近年犬をペットとしている家庭が多く、子どもの数より犬の数の方が多いなどとも言われています。

しかし、一方で愛されるべきペットを不法に捨てる人も多くいることが問題視されています。

では、何故人は家族同然のペットである犬を捨ててしまうのでしょうか。

引越しを余儀なくされた

一戸建てなど、それまで何の問題もなく犬を飼っていた家庭が何らかの理由で引っ越さなければならなくなり、犬を捨ててしまうという話をよく耳にします。

会社の転勤辞令などは急に出るものが多く、飼い主は自分の引越し準備のことで手一杯になってしまい、つい手放してしまうケースがあります。

また、引越し先の物件を捜す際にペットの存在がネックになることも多くなります。

特に賃貸においてペット可の物件はまだまだ件数が少なく、家賃も割高なことが多くあります。

そんな時につい「ペットがいなければ、もっと駅近の物件に住めるのに」「ペットがいなければ、もっと家賃が安くて済むのに」などと安易に考えてしまい、実際に捨ててしまう人もいます。

病気になってしまったから

なんとも愛らしい存在のペットたち。

彼らペットは家族の癒しであり、マスコット、幸福の証でありました。

しかし、そんなある日ペットの様子がなんだかおかしい。

病院に連れて行ったところ、もう治らない病気だと告げられてしまいます。

そんな時、家族は絶望してしまいます。

なぜなら、彼らにとってペットとは癒しや幸福感を与えてくれる存在だったからです。

負のイメージの病気や死というものを直視できません。

そこで、現実逃避をしてしまい、愛していたペットを捨てるという暴挙に出てしまいます。

愛しているからこそ、その存在が不幸に苦しむ姿を見ていられないのかもしれません。

年をとってしまったから

ペットの存在に、癒しや幸福といったキラキラした部分のみを求める飼い主が犬を捨ててしまう理由の一つではないでしょうか。

人と同じように、ペットも年をとるのは当たり前のことです。

誰しもずっと若さを保つことなど出来ません。

しかし、理不尽にもペットにそれを望む人は多く、毛並みや歯、眼や耳が衰えていくことが悪に感じるのでしょうか。

以前のように歩けなくなった、走れなくなったという理由で捨ててしまうようです。

他の種類の犬が欲しくなった

多くの方がご存知のように、毎年ファッションには流行があります。

車にも、かばんにも流行り廃りがあり、みんなが一斉に流行のものを追いかける傾向が強い現代日本です。

そのような中で、なんとかけがえのない命ある存在のペットにも流行りがあります。

愛らしいチワワのCMが流行れば、町のペットショップのショーウィンドーは一斉に「チワワ」一色になります。

しかし、多くの大人が知っているはずです。

小熊のような姿が愛らしい「トイプードル」が流行ったこともあれば、胴長短足で愛嬌のある「ダックスフント」が流行った過去があったことを。

更に遡れば大型犬ブームで「シベリアンハスキー」や「ゴールデンレトリバー」を飼っていた家庭が多くあったことを。

何故、たった数年でこんなに流行の犬種が変わるのでしょうか。

考えたくはありませんが、洋服のようにペットにおいても流行を追いかけている人が多くいます。

流行の去った洋服をあっさり捨てるように、ペットたちも捨てているのです。

そして、最先端のはやりのペットをまた手に入れるという負の連鎖の出来上がりです。

世話が億劫になったから

ペットは生き物です。

食事も食べれば排尿、排便もします。

また、当然ですが病気にもなり、機嫌も良かったり悪かったりします。

毎日散歩にも出かけなければなりません。

犬は、自分のことを全て自分でするのは不可能なので、飼い主に頼るしかないのが実情です。

しかし、頼み綱の飼い主が病に倒れたり、事故にあってしまったりした場合はどうでしょうか。

飼い主は自分の身の回りのことすら行えなくなってしまいます。

そんな時にとても犬の世話までは、手が回らないでしょう。

そうして、捨てられてしまう犬も多くいるのではないでしょうか。

ペットも命ある存在

ペットとは命ある存在です。

命あるものがショーウィンドーに並び、お金で売買されているのがペットショップです。

その後愛情を持って、命あるものとしてペットが最後の時を迎える時まで責任を持って育てる自信の在る人のみが本来購入しても良いでしょう。

しかし、現実はそうはいきません。

命を買った責任、命を育てる責任、命の終わりを見届ける責任をもう一度見直し、考えて欲しいところですね。