美味しそうにエサを食べる、まん丸なハムスターは可愛く見えます。

しかし、人間でも太り過ぎは良くないと言われています。

ハムスターの場合はどうでしょうか。

ハムスターが太り過ぎだと起こる危険をご紹介します。

骨折

体重が増えると足に負担がかかるため、骨折する危険性が増します。

足を骨折すると歩けなくなります。

ですので、すぐに動物病院を受診しましょう。

治療として、手術で骨をつなぐか、あるいは切断するか選ばないとならなくなることもあります。

また、下半身が麻痺してしまうと体を引きずって歩かないとならないため、ハムスターにとって非常にストレスが溜まります。

そして、足を骨折したことによりバランスが取れなくなり、毛繕いが出来なくなるので、不衛生になり、肛門や膀胱や臭腺の病気にかかりやすくなります。

骨折した足の血液の循環が悪くなり壊死することがあります。

この場合、放置していると命に関わりますので、切断するしかありません。

骨折した骨で皮膚が切れてしまったり、体の外に骨が飛び出してしまうことがあります。

心臓病

塩分や脂質の多いカロリーの高いエサを与え続けていると、ハムスターは肥満になります。

その結果、脂肪に臓器が押されて、心臓に負担がかかります。

肥満は、心臓病を引き起こすリスクを高めます。

心臓病だと診断されると、心臓の負担を減らすために、強心剤、利尿剤、血管拡張剤を投与します。

すると、肺水腫や腹水腫といった、心臓病由来の病気を併発する恐れがあります。

また、太った状態での運動も心臓に負担を与えてしまうので、回し車等で遊ばせることは避けましょう。

脂肪肝

高脂肪のエサを長時間与えたり、ハムスター自身が食べ過ぎると肝臓に負担がかかり、脂肪肝や肝硬変といった肝臓疾患を引き起こします。

肝臓疾患は、ハムスターの寿命を縮める要因として、最もよく知られたものです。

脂肪肝の原因としては、ヒマワリの種などの高脂質な種子の食べ過ぎが考えられます。

ハムスターの肝臓疾患は、見た目では判断出来ず、体が小さ過ぎて負担がかかるため、血液検査が出来ません。

また、末期にならないと症状が現れないため、飼い主が気が付いたときにはすでに手遅れであったということもよくあります。

ハムスターの健康を守るためには、太り過ぎず痩せ過ぎず、適正体重を維持させる必要があります。

脂肪腫

ハムスターにこぶのような腫れ物が出来ることがあります。

肥満が原因で起こる腫れ物は、脂肪腫と呼ばれる脂肪の塊です。

脂肪腫は脂肪細胞や結合組織における脂肪の蓄積で良性の腫瘍です。

しかし、良性の腫瘍か悪性の腫瘍かは、見た目では判断出来ません。

細胞検査が必要です。

良性の腫瘍であれば特に処置を施さないのが通常ですが、腫瘍を気にして舐めたり引っ掻いたりする場合は、排膿処置を施して抗菌剤を投与します。

悪性の腫瘍であれば、手術で除去します。

しかし、ハムスターの小さな体に手術は大変負担がかかります。

脂肪腫の予防は、太り過ぎな体型になる生活をさせないことです。

糖尿病

最近ハムスターがやたら水を飲むようになった。
そして、尋常じゃない量の尿を出すようになったし体重も急に軽くなった気がする。

そのような兆候が見られたら、糖尿病の疑いがあります。

糖尿病には、遺伝からなる一型糖尿病と生活習慣の乱れから起こる二型糖尿病があります。

糖尿病かどうか判断するには、尿検査が必要です。

尿糖が検出されれば、糖尿病であることが疑われます。

さらに、ケトン体が検出されると、糖尿病の合併症から一気に症状が悪化し、死に至るケトアシドーシスを引き起こすケースもあります。

ハムスターは、インスリン投与が出来ないため、有効な治療法がありません。

二型糖尿病の場合であれば、食事療法により改善することもあります。

頻繁に水を飲むので、給水器の水を切らさないように気を付けましょう。

なお、糖尿病の個体は胎児が巨大化し分娩が困難になるなど、母子ともに危険な状態に陥る可能性があるため、繁殖を控えましょう。

妊娠・出産時のトラブル

太り過ぎのハムスターが妊娠すると、胎児の巨大化や産道に脂肪がつき過ぎで、分娩が困難になる可能性があります。

また、脂肪と子宮の中の胎児の重さが負担になり、心臓に負担がかかったり、呼吸困難に陥ることもあります。

ハムスターは基本的に自分一人で出産をこなしますが、あまりにも時間がかかりすぎている場合、母子ともに命に関わる危険な状態になりかねません。

早急に動物病院を受診しましょう。

母親が子どもを踏み殺してしまう危険性も、適正体重の母親より格段に上がります。

母子の幸せのためにも、太り過ぎにならないよう気を付けましょう。

ハムスターを痩せさせよう

ハムスターが喜ぶ姿が見たくて、ついついたくさんエサを与えてしまう。

しかし、太り過ぎが原因で本来の寿命より早く旅立ってしまうのは、飼い主も望んでいないことです。

ハムスターは、自分が太り過ぎかも分らないし、ダイエットも自発的に出来ません。

病気になっても、原因すら理解出来ません。

1日でも長く一緒にいたい、最後まで元気でいて欲しいと願うのであれば、心を鬼にして、健康的な食生活を心がけてあげましょう。