皆さんは、犬の舌をじっくりと見たことがありますか。

健康な犬の下はピンク色ですよね。

ところが、その舌の色が薄い、または白くなってしまうことがあります。

そんな時、犬は貧血になっていることがほとんどです。

今回は、犬の舌が白くなってしまう貧血の原因をご紹介します。

ケガをして血がすくなくなっている

最もわかりやすい貧血の原因です。

大けがをして、大量の失血により体内の血液の量が少なくなり、貧血の原因になります。

このような場合は、人間と同じように止血を行い、輸血をすることで回復を目指します。

ですので、すぐに動物病院に連れていきましょう。

ここでひとつ注意しなければいけないのは、怪我というのは目に見える部分だけで起こるわけではないという事です。

体の中、例えば腸や肝臓といった内臓からの出血は、外からでは見えません。

そういった出血でも貧血になり舌の色が白くなることがあります。

当然、素人では判断できませんので、外傷が見当たらないからといって様子を見るようなことはやめましょう。

免疫介在性溶血性貧血

免疫介在性溶血性貧血とは、元々持っている病気やウイルス病に感染することが原因で、免疫反応によって赤血球が破壊されて起こる貧血です。

特に犬では、ウイルス病に感染して起こることが多いと考えられています。

特に、プードル、コッカ―・スパニエル、アイリッシュ・セッター、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、コリー等がかかりやすいと言われています。

また、春に起こりやすいという報告もあります。

逆に言えば、犬の舌が白い時は、ウイルス病に感染している疑いがあるということですね。

特に、先述した犬種の場合は、ウイルス病感染を頭に入れておいてください。

ヘモプラズマ症

ヘモプラズマ症は血液中の赤血球にマイコプラズマという真正細菌の一種が寄生し、赤血球が壊れる事で起こる貧血です。

マイコプラズマは、ダニやノミに噛まれることで、血液中に入り、赤血球に寄生します。

ここで気を付けなければいけないのは、マイコプラズマに感染した犬の血液をダニやノミが吸えば、昆虫に感染し、その昆虫が犬の血液を吸うと犬に感染し、感染がどんどん広がっていくという点です。

抗菌薬でマイコプラズマを抑えたり、免疫抑制薬で赤血球の破壊を抑えたりすることができるので、獣医さんに見せるのは必須です。

バベシア症

こちらは、ヘモプラズマ症と原理はよく似ていますが、バベシアという寄生虫に感染することによって起こされる貧血です。

バベシアはフタトゲチマダニに吸血されることで、血液中に入り赤血球に寄生し、赤血球を破壊して貧血を引き起こします。

マダニと言えば近年、ニュースなどでもよく見るように重症熱性血小板減少症候群の原因ともなっている節足動物です。

マダニは草むらなどに潜み、通りかかった哺乳類に取り付いて吸血をし続けます。

犬の散歩コースを選ぶ時は草むらを避けるようにしましょう。

当然、マダニの吸血自体でも貧血が起こりますので、目に見えるほど大量に寄生されていたらすぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。

食べ物が原因の貧血

犬に玉ねぎを食べさせてはいけないという話を聞いたことがありますか。

犬に玉ねぎを食べさせてはいけない原因が正にこれです。

玉ねぎやネギ、ニンニクにはジスルフィドと呼ばれる酸化剤が含まれており、このジスルフィドが血液中の赤血球を破壊して貧血の原因になります。

これらのジスルフィドには熱を加えても壊れない耐熱性のジスルフィドもありますので、加熱しても犬にとって有害であることに違いはありません。

また、亜鉛の過剰摂取で赤血球が壊れる事もあります。

例えば亜鉛でメッキされたネジや工具、柵などを飲み込んだり舐めたりすることで亜鉛中毒を発症することもあります。

フィラリア症

犬糸状虫、いわゆるフィラリアに感染することで貧血が起こり、舌が白くなることがあります。

フィラリアが多数寄生することで、機械的に血流が障害されて乱流が発生し、赤血球の断片化や破壊が起こり貧血となります。

フィラリアは蚊に吸血されることで犬に感染します。

最近は室内飼いの犬が多いですが、屋外で飼育している犬はフィラリアに感染していることがあります。

飼育環境周囲で蚊を繁殖させないこと、しっかりと予防薬を投与しておくことが大事になります。

現在使われている予防薬は非常に優秀ですので、まず予防できると思われます。

犬の舌が白いのは異常を示すバロメーター

説明してきたように犬の舌が白くなるのは、様々な原因が考えられます。

逆に言えば、舌が白い時は何か重大な病気を抱えている可能性があるという事です。

例えば、おしっこの色からでも貧血の原因が特定できることもありますので、普段からしっかりと自分の犬を観察し、普段とは違う事があれば、獣医さんに相談しましょう。