最近では、ペット医療も発達してきて、犬の平均寿命も長くなってきました。
しかし、そうした中でさまざまな病気や、健康の問題に晒されることも多くなってきています。
中には、病気や怪我などで視力を失ってしまう犬もいたりします。
今回は、目の見えない犬と生活するための、家での飼い方や接し方についてご紹介します。
1.部屋の段差や障害物をなくす
犬の場合には、視力を失ってしまっても、嗅覚やそれまでの記憶で生活することができます。
そもそも、犬はそれほど視覚への依存度が高くありません。
そのため、目が見えなくなっても、それほど大きな障害とはならないのです。
しかし、それでもリスクになりそうなものは極力排除しておきたいものです。
そうしたときに、家にある「段差」は犬にとっての最大の危険であり、行動を狭める原因になります。
なるべく安全に過ごせるように、段差は無くしてあげたほうがよいでしょう。
また、視力を失うと、壁を伝うように歩く様子も見られます。
そのため、通路はなるべく幅を広く取ってあげるようにしましょう。
犬の行動スペース内には、なるべく障害物をなくすということも大切です。
2.模様替えをしない
目の見えない犬にとって、動線上の段差や障害物は危険なものです。
しかし、だからといって行動する前に、少し気をつけて欲しいことがあります。
それは、家の中のレイアウトを大きく変えないようにしたいということです。
というのも、住み慣れた家の中では、記憶を頼りにする部分も大きいと言えます。
そのため、急に家具の配置や動線が変わってしまうと、犬が戸惑ってしまいます。
パニックを起こしたり、混乱して動かなくなってしまうような状況も考えられます。
そのため、生活環境はなるべく今までと変えずにいるほうが良いと言えます。
例えば進行性の眼の病気であれば、視力を完全に失うまでには時間の猶予があります。
そうした場合には、視力を失う前に、少しずつ変えていくようにしてあげたいものです。
3.適度に声をかける
先ほども触れたように、犬は目が見えなくてもそれほど困ることはないと言います。
もともと嗅覚にかなり依存しているため、エサやトイレ、ケージなどはしっかりとわかるようです。
しかし、嗅覚だけではどうにもならないこともあったりします。
そのため、飼い主はなるべく積極的に声をかけてあげるようにしましょう。
例えば、階段があったり危険な場所が迫っているときには、音で教えてあげるようにします。
また、リードを短く持ったり、声かけながらであれば、外を散歩するようなこともできます。
加えて、声かけにはもう一つ別の意味もあります。
急な失明や臆病な性格の犬だと、いきなり人間に体を撫でられるとびっくりすることがあります。
ですので、撫でたり抱いたりする前にも、呼びかけてからするようにすることがとても大切です。
4.目が見えない犬へのストレス対策
いくら実生活で困らないといっても、視覚を失う影響はそれなりにあります。
目が見えなければ、常に鼻や耳をすませているような状態になります。
そのため、慣れないうちは緊張が続いて、強いストレスになることもあります。
ですので、大きな物音や、普段のちょっとした生活音にびっくりすることもあります。
飼い主はそうしたストレスや恐怖心があることをしっかりと意識しなければなりません。
家の中では、なるべく静かで、穏やかな環境で生活してもらうように心がけましょう。
また、目が見えずに運動量が減ることもストレスに繋がったりします。
スペース的に余裕があれば、音の出るオモチャなどを使って遊ぶなど工夫して見ましょう。
こうした運動なども、ストレスの解消に役に立ったりします。
5.聴覚や嗅覚を大切にする
人間の場合は視力を失うというのは、生活にかなり大きな影響をもたらします。
しかし、犬は他の感覚である程度生活できるからこそ、まだ機能している他の感覚を大切にしましょう。
嗅覚や聴覚が健康であるならば、まだまだ元気な姿を見せてくれます。
例えば、聴覚に関して気をつけたいのは外耳炎です。
犬の耳の中は群れがちですので、雑菌が繁殖しやすく、不衛生になりがちです。
そのため、普段から清潔さを保つようにしましょう。
また、歯槽膿漏や歯肉炎などの歯の病気にもじゅうぶん注意する必要があります。
というのは、口と最大の感覚器官である鼻は繋がっているからです。
口腔内の病気によって嗅覚が衰えてしまうこともあるので、くれぐれも気を付けておきたいものです。
目が見えない犬を飼う前に知っておこう
高齢になった犬の白内障というのは、実はそんなに珍しいものではありません。
もともと目の良い動物ではありませんが、歳を取ることで視力が衰えたり、余計に見えにくくなったりするのは人間と同じです。
しかし、幸いなことに、ちょっとした工夫や気配りで、視力を失っても大半の生活は維持することができます。
ですので、ケガをしたりストレスを溜め込んだりしないように、できる限りのケアをしてあげるようにしましょう。