世界最大のネズミといわれるカピバラは有名ですが、同じくネズミの仲間であるはずのヌートリアの知名度はいまひとつです。

ヌートリアとは、どのような生き物なのでしょうか。

ヌートリアの性格、値段、寿命などの特徴をご紹介します。

ヌートリアはおとなしく温厚な性格

ヌートリアは、おとなしく温厚な性格をしています。

人間に対して警戒心がほぼなく、ひなたぼっこをしたり、食べ物を仲間と分けあったりするなど、一見すると可愛らしく癒し系のように見えますが、これは動物園で飼育されているヌートリアの話です。

その一方で、凶暴な一面があり、人間に噛み付いて怪我をさせたり、畑の作物を食い荒らすなどの深刻な被害をもたらしています。

ヌートリアは、本来日本には生息しておらず、輸入されたものが西日本を中心に各地で野生化しています。

安易に近付いてエサ付けする人もおり、被害を拡大させる原因を作っています。

むやみやたらに近付いたり、エサ付けをしないようにしましょう。

ヌートリアは販売しているのか?

「ヌートリアを飼育してみたい」と考えている人もいます。

ヌートリアを購入しようと思ったら、いくらくらいで購入出来るのでしょうか。

そもそも、ペットショップに入荷されることがあるのでしょうか。

結論としては、ヌートリアがペットショップに入荷されることはありませんし、ペットとして飼育することは禁止されています。

何故なら、ヌートリアは外来生物法により特定外来生物に指定されており、許可なく捕獲、飼育、譲渡などが禁止されています。

個人だけではなく、動物園などの施設も例外ではなく、飼育には許可証が必要です。

もし、許可なくヌートリアを飼育した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を科せられます。

絶対に飼育しようとはしないで下さい。

ヌートリアの寿命は8年から12年くらい

ヌートリアの寿命は、野生下では8年から10年くらい、飼育下では12年くらいであると言われてします。

ヌートリアは、カピバラなどと同じネズミの仲間ですが、ネズミの仲間にしては長生きな部類に入ります。

ヌートリアは、年2回から3回ほど繁殖し5匹ほどの子どもが生まれますが、決まった繁殖の時期がなく、1年中繁殖が可能です。

寿命が長いということは、その分繁殖のチャンスも多いといえます。

ヌートリアの妊娠期間は約4ヶ月と短めで、生まれた子どもも約半年で性成熟し、新たに子どもが生めるようになるため、爆発的に増えてしまいます。

ヌートリアの前歯はオレンジ色

ヌートリアの特徴のひとつに「オレンジ色の前歯」があります。

前歯がオレンジ色になるのは、歯の中に含まれるエナメル質の影響であり、エナメル質が表面に現れることにより前歯がオレンジ色に見えるのです。

この前歯の力は非常に強力で、金網を破ることもあります。

捕獲の際は前歯で威嚇することや人間の指を簡単に食いちぎってしまうことがあり、とても危険です。

また、他のネズミの仲間と同じように前歯が一生涯伸び続けるため、常に何かをかじっている必要があります。

なお、ヌートリアの歯の本数は20本であり、前歯の裏側や奥歯はオレンジ色ではなく、白色です。

ヌートリアは陸ではのんびり屋だけど水辺では?

ヌートリアは、陸上では動きも遅くのんびりとしていますが、水中では違った一面を見ることが出来ます。

ヌートリアの後ろ足の第1指から第4指の間に水かきが付いており、泳ぎが非常に得意で水中の生活に適しています。

潜水の技術も優れており、5分以上潜水した例もあります。

子育ても水中で行うことがあり、水中で子どもたちに授乳を行えるように乳首が背中側に付いているのもヌートリアの特徴のひとつです。

ちなみに、ヌートリアの子どもは母親のお腹の中で十分に成長してから生まれてきます。

生まれた次の日には泳げるようになり、3日後には成獣と同じエサを食べるようになります。

ヌートリアとビーバーとの違い

ヌートリアと似ている生き物として、よく名前が挙がるのがビーバーです。

ヌートリアとビーバーは同じネズミの仲間で、水辺で生息していることや前歯の色がオレンジ色をしているなどの共通点があります。

違う点は、繁殖の時期と回数と日本に生息しているかどうか、しっぽの形状などです。

ヌートリアの繁殖の時期や回数が定まっておらず1年中繁殖出来るのに対し、ビーバーの繁殖期は4月から5月と決まっています。

次にヌートリアは西日本を中心に各地で野生化して生息していますが、ビーバーは日本には生息していません。

そして、ヌートリアのしっぽは紐状ですが、ビーバーのしっぽは平べったいオールのような形をしています。

ヌートリアの意外な弱点

圧倒的な繁殖力をもって作物や動植物の生態系に影響を与えてきたヌートリア。

体が非常に丈夫で、弱点などないように思えます。

もともとは南米から毛皮を取るために輸入されたものが逃げ出し、各地で野生化して繁殖しました。

そのため、比較的寒さには弱いという意外な弱点があります。

また、1年中繁殖が可能なヌートリアですが、冬季は胎児の流産率が上がるようです。

さらに、北欧や北米に根付いたヌートリアもいましたが、寒さに耐えきれず自然に絶滅してしまった例もあります。

日本でも生息しているのは西日本に多く、その北限は岐阜県辺りだと言われてします。

ヌートリアの特徴を知ろう

ヌートリアの性格、値段、寿命などの特徴を見てきました。

一見すると癒し系に思えるヌートリアですが、作物を食い荒らしたり生態系を破壊したりなど、問題を抱えて害獣と呼ばれている動物であることが分かりました。

しかし、もともとは人間の勝手な都合で連れて来られた訳で、彼らには罪はありません。

飼育が法律で禁止されている以上、寄ってくるからと無責任にエサ付けなどをしないように気を付けましょう。

それが、ヌートリアに無駄な犠牲を負わせないために必要なことです。