クサガメを飼う場合、飼育環境や日々の接し方次第で、飼い主にとてもよく慣れることもあれば、飼い主を見ただけですぐ隠れてしまうようになることもあります。

よく慣れたクサガメは、まるで犬のように飼い主の後を追うこともあります。

しかし、犬のように知能が高い訳ではなく、また、もともと群れで暮らす生き物ではないので、正しい接し方と根気が必要です。

そこで、以下にクサガメを慣らすための飼い方のポイントをご紹介します。

水槽の置き場所をこだわる

クサガメを飼う場合に外に水槽を置く方もいますが、クサガメを人に慣れさせたいと思うなら、水槽は室内に置きます。

できれば、人がいる時間の多いリビング等が良いでしょう。

また、床に直置きでは無く、棚の上など床から50cmくらい上が好ましいです。

何故なら、クサガメの視界に人の顔が入る方が、人に慣れやすいからです。

また、水換えの際にある程度高さがある方が効率が良いというメリットもあります。

水槽のレイアウトにこだわる

クサガメに限らず、カメは本来とても臆病な生き物です。

水槽をセッティングする場合、多くの方はペットショップや飼育本、ネットの情報を参考に水槽の中に日光浴の場所を作り、フィルターを入れ、場合によっては底砂を敷くとと思います。

その中で、クサガメが落ち着くように隠れ家(シェルター)を用意する、という方もいるでしょう。

この隠れ家がある場合、クサガメはいつも隠れ家に入ったっきりになり、人に慣れにくくなります。

人に慣れさせたい場合は、思いきって隠れ家は入れない方が良いでしょう。

隠れ家が無いことで、クサガメの視界には頻繁に人が映り、もはやそれが日常となり人の存在に慣れていきます。

また、隠れ家が無いからといって、クサガメがストレスを感じて体調を崩すことはありませんので大丈夫です。

エサの与え方をこだわる

クサガメにエサを与える時が、クサガメを人に慣れさせる絶好の機会です。

エサを与える前に、そっと水槽の中のクサガメをしっかり見つめます。

きっとクサガメも見返してきます。

そうしたら、「今からエサをあげるよ」という合図を出します。

水槽をコツコツと軽く爪で叩いたり、「○○ちゃん、エサだよ」と声を掛けたりします。

この時に、決して大きい音は出さないで下さい。

後でもお話しますが、大きい音等はクサガメを怯えさせてしまい、人に対して怖がるようになると慣れさせることが難しくなります。

そして、エサを与えたらそっとその場を離れます。

まだ慣れていないクサガメは人の前ではエサを食べたがらないので、エサを食べる時はクサガメの視界に入らないようにします。

このようにして、人とエサの因果関係、「人が来ると良いこと(エサ)が起こる」ということを覚えさせます。

最初はクサガメも慣れてないので、やや怯えているように見えると思いますが、毎回同じやり方で、根気強く長期間続けます。

また、この際のエサの量は少な目(腹八分目くらい)にするのがポイントです。

次のエサの時間にお腹が減っていると、クサガメが人への恐怖心を乗り越えて、自ら率先してエサを食べに来るようになります。

また、本来であればエサは1日1回で良いですが、慣れさせたいのであればエサの量を減らして1日2回与えると、クサガメとのコミュニケーションの回数を増やすことが出来ます。

その際は、2回目のエサは乾燥オキアミなど内容を変えるのも良いです。

よく慣れると人の手からエサを食べるようになります。

水槽の水換えをしてあげる

水換えが、クサガメにとって最も怖い思いをする時間です。

カメは大変臆病な生き物なので、怖い思いや驚くようなことを人にされれば、人に対して恐怖心を持ち、警戒するようになります。

ですので、まだクサガメが慣れないうちは、水換えをする際は水槽を丸洗いせずに、ホース等を使ってサイホンの原理で水槽内の水を抜き取ります。

そして、またホース等でゆっくり新しい水を入れてあげます。

フィルターを掃除する場合も、そっとフィルターを水槽から取り上げ、お風呂場や庭で中をよく洗い、再度そっと水槽に戻します。

クサガメが慣れてきたら、たまには水槽を丸洗いしても大丈夫です。

飼育環境と接し方

クサガメの水槽の周りで騒いだり、大きい声や大きい音を出さないように注意します。

お子さんのいる家庭では難しいと思いますが、クサガメが怖がるので、優しく見守ることを教えてあげて下さい。

また、決してクサガメと遊ぼうと思わないで下さい。

クサガメは犬のように人と遊ぶということはありませんし、そのようなことは好みません。

むしろ、クサガメを掴み上げる行為は、人に対してクサガメを怯えさせ恐怖心を植え付けるだけです。

ですので、不必要にカメを掴み上げるのは厳禁です。

クサガメになついてもらおう

クサガメを人に慣れさせるコツは、信頼関係です。

クサガメはもともと臆病な生き物なので最初から警戒心を持っていますし、嫌がることをすると簡単に人に対して恐怖心を抱きます。

しかし、嬉しいことが続くと人に対して好意を持ち、飼い主を見ただけで寄ってくるようになります。

飼い始めの頃は、まずは警戒心を解くよう、穏やかな環境で過ごさせるのが肝心です。

そのためにも、エサの時間以外はクサガメに構わないようにします。

エサの時間だけ、人とのわずかなコミュニケーションを取ります。

この積み重ねによってクサガメは、「人は自分にとって嫌がることをしない、嬉しいことをする存在」と学習します。

クサガメと少しずつ仲良くなろう

基本的にクサガメの嫌がることをしなければ、時間の大小はあれどクサガメに人によく慣れます。

よく慣れたクサガメは、いつでも飼い主の帰りを心待ちにしている可愛い存在です。

クサガメの気持ちを優先し、優しく接してあげて下さい。

そうしたら、きっとクサガメも飼い主を信頼して好意を寄せてくれます。