猫が睡眠中にピクピクと体を痙攣させる姿を、飼い主なら一度は見たことがあるでしょう。
眠っている表情と合わさって、かわいらしいように見えますが、なんだか心配になることもありますよね。
果たして、睡眠中の猫がピクピクとするときには、どんな理由が考えられるのでしょうか。
レム睡眠による効果
睡眠中に痙攣が見られると、猫の体に何か異常があるのではないかと心配になります。
しかし、短い時間で小さく動く程度なら、多くの場合は問題がないといえるでしょう。
猫にも人間と同じように睡眠の周期があり、浅い眠りであるレム睡眠と、深く眠るノンレム睡眠の区別ができています。
レム睡眠の間に起きていたときの記憶を整理し、頭の中をリフレッシュさせるのです。
レム睡眠中は脳が起きて活動しているけれど、体は眠っているという状態になります。
そのため眼球が動き、猫の場合はさらに手足が痙攣したような動きを見せます。
いずれにせよ眠っているときの正常な反応なので、よほど不可解な動き方や長時間痙攣が持続していない限り、無理に起こしたりする必要はないでしょう。
夢を見ている
レム睡眠中の猫は尻尾をふったり、顔やひげをピクピクと動かしたりして、飼い主の目を釘付けにします。
そうなふうに体や表情が動くとき、猫は夢を見ているのかもしれません。
猫には夢の内容を理解できるだけの知恵があるので、夢によって喜んだり、ときには悲しんだりできます。
痙攣によって動く体は、その夢の中で何かに一生懸命になっている証なのかもしれません。
よく観察していれば、猫がどんな種類の夢を見ているのかがわかるようになるでしょう。
楽しく遊んでいるような夢ならいいのですが、ケンカなどの攻撃的な夢を見ているようなら、あまり気持ちよく眠れていないのかもしれません。
そんなときは眠る前の行動や生活にストレスがないかどうか、たまに見直してあげるといいでしょう。
睡眠のリズムが乱れている
猫は一日の多くを眠って過ごします。
その間にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返し、自分の体をそのリズムにのせて休ませているのです。
猫は睡眠の約8割をレム睡眠で過ごしています。
野生の本能が外敵への反応を怠らないように、いつでもやや浅めの眠りにいるのでしょう。
そのため深く眠るノンレム睡眠の時間は短いのですが、この短い時間にしっかりと睡眠を確保できないと、猫は体の疲れを完全にとることができません。
ノンレム睡眠中の猫は、手足を投げだして全身の力を抜いて眠ります。
その姿は大変かわいらしく、つい触ったり、写真を撮ってしまいがちです。
しかしそのせいで眠りが妨げられ、睡眠のリズムが崩れると、レム睡眠の時間が長くなり、痙攣する姿を頻繁に目撃するようになるかもしれません。
痙攣そのものに危険はなくとも、睡眠の正常なリズムが崩れることは心身ともに悪影響があるので、飼い主として気をつけてあげてください。
空腹による低血糖
猫は空腹によって血液中の糖分が少なくなり、体内への栄養補給が完全でない状態のまま眠ると、低血糖によって痙攣を見せることがあります。
特に子猫は空腹や体温の低下が低血糖を招き、栄養の吸収に問題が出てくる可能性があります。
あまりに激しい痙攣を見せるようなら、食事の様子を観察しながら獣医へ相談してください。
成人となった猫でも、動き回って過度に興奮した後、十分な栄養をとらずに眠ってしまうと、同じような症状を見せることがあります。
いつもと違う運動や興奮を見せた場合は、しっかりとケアをしてから眠らせてあげましょう。
年齢を重ねた老体の猫が頻繁に痙攣をするようなら、肝臓や膵臓に障害があるのかもしれません。
いずれにせよ、不自然な痙攣や低血糖を招くような生活に心当たりがあるのなら、速やかな改善と病院への連絡を考えるようにしましょう。
長く続く痙攣は要注意
痙攣の多くは、なんの問題もない生理現象の一つですが、中には深刻なものもあることは忘れないでおきましょう。
特に痙攣の動作が一分以上続き、震えたりひきつけを起こしたりするようなら、てんかんの疑いがあるのですぐに病院へ連れて行きましょう。
口から泡を吹いたり、起きているときでも不自然な痙攣を見せたりするので、猫に異常があることはすぐにわかると思います。
決してそのままにせず、素早く適切に対処できるような心構えでいてください。
異常な痙攣が見られたら、猫の呼吸を整えるため楽な姿勢に誘導し、体を何かでくるんで温めるようにしましょう。
そしてできるだけ側を離れず、猫の様子を見守ってあげてください。
その際、細かいところまで猫の動きを観察しておきましょう。
猫の異常な痙攣には、てんかんの他にも様々な理由が考えられます。
病院に行ったとき、なるべく正確に症状を伝えることで、原因を間違いなく突き止められるようにしましょう。
よく見られる痙攣だからこそ、注意深く観察もする
猫の見せる痙攣のほとんどが、心配する必要のない行動であることはわかりました。
しかし、何か問題を抱えた痙攣が存在することもまた事実です。
見慣れた仕草であるからこそ、日々の観察を欠かさず、些細な異常にもすぐに気づいてあげられるように気を張っていましょう。
猫の睡眠を守り続けることは、飼い主にできるとても重要なお世話の一つといえます。