況に合わせたお世話をしてあげて、快適な老犬生活を送れるようにすることが必要です。