猫を飼っていて何かに対して、猫が嫌がって逃げてしまったり、低い声でうなり声を出したりしている姿を見たことはないでしょうか。
猫それぞれに差はありますが、一般に猫が嫌いなものはいくつか確認されています。
そこで今回は猫が嫌いなものをご紹介します。
水に触れること
猫が嫌いなものとして一般的にも広く知られており、猫を飼っている方からするとお風呂に入れる時を思い出す方も多いのではないでしょうか。
猫はもともと砂漠地帯に住む動物だったため、本能的に水に触れることを嫌がります。
そのため、お風呂はもとより水を飲むときに顔や髭に水が付くこと、外であれば水溜まりの上を歩くことをとても嫌がる傾向にあります。
他の野生動物は水に入ることで体を清潔にして、匂いを取ることで狩りの際に獲物に気づかれないようにするという理由がありますが、猫は体を舐めて毛づくろいすることで清潔に保ち、匂いを消そうとします。
つまり猫にとっては水場に入る習慣を持ったことがなく、水(川・水場等)は溺れてしまったり敵に遭遇してしまったりする可能性のある場所と本能に刻まれているので、水を嫌がります。
なお補足ですが、シャンプーを嫌がる猫には、水をかける際に抱きかかえて顔にかからないようにすると、安心して暴れなくなることがあります。
大きな音や低い音
水と同じく猫が本能的に恐怖することで嫌がるものとして、大きな音や低い音が挙げられます。
代表例としては掃除機や雷、男性の低音の話し声などになります。
これは敵対する動物の声を連想させるためと考えられています。
猫もそうですが、機嫌が良い時や甘えている時は高い声で鳴きますが、怒っている時や威嚇をする時には低い声を出します。
そのため高い音は自分にとって安全、低い音は危機であると本能的なイメージができているので、掃除機などのモーター音がするものや男性の低い声を嫌がります。
とは言え、猫は聴覚が優れているので、高すぎる音も不快に感じ嫌がることもあります。
次に大きな音についてですが、これは単純にどうして大きな音が出たのか理解できず、驚き怖がっているのではないかとされています。
人間の場合、雷や大きな音が身近に発生した場合、音がする理由が分かっているので驚いたとしても恐怖はしません。
しかし、猫にとっては得体のしれない何かが大きな音を立てているので。驚きから恐怖に変わり、嫌がってしまいます。
柑橘類などの酸っぱい匂いや香水など刺激的な匂い
猫は、犬ほどではなくても非常に嗅覚が優れており、人間の嗅覚とは比になりません。
そのため、私たちにはなんてことの無い匂いでも、猫は嫌がる傾向にあります。
柑橘類などの酸っぱい匂いを嫌がる理由についてですが、これは明確で酸っぱい匂い=腐っていると判断するためです。
家猫の場合、猫の食事は飼い主の用意するキャットフードなどの安全な物のみになりますが、自然界では捕食を行う必要があり、時には死んでいる動物も食べます。
その際に腐っているものを食べてしまうと命に関わってしまう、と本能に刻まれているので嫌がるのです。
これは柑橘系に限らず言えることで、発酵している納豆などでも同様に嫌がるしぐさを見せることがあります。
次に香水についてですが、これは香水のみならず洗濯洗剤や化粧品などを嫌がることがあります。
これは、それぞれに添加されている科学成分に猫の嫌がる成分が含まれているからではないかと考えられています。
そのため、猫と一緒に生活する際はできるだけ刺激の少ないものを選んであげることが必要です。
猫にとっての許せる距離感を超えること
猫は比較的縄張り意識の高い動物です。
そのため、見慣れないものがその中に入ってくると嫌がって逃げ出す、威嚇して排除しようとする、等の行動に移ります。
猫には大きく分けて2つの生活圏、4つの距離感があります。
生活圏は縄張りか縄張りの外かで分けられます。
そして距離感については自分から遠い順に、社会的距離⇒逃走距離⇒臨界距離⇒個人的距離となります。
社会的距離は、他の動物が行動していても気にしない距離のことで、この距離内であれば他の猫や人がいても何もしません。
次に逃走距離ですが、これはフライトディスタンスとも呼ばれ、その距離内に他の動物が入ってきた場合逃走する距離の事を言います。
およそ2m前後と呼ばれるこの距離は、母猫や子猫だと範囲が長くなる傾向にあります。
つまり、逃走距離以内に他者が入ってくることを猫は嫌がります。
次に、臨界距離と呼ばれる威嚇や攻撃に移る距離です。
猫は基本的に危険から逃げることで危機を介意しますが、臨界距離に入った動物などに対しては威嚇や攻撃を行います。
最後は個人的距離で、体への接触も可能な親密な距離感の事を指し、体を撫でさせてくれるようになると、猫にこの距離に入ることを許されたと考えられます。
そこで、飼い始めたころや初めて会う猫の場合は無理に近づこうとせず、徐々に距離を詰めていくと良いでしょう。
猫の嫌いなものは猫にとってストレスとなる
猫は人間が思っている以上に神経質で様々なものを嫌がります。
もちろん今回紹介したものを全ての猫が嫌がるわけではなく、他にも嫌いなものがあります。
ただし共通して言えるのは、飼い猫が嫌がるものの多くは自分で排除できるものではない、ということです。
そのため、猫が嫌がるものを発見した場合には一つずつ取り除いてあげることで猫のストレスも減り、長生きにつながります。