猫はグルーミング、いわゆる毛づくろいをする動物です。
実はグルーミングによって、引き起こされる猫の病気があります。
「毛球症」という病気なのですが、発症の原因や症状、治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。
毛球症とは
猫はグルーミング、毛づくろいをする動物です。
グルーミングする事で体を清潔に保ったり、体温調節、リラックス効果を得ていると言われています。
多頭飼いしている場合は、猫同士のコミュニケーションとして、お互いにグルーミングし合う事も少なくありません。
起きている時間の大半をグルーミングに費やしている事もあり、胃の中には多くの体毛が入り込んでしまいます。
通常、体毛は便と一緒に排泄されるのですが、そのまま胃の中に留まってしまうと固まってしまいます。
すると、一塊となった体毛がボール状になったり、フェルト状になる「毛球症」を起こしてしまいます。
ブラッシング不足が原因
猫はブラッシングのケアが欠かせません。
特にペルシャなど長毛種の猫の場合、毎日必ずブラッシングを行う事が必須です。
ブラッシングは体毛が絡まり難くするだけでなく、グルーミング時に飲む込む体毛を少なくする役割もあります。
グルーミングを怠ってしまうと、多くの体毛が胃の中に入り込み毛球症を起こしやすくなります。
長毛種の場合は朝と夜、毎日2回ブラッシングを行いましょう。
短毛種もブラッシングは必要です。
短毛種の場合は1日に1回のブラッシングをする事で、毛球症を発症するリスクが下げられます。
グルーミングのし過ぎが原因
グルーミングの回数が多くなればなるほど、飲み込んでしまう体毛の量も増えてしまい毛球症を起こしやすくなります。
猫は緊張したりストレスを感じると、気持ちを落ち着かせる為にグルーミングを頻繁に行うようになるようです。
グルーミングが多いと感じたら、猫にストレスがかかっていないかチェックしてみましょう。
また、体にノミが寄生している場合、痒みからグルーミングを多くする傾向にあります。
この場合はノミ駆除を行う事で、グルーミングの回数を減らす効果が期待出来るでしょう。
吐き出し不足が原因
猫は頻繁に吐く動物です。
病気によって吐いているのであれば治療が必要ですが通常、猫は胃の中に溜まった毛玉を出す為に吐き出します。
内臓の機能が低下してたり、加齢などによって毛玉の吐き出しが上手く行われないと、毛玉ができて毛球症を引き起こす可能性が高くなるので注意が必要です。
吐き出しが上手く行えない猫の場合、毛玉を便と一緒に排泄する効果の高いキャットフードを与えるといったケアを行いましょう。
このようなタイプのキャットフードには食物繊維が多く含まれており、毛玉を排泄する作用をアップする効果が期待出来ます。
毛球症で起こる症状
毛球症になってしまった場合、どのような症状が起こるのかを事前にチェックしておけば、すぐに対応できるのでオススメです。
毛球症は胃の中に毛玉が出来てしまっています。
通常であれば自分で吐き出す事が出来るのですが、毛玉が大きすぎたり、胃の働きが弱っていると吐き出せません。
ですので毛球症になった猫は、吐く動作を繰り返します。
何回も吐く動作をしているのに吐かないという時は、毛球症を引き起こしているかもしれません。
また、大量の毛玉が胃の中に溜まっているので、食欲の低下を引き起こします。
この他に便秘になったり、お腹を触るのを嫌がるようになる猫もいます。
このような症状を感じたら毛球症を疑って、1度動物病院を受診してみましょう。
毛球症の治療
症状が軽度という場合、毛玉除去剤で治療を行うのが一般的です。
毛玉除去剤は便と毛玉をコーティングして、腸での通りを良くする働きがあります。
毛玉が便と一緒に排泄されるよう、促してくれるのが毛玉除去剤の特徴です。
猫の口の周りに毛玉除去剤を塗って、舐めてもらうという方法で与えるケースが多くなります。
毛玉除去剤での治療であれば、動物病院によっても違いはあるものの、診察料と毛玉除去剤の処方で平均して約3,000円程度の治療費となります。
エコー検査などを行った場合は、検査代が加算されます。
外科的手術での治療
毛玉がたくさん溜まっている場合や、毛玉除去剤で治療を行っても症状の改善が見られなかった場合、外科的な手術で治療を行います。
胃や腸を切開し、そこから毛玉を取り出す開腹手術を行うのです。
症状が重篤な場合、消化器官に毛玉が詰まっており腸閉塞などの、命を失う危険性もある重篤な病気を引き起こす可能性があります。
ですので、症状が重い場合や他の治療法・対策法で毛球症が改善されなかった場合、開腹手術で毛玉を素早く取り出すのです。
開腹手術の場合、手術代の他に事前に行う血液検査やレントゲン検査、入院費なども必要となります。
身近な猫の病気「毛球症」
猫は毎日グルーミングを行います。
猫にとって当たり前の行動が、毛球症という病気を引き起こす原因となります。
家族同然のペット、日頃から様子をよく観察して、いつもと違う動作などを感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。