特定外来生物の危険性があると、環境省が指定している「生態系被害防止外来種(元要注意外来生物)」に名前が挙がっているアカミミガメとは、ミドリガメの成体の呼び名です。

生態系被害防止外来種に指定された要因の一つである彼らの寿命とは、どれほどのものなのでしょうか。

ミドリガメについて

ミドリガメの寿命を説明するために、必要な説明を最初に書いておきます。

ミドリガメとは最初にも書いた通り、アカミミガメの幼体の呼び名です。

アカミミガメには全身が緑色をしている時期があり、日本においては販売する幼体が調度その時期であった事から、商品名としてミドリガメが使用されてきました。

そのため現在でもミドリガメの名前は広く定着していますが、それは正式な名称ではありません。

日本で見られるほとんどのミドリガメの正式名称は「ミシシッピアカミミガメ」になります。

動物園や近所の池でミシシッピアカミミガメを見ていただければわかると思いますが、全身の色は黒やこげ茶に近い色をしています。

この違いは個体差や「黒化」と呼ばれる、成長が進む程に体の色が黒くなる現象によって起きています。

黒化はオスにしか起きませんので、黒っぽい個体はオスで、茶色っぽい個体はメスであると一般的に言われています。

どちらにしても成長したミドリガメには緑色はほとんど残りません。

ミドリガメとしての寿命

では、体色が緑色であるミドリガメとしての寿命(ミドリガメと呼ばれる期間)はどれくらいなのでしょう。

個体差や生育環境によって差はありますが、甲羅の大きさが10センチを超えると緑色は失われ、15センチに達すると緑色の部分はほぼ無くなると思っておいてください。

期間にすると2~5年ぐらいです。

それがミシシッピアカミミガメがミドリガメとして生きる寿命になります。

2~5年と言うと小型の哺乳類や熱帯魚などで考えると長い期間のように感じますが、ミシシッピアカミミガメの寿命から考えると、それはやっと乳離れしたにすぎません。

多くの人がこの時期を目途に飽きて、もしくは面倒くさくなってミドリガメを捨ててしまいますが、それは、生き残りの難しい子供時代を大切にし、繁殖可能な大人になって野生に戻す、放流のような事になります。

絶対にしないでください。

飼育下によるミドリガメの寿命

よくミドリガメの寿命を調べていると30年と言う言葉を見ますが、これは相当に上手く飼育した場合の寿命です。

大抵の場合は、15~20年辺りが実際の飼育環境での寿命です。

ただ、20年を超えたカメが30年近く生きる事はそう珍しくません。

15年辺りに山場があり、そこを越せる飼育環境、もしくはその飼育環境に対応したカメならば、その後も生きる可能性は高いです。

また、生命力の強いミシシッピアカミミガメでも、前述したようにミドリガメと言われる時代は非常に繊細な生き物です。

特にペットショップから購入した場合は、ミドリガメでいさせるために意図的に成長させないよう飼育している個体が多く、体力が弱っている場合があります。

そのような個体は気を抜くと、あっけなく死んでしまう可能性も十分考えられますので注意を怠らないでください。

目安として、最初の冬を越すまでは気を抜かないようにしましょう。

日本におけるミドリガメの寿命

出典がはっきりしないので曖昧ですが、ミドリガメの最長寿命は約50年辺りの様です。

しかし、日本でミドリガメが大繁殖するのは1980年代以降になりますので、現在(2016年)までに約35年しか経っていません。

つまり、約50年と言う寿命は、おそらくミドリガメの原産国での話になります。

ワニやワニガメなどのミドリガメよりも生態ピラミッドにおいて上位の生き物がいる環境での寿命が約50年なわけですから、そういった天敵がいない日本において、ミドリガメの最長寿命はさらに長くなる可能性があります。

日本におけるカメの最長寿命と思われる記録として、生物学者・南方熊楠さんが飼育していたクサガメが100年近く、最低でも60年以上生きた記録が残っています。

クサガメは古来より日本で暮らしていた丈夫なカメですが、近年はミドリガメの影響で絶滅の危機に瀕している種です。

クサガメを絶滅においやる程に強靭なミドリガメは、天敵のいない日本において、ひょっとしたらとんでもない長さの記録を残すかも知れません。

ミドリガメを長生きさせてあげよう

とにかくミドリガメの期間だけでもペットとしては十分な長さで、終生飼育となると犬猫以上の長さ、万が一には親子2代で望む覚悟も必要です。

ミドリガメでいる期間は短いです。

ですが、それを野生に返した場合には自分よりも長生きし、日本の生態系を破壊してしまう可能性がある事を絶対に忘れないでください。

もし、現在飼育している人は自分に何かがあった時に、カメの面倒を任せられる人間をあらかじめ見つけておいてください。

ミドリガメを飼い始めるのはそれほどの覚悟があって初めて実現できるものです。