昔から、犬は野生の中で生きてきました。
だから、ぺットの犬を捨てたとしても昔のように野生に帰って、生きていくことが出来るだろう。
そう考えて犬を捨てる人がいます。しかし、これは大きな間違いです。
そこで今回は捨て犬が生きていくことが難しい理由についてご紹介します。
犬は群れを作らないと生きていけない
人と同じように、犬も群れを作って生きる生き物です。
猫とは違って1匹では上手く生きて行くことが出来ません。
だから群れを作るのですが、当然捨て犬はペットの犬と群れを作ることが出来ません。
捨て犬同士で群れを作って生きていくしかないのですが、現在の日本では、それは非常に難しいです。
なぜ捨て犬が群れを作るのが難しいのか、その理由は単純です。
今の日本には徘徊している捨て犬がほとんどいないから、群れの作りようがないのです。
昔の日本にはたくさんの野犬がいたので、捨て犬が野犬に合流して群れを作ること出来ました。
今の日本には野犬がいないので、捨て犬が群れを作ることが出来ません。
そうなると、捨て犬は1匹で生きていくしかなくなります。
しかし、先に述べたように犬は群れを作らないと生きていけないので、結果、長生きできず死んでしまうことになります。
ぺットの犬は狩りの仕方を知らない
ペットの犬にとって、エサは飼い主である人間が運んでくるものです。
そんな犬がいきなり野に放たれたらどうなるでしょうか。
自然と今の状況に適応して、その辺の鼠や虫を狩って食べるようになるのでしょうか。
そういう狩りは、小さな頃から親犬、あるいは人間が教え込まないと出来ません。
おなかが減ったから狩りを覚える、というほど犬は都合よく出来ていないのです。
なのでペットの犬が野に放たれると、ごみあさりや死体あさりなどでしか食事を取ることができなくなります。
そして、結果的には飢えて倒れることになります。
野良犬は病気になりやすい
捨てられて野良になった犬は、飼い犬に比べると病気にかかる確率が高いです。
そのため野良犬はあまり長生きすることが出来ません。
特に大きな理由は野良犬は栄養状態が悪いので、ちょっとしたことでも病気にかかりやすいところにあります。
人間を例にとればよくわかりますが、同じような環境でも、栄養状態のよしあしによって、病気になる確率が大きく変わります。
栄養状態がよく、疲れがたまっていない人間はそう簡単に病気にかかりません。
反対に、栄養状態が悪い上に、疲れがたまっている人間は病気にかかりやすいです。
これは犬の場合でも同じです。
飼い犬は栄養のある食事をたっぷり取れる上に、敵が近くにいないので安心して休むことが出来ます。
しかし野良犬はろくな食事をとれない上に、いつ外敵に襲われるかわかりません。
だから、捨てられて野良になった犬は飼い犬に比べて病気になりやすく、結果として生きにくいのです。
人になれている犬ほど生きていきにくい
捨て犬と言うのは、今まで人に飼われていた犬です。
そのため人に対する警戒感があまりありません。
これは、人の中で生きていくには都合のいいことですが、野良犬として、誰にも飼われず生きていく上では都合が悪いです。
野良として犬が生きていく上で、一番必要なものは警戒心です。
警戒心があるから、外敵が来たらすぐに逃げることが出来ますし、車などの危ない物も回避する事が出来ます。
ですが、人に飼われていた捨て犬はそういう警戒心を忘れてしまっています。
あっさりと車にひかれたり、食べてはいけない物を食べてしまって死んだりするのです。
こういった警戒心は一朝一夕では養うことが出来ないので、警戒心のない捨て犬は野良犬として生きていくことが出来ないのです。
捨て犬は保健所に連れて行かれます
先ほど、日本には野生の犬がいないと書きましたが、これにはきちんとした理由があります。
それは、狂犬病予防法という法律によって、誰にも飼われていない野良犬は、これを捕獲、抑留しなくてはならないと定められているからです。
この法律は、危険な病気である狂犬病の蔓延を防ぐためにある法律です。
この法律がある以上、保健所は野良犬を見つけたら捕獲しなければいけませんし、引き取り手のいない野良犬は処分しなくてはいけないのです。
そのため都会でゴミをあさっている捨て犬が保健所に引き取られて処分されるという悲劇が後を絶ちません。
こんな法律があることを捨て犬は知らないので、逃げもせずにあっさり保健所の職員に捕まってしまいます。
そして、その短い生涯を終えてしまうことになります。
捨て犬は生きていくのが難しい
一度人に飼われて警戒心や野性味を失ってしまった犬が、野良犬として生きていくのは、並大抵のことではありません。
ほとんどの犬が、先にあげた理由により生きていくことが出来ません。
仮に運よく生き延びることが出来たとしても、飼い犬のように、10年、15年と生きていく事は不可能に近いです。
だから一度飼った犬は、その犬が死ぬまで責任を持って面倒を見なくてはいけないのです。