鯉と言えば金魚と並んで日本を代表する飼育魚の一つでしょう。
特に錦鯉は古くから日本の上流階級で飼われてきた由緒ある魚です。
最近では海外から輸入されてきた珍しい熱帯魚がアクアリストの間で持てはやされていますが、色鮮やかで日本の「わびさび」を感じさせる鯉もまだまだ人気があります。
しかし鯉とは一体どの様にして飼育すればよいのでしょうか。
鯉を飼育するうえで重要なポイントをご紹介します。
水作りはしっかりとする
鯉は濡れた新聞紙に包んだだけでも暫くは生きられる、と言われるほど丈夫で生命力の強い魚です。
しかしだからと言って雑な飼育をしてしまっていいと言う訳ではありません。
鯉を飼育する上で最も重要なポイントとも言えるのは「水作り」です。
水作りとは簡単に言えば、糞やエサの食べ残しを分解してくれる「バクテリア」を湧かすことを言います。
まずは鯉を飼育する水槽にカルキ抜きをした水道水を入れ、魚を入れないでろ過フィルターを稼働させます。
多くの人は水を入れた後すぐに魚を入れたくなってしまうでしょうが、少なくとも2週間の間は生きた魚を入れず、空の状態でろ過フィルターを回し続けます。
またバクテリアはフィルター内にある「ろ過材」に住み着くため、ろ過材をたくさん入れる事が出来る上部ろ過、もしくは外部ろ過フィルターを使うことをオススメします。
バクテリアが多く湧けば、それだけ水をキレイに保ってくれます。
酸素供給をより多く
鯉は水中の酸素を吸って生きています。
なので水中に多くの酸素を取り入れることが鯉の飼育では重要なポイントとなります。
元々鯉は、他の肴に比べるとあまり酸素が無くても生きてはいけますが、水槽内では何かと酸素が不足しがちになりやすいです。
酸素が不足すると、鯉が体調不良を起こしたり、最悪の場合は突然死に繋がる危険性があります。
酸素を十分に供給することは、鯉の健康状態を良好に保つのみならず、バクテリアを増やす事にも繋がります。
バクテリアも生き物ですので、酸素を必要とします。
水槽内にエアレーションやディフューザー等を設置して、酸素を供給するようにして下さい。
また水流ポンプ等があれば更にいいです。
水槽内に水流を作ることで酸素が満遍なく行き渡り、程よい水流は鯉の活動を活発にし、健康にも良い影響を与えてくれます。
最初は小さな水槽で飼育する
鯉と言えば広い庭池で悠々と泳いでいる姿を想像する人は多いと思います。
その為「広い池ではないと鯉は飼えない」と思われている方もいるのではないでしょうか。
しかしそんな事はありません。
鯉は環境への適応能力がとても高く、その中でも錦鯉などは住む水槽の大きさに合わせて成長をすると言います。
最初のうちは小さな水槽で鯉を飼育すれば、成長してもあまり大きくはならないでしょう。
鯉が成長した後に大きな水槽に移せば、水槽が狭くなると言うことは無くなるはずです。
そうすれば鯉が大きくなりすぎて世話し切れなくなった、という問題も起こりませんので、マンションなどに住んでいる方にはこの方法での飼育をオススメします。
もちろん庭に大きな池を持っている方や、大型水槽での飼育が可能な方は、初めからそちらで飼育した方が好ましいです。
水草はしっかりと植える
鯉を飼育するときに、水槽内に一緒に水草を植えると非常にキレイで良く映えます。
また水草は水槽内の汚れを吸収し、光合成で酸素を作ってくれるので、水槽内の環境作りに一役買ってくれます。
鯉を飼育するならば一緒に植えておくと良いでしょう。
しかし鯉は水草を好んで食べますので、ただ植えるだけでは鯉に引っこ抜かれて食べられてしまいます。
水草を植える際には、石で根元を押さえたり、流木に絡めるなどして鯉に引っこ抜かれないように工夫する事がポイントです。
鯉を飼育する際に一緒に植えるのにオススメなのが「アナカリス」と言う水草です。
アナカリスは別名をオオカナダモ、キンギョソウとも言い、非常に丈夫で成長のスピードが早い事で知られます。
例え引っこ抜かれても、丈夫なアナカリスならば滅多なことで枯れることもなく、また成長のスピードも早いので食べ尽される心配もあまりありません。
また鯉は柔らかい水草を好んで食べますので、固い水草を植えるのも一つの手でしょう。
鯉を飼うためのポイントを知ろう
鯉は昔から日本にいた魚ですので、熱帯魚に比べると非常に飼育は容易と言えるでしょう。
基本的に身体が丈夫で、水質の悪化、水温の変化にも強いです。
水温は35度から5度までの間ならば生きる事が出来て、冬場は冬眠することも出来ますので、野外での飼育も容易に可能です。
また空腹にも強く、1週間程度ならばエサを与えなくても平気です。
寿命も非常に長く、平均で20~30年、長寿な個体ですと100年以上生きたものもいます。
初心者でも上記したポイントを押さえておけば、滅多なことでは死にませんし、病気になることも少ないでしょう。
現代的な熱帯魚も良いですが、純和風の鯉には全く別の魅力があります。
これを機に飼育を検討してみてはいかがでしょうか。